ウクレレ始めました18。

パイナップルの謎。

Feb.24,2000.

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ちょいとNHKのほうにパソコンかついでお仕事に向かう途中、当然のように渋谷イシバシ楽器さんを覗いてみました(もちろん、僕は通りがかりの楽器屋さんはぜんぶ覗きます)。ウクレレ売り場が‥‥めっけ。おもちゃの数は‥‥少ないな。うえのほうにフェイマスがずらり。あとは‥‥ふむふむ。ふんふん。あれ? なんだこれ。

「表板はスプロース単板」というパイナップルが、8,600円。お財布のなかにたしか1万円札があったよなあ。買おうと思えば買えるけどね。見た目はかっくいーなあ。ペグは安っぽいなあ。あ、ペグに「Made in USA」って書かれた札がくっついてるぞ。単板ってよく鳴るって話だよなあ。スプルースってたしかオベーションさんとかYAMAHAさんが使ってる素材だよな。ギターではよく聞くけど、ウクレレではあんまり見ないけど。なんでかな。

どうでもいいけど、なんでこんな値段なんだろう。ちょっとだけ弾いてみようかなあ。まあどうせおもちゃなんだろうけど。期待してないけど。まあ試し弾きだけならタダだし。気に入れば買うんだし。時間あるし。いいでしょ。

「すいません、これちょっと弾いてみていいですか」
「どぞー」

ぽろりん。
じゃんちゃら。

音でけー。

じゃかじゃん。じゃかすか。

音でけー。

ではチューニング、と。あれ? ペグがゆるゆるだよ。すいませーん、ドライバ貸してくださーい。あ、どうも。締め締め、と。よし、準備完了。あ、ドライバどうも。

ちゃんかちゃんかちゃんかちゃんか。ちゃんちゃんちゃんちゃんちゃんすかあ。

弾きやすー。弦ひくー。フレットはどうかな。
12フレットをセーハしてじゃん、全開放にしてじゃん。OK。
1-3を押さえてCコードじゃん。1フレットをセーハして2-4でCじゃん。そこから1フレットずつ上昇しながらじゃんじゃんじゃんじゃん(ひとりのサスケがってやつ)。OK。

いいじゃん。

ちゃんかちゃんかすかちゃんかちゃんかすかちゃんかちゃんかすかちゃんかちゃんかすかちゃんかちゃんかすかちゃんかちゃんかすかちゃんかちゃんかすかちゃんかちょわーん。

いいじゃん。

なんでこんな値段なんだろう。隣のも弾いてみようかな。ふむ、1万円。すいません、これも弾いてみていいですかぁ。はいはい。はい、どうも。ちゃんかちゃんか。音小さいじゃん。こっちの1万2千円のは、と。すいません、こっちの‥‥あ、そうですか。はいどうも。ちゃんかちゃんか。音小さいじゃん。これは‥‥1万5千円。ちゃん。だめじゃん。はい決まり、すいませんこれください。いや現金。ポイントは貯めといてください。

「では、在庫を出してきますので」
「いえ、これそのものをください」

まぐれということもあるしな。現品じゃなきゃいかんよ、そりゃ。あ、いかん仕事仕事。渋谷広しといえども、ウクレレ背負って仕事場に向かっとるのは俺一人なんだろうな。自慢にはならんが。



左からPUK-1200P, GAULOISES CAPORAL, LANAI UK-120。帰宅して、ソフトケースから取り出して、つらつらと眺めてみました。

黄色っぽい表板で、サウンドホールの周りに黒い縁取りが描かれています。木目がばらついている感じですが、気にはなりません。側板やネックは茶色っぽい素材で、Lanaiさんとは明らかに材質が違います(ということはたぶんマホガニーではないんだろうなあ)。黒っぽい指板もLanaiさんとは違うので、たぶんハカランダではないことが判ります(消去法しかないのかい>>じぶん)。指板の側面、7フレットのところにポジションマークがあります(Lanaiさんにはありません)。よーく見るとフレットの下に隙間があったりしますが、音程は確かなのだから構いません。指板の最後のほうが綺麗な曲線を描いてボディ側にハミ出しているのがかっこいい。

そのブリッジ。削れた下の塗装がありません。弦は白いナイロン。ナットとサドルは思いっきり安っぽくプラスチックですが、サドルの不可思議な幾何学的形状には何らかの意志が働いているようです。よう判りませんけれども。ペグもなんか安っぽいけど、思いっきりネジを締めちゃったから大丈夫(ほんとか?)。
ブリッジはこれもまた力いっぱい雑な削りで、バリ取りも面取りもしてありません。ついでに削ったところの下の塗装がないぞ(笑)。いいんです、鳴るから。



音色は‥‥Lanaiさんと比較すると、明るい、乾いた感じというのでしょうか。音量はほぼ同等だと思いますが、Lanaiさんのしっとりに対してパイナップル君は「そら行くぞ」みたいな。Lanaiさんを里中とするとパイ君が岩鬼。Lanaiさんをトム・クルーズとすると、パイ君はチャーリー・シーン。Lanaiさんを王だとするとパイ君が長嶋。

刺身 vs. 鍋。
ワゴン vs. ダンプ。
バイオリン vs. フィドル。
ホルン vs. トランペット。
タルコフスキ vs. エメリッヒ。
田村高廣 vs. 勝新太郎。
20世紀名作シネマ vs. ヒドゥン。
サンダ対ガイラ。

きりがないから止めますが、そんな感じです(判らんな)。

ヘッドにはParadiseというロゴとメイプルらしき葉っぱのマークが金押しされています。



ダダリオさんのカード。さて、サウンドホールを覗くと、

Paradise
Model No.PUK-1200P
Sound from Hawaii
Made in R.O.K

とあります。他方、ペグにくっついていたカードには、

D'Addario
Finest Quality Strings
This quality musical instrument is equipped with D'Addario STRINGS
Made in USA
Farmingdale, NY 11735

と記載されています。

さて。
R.O.Kって何処なんだろう。ニューヨークのFarmingdaleじゃないの? とまれ、たぶん

  • アメリカのどこかのR.O.Kだかファーミングデールだかのご出身の、
  • ダダリオ社製の、
  • パラダイス・ブランドの、
  • PUK-1200P
というのが正解なんだろうなあ、と判じてぺけぺけ弾き倒しつつ、ウクレレといっしょさんの掲示板に購入報告を書き込みました。

そして。
その掲示板でさっそく教えてくださるかたがあって、R.O.Kは「Republic of Korea」つまり韓国。どうもものを知らないねこの人は>>わたし。え? じゃあmade in USAの立場は? 韓国製でアメリカ製? まあ鳴るからいいんだけどってよくないか。



けっきょく、そのウクレレといっしょのshinfujiさんが謎を解明してくださいました。ありがとうございます>>shinfujiさん。

というわけで正解は、

  • ウクレレ本体はパラダイスブランドの韓国産であり、PUK-1200PというのはP(パラダイス)UK(ウクレレ)-(の)1200(1200ウォン?)P(パイナップル型)であろう。
  • ダダリオは、アメリカの弦のメーカーである。つまり、カードは弦に付属していたものである。
ちゃん(G7)ちゃん(C)。あー、すっきりした。

というわけで、改めて「てんくに君」と命名されたパイナップルさんは、宴会部長に就任しましたのでした。


あら続き。

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