モドルススム
連続ネット小説 ポップの扉
第13話発進マスクメロン
第14話1990再び

「ブル〜ン。ビリバシ。バシ」
ミシンの音が教室中に響いている。
その中でコスモスはひたすら眠り続けた。
正確に言うと眠ったふりをしていた。
「あじちぃっ」前の席のマリがミシンで手を切った。
「だいじょうぶ?」マリの親友夏美が声をかけると
コスモスの体が無意識に反応した。
直立不動で立ちすくむコスモスをサヤカは冷めた目で追い
マリは大きなお目眼をクリンクリンさせて見ていた。
マキマキは無反応を装った。コスモスは力つきた。
全てがイヤになった。全てが嘘だとは断定出来ないが
自分だけは嘘だとポケットの中は閉じたまま閉じたまま。
ピンセットが宙を舞った。夏美も倒れ込んだ。
ふたりはそのまま保健室に運び込まれた。
気がつくとコスモスは天井を見ていた。
窓からは夕焼けの飛行機雲が差し込んでいた。
光が目に入ったコスモスは全身を震わせた。
何かに触れた。夏美の胸だった。
コスモスは夏美の瞳をジッと見ていた。
頭の中では祭りに行けなかった言い訳を必死に考えていた。
夏美が目を覚ますとふたりの目がバッチリあった。
30秒見つめ合うとコスモスは無我夢中で叫んだ。
「マスクメロン食べよう」と。
つづく

校内には空襲警報が鳴り響いていた。
宇宙(お空)が堕ちてきたのだ。
コスモスは自己嫌悪に苛まれつつも
カバンからマスクメロンを出して半分夏美に渡した。
マスクメロンを食べるふたりは全てを拒絶せず
メマイは微動だにしないまま全体的にカオスだった。
空襲で学校は粉々に砕け散った。
ある意味全ての無秩序だ。
燃えさかる炎の中で夏美はせんこう花火に火をつけた。
そこには未来の希望だけが点火し
後ろめたさだけで空想を廃除出来るほど
現実は甘くなかった。
コスモスは微妙な液体で自分自身を篩い落とした。
「一緒に帰ろうよ」夏美が照れくさそうに言うと
コスモスは夏美の手を握りしめ保健室を後にした。
コスモスは無重力的に引きつけられた十字架を
漸く降ろすことが出来た。

宇宙は終わり全ての幻想を紐解いた先には
何も残らない太陽だけが存在していた。
お月様は何も知らないまま何も知らないまま過ぎ去った。
・・・1990の夏だった。

おわり
この小説の主人公
お断り
名前 朝霧コスモス 性別 不明 この小説はフィクションです。この小説に出てくる個人名、団体名、企業名などはすべて架空のモノです。同じような名前が実在したとしても一切関係ありません。
年齢 13才 職業 中学2年生
星座 水瓶座 血液型 不明
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