モドルススム
連続ネット小説 ポップの扉
第1話黒いラジオ
第2話巣立ち

深夜1時。
窓の外では台風23号の影響で降りだした雨が
昼間の太陽を浴びてほてったアスファルトを
たたきつけていた。
「これじゃ明日の夏祭りは中止だな」
コスモスは少し残念そうに胸の中で呟いた。
夏祭りは年に4回あるがなにしろ明日のお祭りは
毎年尋常ではない盛り上がりをみせる花嫁祭りなのだ。
コスモスは毎年このお祭りを一番楽しみにしていた。
そして今年のお祭りはコスモスにとって
もう一つ特別の意味があった。
同級生の夏美を誘っていたからだ。
夏美とは幼なじみで昔からよくふざけあっていた仲だった。
そんな彼女に最近ひそかに恋心をいだいていたのだった。
「あ〜あ」コスモスは深いため息をつくと
期待と不安を胸にベットに潜り込んだ。
なかなか寝つけないコスモスは
何げなく机の上の黒いラジオのスイッチをいれた。
つづく

普段はラジオなんか聴かないはずなのにこの夜は特別だった。
明日への不安からかコスモスは必然と誰かを求めていた。
ラジオから聞こえてくる音と夜の静寂さが
妙にマッチして心地よかった。
コスモスは未知の領域に踏み込んだ罪悪感みたいなものと
少し大人になった優越感にしばらく浸っていた。
コスモスはとても不思議な気持ちになって
昔のことや宇宙のことを考えはじめていた。
「僕と一緒の誕生日の人は
僕と同じ人と結婚するのかな」とか
「目をギュッとつぶって6秒たつと
宇宙に行けるのかな」とか
「13才にして人生リセットしてみようかな」などだ。
そんなことを考えているうちに怖くなってきたコスモスは
不意に窓を開けて叫んでみた。
「夏美が好きっ」
辺りはすっかり雨がやんで
西の空から太陽が昇ろうとしていた。
つづく
この小説の主人公
お断り
名前 朝霧コスモス 性別 不明 この小説はフィクションです。この小説に出てくる個人名、団体名、企業名などはすべて架空のモノです。同じような名前が実在したとしても一切関係ありません。
年齢 13才 職業 中学2年生
星座 水瓶座 血液型 不明
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