フジロック02体験記 その3

〜7月27日 フジロック2日目 後半〜

■EGO-WRAPPIN'

去年もフジロックに出ていたが時間が合わず見逃してしまったEGO-WRAPPIN'。
今年こそは大好きな曲、サイコアナルシスで踊るぞと気合は十分。

時間より遅れてメンバーが登場!
なんて曲から始まったのかは忘れたが、ジャズっぽくもありロックっぽくもあるこの音楽は、ほどよくリズムのれることができる。
ボーカルの中納良恵、例の腰フリフリで気分良く歌ってくれる。関西弁のMCもいい感じ。
しばらくすると威勢のいい掛け声があがりサイコアナルシスが!
一斉に会場に熱気が広がり、みんな踊る踊る!俺も負けずに踊りまくる。
わずか4分ほどだったが、この瞬間のためにわざわざヘブンまでEGO-WRAPPIN'を見に来てたので、終ってしまうと疲れたので後ろに脱出して座りこんでビールを飲みながら聴いた。

しかし、こんなにも奥地にあるステージにも関わらず人の数は他と同様にして多い。ヘブンに陣取っている人も少なくはない。あの独特の雰囲気がたまらないのだろう。

そうしてのんびり過ごしているうちに次第に日は暮れていった。
次の予定までかなり時間もおしていたので最後の曲を聴きながらヘブンを去った。
次なる目的はPET SHOP BOYS。本日初のヘッドライナークラスのアーティストだ。
戻る途中にホワイトにてThe Get Up Kidsのライブが始まる直前だったが、PET SHOP BOYSはモッシュピットで見たかったのでそのまま通過。


■PET SHOP BOYS

急ぎ足にも関わらず30分ほどかかってグリーンステージに到着した。
そろそろ午後7時。次第に周りは暗くなっていった。
開始時間15分前にも関わらず、以外にもモッシュピットには余裕で入れる状態だった。やはりフジロックにおいてはPET SHOP BOYSはポップ過ぎてちょっとカラーが違うのか?あるいは世代が古いのか?と思って不安になってしまった。
しかし、ニューアルバムRELEASEの曲、HOME AND DRYは最近のPOPシーンの中でもガツンとくる名曲だし、彼らの往年の名曲の多くは誰もが知っているはず。どういう感じになるのかは想像がつかなかったがただただ彼らの出番を待った。
しばらくすると、人の入りも結構な数になり、PET SHOP BOYSファンと思われる人たちが横断幕を振ったり歌ったりして雰囲気は上々。

そして突然、ついに音楽が鳴り始めるた!!!
いきなり始まったのはまるでサンバのようなかなりノリの良いインストゥルメンタル。
この曲と同時にボーカルの二ールとキーボードのクリスが登場!

お〜、こいつらがあのPET SHOP BOYSかぁ!って感じでまず感動。
すると、先ほどから続いていたダンサブルな曲に突然聞き覚えのある曲のイントロに繋がった!
なぁ〜んといきなり大本命のHOME AND DRYじゃあないかっ!?
HOME AND DRYと分かった瞬間、思わず全身に鳥肌がたってしまった。感動、感動、ひたすら感動である。
この曲を聞いた事がある人なら想像がつくかもしれないが、あのやさしいイントロと、あのやさしいボーカルが作り出す独特で幻想的とも言える雰囲気で全身を包みこまれ、一曲目にして俺の心は昂揚感でいっぱいになってしまった。
それから、I GET ALONGなどニューアルバムの曲などが続き、会場の盛り上がりもかなり良い。どの曲もすごく優しさで溢れていた。

それにしてもボーカルのニール、50歳くらいということもあるせいか、今までのフジロックの中でもかなり歌い方が地味だった。まるで谷村新司がすばるを歌っているようだ(笑)

中盤から後半にかけては、元祖ダンスミュージックという感じで踊れる曲が続いた。誰もが踊ってしまうような名曲を持っているあたりに大御所らしさを感じる。
中でもNEW YORK CITY BOY、WEST END GIRLS、GO WESTなどの名曲でかなり盛り上がった。っていうか俺自身がかなり興奮してやばかった。途中ではABBAの曲を混ぜてみたりしてサービス精神もあるし。
当初はこんなにもハマルつもりじゃなかったのに、想像よりも何倍も楽しくて素晴らしくてたまらなかった。
演奏中、ひょっとして次のケミカルよりもこっちのほうがトリで良かったのでは?って本気で思えるほどだった。
そして、アンコールもこなして彼らは去って行った。出来ることならSe A Vida Eをやってほしかったが、大満足。


■PATTI SMITH

PET SHOP BOYSが終ってからケミカルまでの時間がちょっとあったので、レッドマーキーへパティスミスを見にいった。今年はレッドマーキーのトリなのだ。

既に、レッドマーキーは人で溢れていて脇の方からしか見えなかったが、パティの力強いパフォーマンスを見る事は出来た。
曲自体はほとんどしらないのだが、パティスミスといえば女性ロックシンガーのカリスマ的存在。
ステージ前方の方ではかなりの一体感でオーディエンスもこぶしをつき上げて歌っている様子が伺えた。

結局、2曲ほどしか聞くことが出来なかったが、とりあえず「パティを見た!」という満足感はあったので、それで良かった(笑)


■The Chemical Brothers

パティスミスを見て、オアシスエリアで晩飯を買ってグリーンに戻ってくると既に会場はケミカルのためにスタンバっている人ばかり。むむぅ、のんびり晩御飯を食っている場合ではなかったのだ。
出遅れスタートながらも、せっかく楽しみにしていたので出来る限り前に行ったが、スタッフの撮影テントあたりで限界だった。大トリを見るには遠い…。
まあ、ケミカルの場合はパフォーマンスでもなく、ボーカルでもなく、音楽そのものだけで楽しめるものだからこの位置でも良かろう、と臨戦体制に入る。

時間は9時半前。当然、辺りは真っ暗。
ステージは丸いテーブルとスクリーンが既に準備されており、スモークも流れ出てきた。いよいよ、始まる証拠だ。

そして!時間ぴったりにThe Chemical Brothersがステージに現れた!
スモークの中からの登場ということで、影しか見えず少々不気味にも見えたが、興奮するオーディエンスに応えるように手を振っていることだけはわかった。

そして、ついに始まった。
始まりは聞き覚えのあるイントロ、ニューアルバムの曲、Come With Usからスタートだ。
曲のタイトルどおり、「さあ、これからついて来いよ!」というつもりでだろう。

この曲のイントロ部分が流れ始めるが、まだ会場は落ち着きを保っている。というよりもみんなこれから起きるコトに対して、息を潜めているようだった。まだ動くことが出来ない。異様な雰囲気だった。
ジワジワと音量を上げ、まるで何かが忍び寄って来るようなあのサウンド…!徐々に会場の雰囲気が緊張で張り詰めてくる。
まるでお腹の底を何かにつつかれているような感じがした。その刺激が徐々に強くなっていく。

そしてしばらく引っ張ったあたりで、ついに音と映像と照明がついに爆発した!
まるで、本当にグリーンステージで何かが爆発したかのようにその瞬間、会場は一斉に飛び上がった!飛び上がったというよりも吹っ飛ばされたという感じの方がふさわしいかもしれない。まさに爆音、轟音だった。その瞬間から全ての人が見事なまでに同時に飛び跳ねるのだ。

その瞬間は、言葉で言い表せないほど興奮する光景だった。
たった二人の人間が、あの広い会場にいるほとんどの人間(何万人かはしらないが)を、面白いくらいに狙い通りにコントロールし、支配した。
そういう俺自身も当然、二人に完全に支配されてしまい体が勝手に激しく踊りだす。
こうなってしまったら、もうどうすることも出来ない。
童話「赤い靴」のように足を切らなきゃもう止めることは出来ないんじゃないだろうかってくらいに踊り続けさせられたし、踊り続けた。
スクリーンに映し出される映像もさらに気分を盛り上げてくれる。
もう、本当に動きが止まらなかった。

セットリストとしては、そのCome With Usから始まり、ノンストップでIt Began In Afrika、Music Responce、Block Rock'in Beatsなどで各アルバムの代表曲が次々と流された。

特に中盤で流されたStar Guitarは最高だった。
その夜は、満点の星空ということにはならなかったものの、彼らの曲でこの曲ほど野外で聞いてみたい曲は他にない。
徐々に、空に吸い上げられてしまうような高揚感のあるメロディがたまらなく心地が良かった。興奮の嵐の中でも、この曲だけは純粋な感動があった。

そして、リチャードアシュクロフトのボーカルの入ったThe Testで一旦終了し、二人はステージを去った。

その後、アンコールにこたえて後半戦突入。
詳しい内容は正直あまり憶えていないが、とにかく後半も踊りまくった事だけは確か。
Hey Boy Hey Girlでまたしても興奮炸裂した記憶はある。

そして最後の曲を終えた後、スクリーンに巨大な文字が映し出された。


LOVE IS ALL

ステージ上のスクリーンに映し出されるこの言葉。彼らはこのメッセージを音楽で伝えたかったのだろうか?
会場から大きな拍手と歓声が沸き上がった。
そしてケミカルの二人は拍手とお辞儀をしてステージを去っていった。

PET SHOP BOYSを見ている時は、ケミカルよりもトリにふさわしいんじゃないかって思っていたが、やはりケミカルはそれを遥かに上回るほどさらに凄まじかった。
音楽が素晴らしいのはもちろんだが、なんと言ってもあの会場の雰囲気、あの光景がたまらなかった。あまり前に行けなかったが、かえってあのすごい光景を見る事が出来たのがラッキーだった。

こうして俺のフジロック初日は最高の気分で幕を閉じた。The Chemical Brothers最高!


その4(3日目 前半)へ続く