●JIS漢字コードの変遷

JIS漢字コードの変遷をまとめてみました。紆余曲折なため、覚え書き。


●1978年

JIS X 0208-1978」(当初の名前は「JIS C 6226-1978」で1987年に改名)制定。通称「78JIS」「JIS78」「JIS1978」「旧JIS」。
字数 位置
第1水準 非漢字 453字 01区94字、02区14字、03区62字、04区83字、05区86字、06区48字、07区66字
漢字 2965字 16区〜46区に94字ずつ、47区に51字
第2水準 3384字 48区〜83区に94字ずつ


●1983年

JIS X 0208-1983」(当初の名前は「JIS C 6226-1983」で1987年に改名)制定。通称「83JIS」「JIS83」「JIS1983」「新JIS」。
字数 位置
第1水準 非漢字 524 01区94字、02区53字、03区62字、04区83字、05区86字、06区48字、07区66字、08区32字
漢字 2965字 16区〜46区に94字ずつ、47区に51字
第2水準 3388 48区〜83区に94字ずつ、84区に4字

・JIS78→JIS83での大きな変更点
(1)第1水準・第2水準の位置交換(22組)
鯵鰺 鴬鶯 蛎蠣 撹攪 竃竈 潅灌 諌諫 頚頸 砿礦 蕊蘂 靭靱 賎賤 壷壺 砺礪 梼檮 涛濤 迩邇 蝿蠅 桧檜 侭儘 薮藪 篭籠
(左が第1水準、右が第2水準)
※このうち「靭靱迩」は字形の変更も行われた。

(2)第1水準を第2水準末尾に位置移動+第1水準に追加(4組)
尭堯 槙槇 遥遙 瑶瑤
(左が第1水準、右が第2水準)

(3)例示字形変更(254字) ⇒詳細
唖逢芦飴溢鰯淫迂欝厩噂餌焔襖鴎迦恢拐晦概喝葛鞄噛澗翰翫徽祇侠卿僅躯喰櫛屑靴祁慧稽繋荊隙倦嫌捲鹸諺巷昂溝麹鵠甑采冴榊柵薩鯖捌錆珊屡遮杓灼繍酋曙渚薯藷哨廠梢蒋醤鞘蝕靭逗翠摺逝蝉撰栓煎煽詮噌遡創掻痩遜騨腿黛啄濯琢蛸巽辿棚鱈樽箪註瀦凋捗槌鎚塚掴辻鄭擢溺填顛堵屠菟賭塘祷鴇涜瀞噸遁頓那謎灘楢禰嚢牌這秤剥箸溌醗挽扉樋柊稗逼媛謬廟瀕頻蔽瞥娩庖泡蓬頬鱒迄麺儲餅籾鑓愈癒猷熔耀莱遼漣煉蓮榔蝋兔冉冕冤唹唳嘲嚥堋媾寃屏悗捩搆攅斃枦枴梛梍湮爨珎甄甍甕皓硼稱龝箙粐粮綛綮綟翔舮芍苒茣荵蔗蛛螂蟒褊覯諞譁跚踉輓迪遘邉扈釁霤靠靱頤鬮鮗鯲麪龜
※このうち29字はJIS78の包摂設計と矛盾する変更であったことがJIS97で明記された。これを含む141字はJIS78とほぼ同形の例示字形がJIS X 0213で復活している。

(4)非漢字追加(71字)
∈∋⊆⊇⊂⊃∪∩∧∨¬⇒⇔∀∃∠⊥⌒∂∇≡≒≪≫√∽∝∵∫∬ʼn♯♭♪†‡¶◯ (2区)
─│┌┐┘└├┬┤┴┼━┃┏┓┛┗┣┳┫┻╋┠┯┨┷┿┝┰┥┸╂(8区)


●1990年

JIS X 0208-1990」制定。通称「90JIS」「JIS90」「JIS1990」。⇒文字一覧
字数 位置
第1水準 非漢字 524字 01区94字、02区53字、03区62字、04区83字、05区86字、06区48字、07区66字、08区32字
漢字 2965字 16区〜46区に94字ずつ、47区に51字
第2水準 3390 48区〜83区に94字ずつ、84区に6字

また、「JIS X 0212-1990」も同時に制定。通称「JIS補助漢字」「補助漢字」。 ⇒文字一覧

字数位置
非漢字 266字 2面02,06区に21字ずつ、2面07区に26字、2面09区に27字、2面10区に86字、2面11区に85字
漢字5801字2面16区〜76区に94字ずつ、2面77区に67字

・JIS83→JIS90での大きな変更点
(1) 追加 (2字)
凜熙
(「凛煕」の異体字)
※人名用漢字改定にあわせて追加したもの。

(2) 例示字形変更 (225字) ⇒詳細
偉緯違厩餌衛延沿鉛翁芽雅慨概殻敢貫巌頑帰窮均傑穴健建鈷檎交公更校硬絞考購降拷罪使史姉謝邪収輯柔瞬舜楯松訟丈埴植職親遂据摂船総聡像誕恥兆眺聴跳庭廷艇桃逃派排輩班頒悲扉斐緋誹貧父葺分噴憤粉紛雰蔽便捧盆桝脈耶翼吏隣麟麗聯聾湾傅冓凛匕區雙喩囁圍墫姚娶媾嵎嶇巉巓弭徘惘愽懾扨拏攝搏擲敝晟枩柧楫椰榧橄檐氈氓渣漑滾漾燿珥琲瑟瓠甌癲礪磔禺稙窕糲絳緝縵翡聚聟聳聰聶腓膊膵臍菲蕕藕蜚蠶袞裘裴褫褻襪襯訝豕贅贏齎躑躡遒逎鄰酖酘酥酳酲醢醯醪醴醺鑷隘霽靠靱頌顳飃驅魍鯆鯡鯱鵈鷏鼈


●1997年

JIS X 0208:1997」制定。通称「97JIS」「JIS97」「JIS1997」。

字数位置
第1水準非漢字524字(JIS90と同じ)
漢字2965字(JIS90と同じ)
第2水準3390字(JIS90と同じ)

※字数・字形は変更されていない。
※符号化方式・包摂基準・典拠など文字規格としてより明確化されており、JIS78からJIS90に至る矛盾を包含するように大幅な記述追加を行っている。


●2000年

JIS X 0213:2000」制定。通称「2000JIS」「JIS2000」「JIS第3,4水準」「JIS拡張漢字」。⇒文字一覧

字数位置
第1水準非漢字524字(JIS90と同じ)
漢字2965字(JIS90と同じ)
第2水準3390字(JIS90と同じ)
第3水準非漢字659字02区に41字、03区に32字、04区に8字、05区に8字、06区に46字、07区に28字、08区に52字、09区〜11区に94字ずつ、12区に85字、13区に77字
漢字1249字14区,15区に93字、47区に41字、84区に87字、85区〜93区に94字ずつ、94区に89字
第4水準2436字2面01区,03区,04区,05区08区,12区〜15区,78区〜93区に94字ずつ、2面94区に86字

※ JIS X 0208と共通する区点位置に包摂基準例外を設けている都合上、JIS X 0208とは互換性がない。
※ 第4水準の配置が飛び飛びになっているのは、JIS X 0212の区点位置と重複しないようにしているため。


●2004年

JIS X 0213:2004」制定。通称「2004JIS」「JIS2004」。

字数位置
第1水準非漢字524字(JIS90と同じ)
漢字2965字(JIS90と同じ)
第2水準3390字(JIS90と同じ)
第3水準非漢字659字(JIS2000と同じ)
漢字125914区,15区,85〜94区に94字ずつ、47区に43字、84区に88字
第4水準2436字(JIS2000と同じ)

・JIS2000→JIS2004での大きな変更点
(1) 例示字形変更(168字) ⇒詳細
逢芦飴溢茨鰯淫迂厩噂餌襖迦牙廻恢晦蟹葛鞄釜翰翫徽祇汲灸笈卿饗僅喰櫛屑粂祁隙倦捲牽鍵諺巷梗膏鵠甑叉榊薩鯖錆鮫餐杓灼酋楯薯藷哨鞘杖蝕訊逗摺撰煎煽穿箭詮噌遡揃遜腿蛸辿樽歎註瀦捗槌鎚辻挺鄭擢溺兎堵屠賭瀞遁謎灘楢禰牌這秤駁箸叛挽誹樋稗逼謬豹廟瀕斧蔽瞥蔑篇娩鞭庖蓬鱒迄儲餅籾爺鑓愈猷漣煉簾榔冤叟咬嘲囀徘扁棘橙狡甕甦疼祟竈筵篝腱艘芒虔蜃蠅訝靄靱騙鴉屢

(2) 追加(10字)
俱剝𠮟吞噓姸屛幷瘦繫
(「倶剥叱呑嘘妍屏并痩繋」の印刷標準字体)
※ここで変更・追加された178字はすべて「表外漢字字体表」と字形を一致させたもの。


●Microsoft CP932

IBMおよびNECが独自にJIS78に追加して拡張実装した文字コード。Windowsに引き継がれたため、「Windows機種依存文字」と呼ばれる。
Unicode 1.1にすべて採録されているため、utf-8エンコーディングであれば文字化けの可能性のある機種は少ない。 ⇒文字一覧

字数位置
NEC機種依存文字97 + 360 = 457字13区に83字(非漢字)、89区〜91区に94字ずつ、92区に92字(非漢字14)
IBM機種依存文字28 + 360 = 388字115区〜118区に94字ずつ(非漢字28)、119区に12字

※13区では、JIS83で02区に追加された「∪∩∠⊥≡≒√∵∫」と重複するのでややこしい。
※115〜119区は、13区の一部と89〜92区にまるまる重複する。さらに、90区・116区では、83JISで訂正された25区の「昂」と重複するのでややこしい。


●各コードセットの対応関係

各コードセットの対応を下図の枠で示す。枠内の数字は、そこに含まれる文字の字数を表す。例えば、JIS X 0212、JIS X 0213、Windows機種依存文字のいずれにも含まれている漢字は全部で229字ある、など。⇒文字一覧
【漢字】
【非漢字】


H16/10/23 初出、H30/07/01 更新
漢字箱