どんどん「古い音」(いい意味で!)になっていくMaramdukeの2013ニューモデルである。
今回のスモールチャンバーはある意味アルトの定番とでも言おうか、吹けばすぐに「あ〜コレコレ!」的ものを感じる事ができるマウスピースだ。反応も早く、チャンバー内がすぐに空気で一杯になるので、ギュっと詰まった感じで常に吹きたい人にはとても良いと思う。絶対音量はそれほど大きくは出ないのだが、パワーの圧縮感があってエネルギッシュな感じに吹ける。キャノンボールやフィルウッズの雰囲気だ。はたまたソニークリス的かもしれない。
抵抗感の少ない吹きやすいマウスピースなのだが、ここでラクをしては良い音にならない。是非ともプッシュして吹いて欲しい。もちろんチャンバー容量の関係で、JAZZモデルよりは細めの響きになるのだが、比較しての話であって、吹いてて「細いな」とは感じない。むしろ楽器をバリバリ鳴らす事が可能なので吹いてて楽しい。筆者も大変気に入った。「バリバリ」とは言っても全体のトーンがダークだし、ハードラバーの響きも硬くないので、やはり「ジャズ」を強く感じることができる。ビバッパーが好きそうな感じだなぁ。
造りも良く出来ていて、フラジオなども当てやすく出来ている。フレイズのつながりも滑らかだ。
一人や少人数でジャズのスタンダードかなんかやるのにとても良いと思う。こういう凝縮感のある音はテナーにはないアルトだけの楽しみでもある。エレクトリックでもマイクでちゃんと拾えばバランス良くマッチするとは思うが、状況によっては埋もれてしまう可能性があるので、MarmadukeならばJAZZモデルかスーパーチャンバーモデルを使った方がよりマッチするだろう。
一方で息のスピードが十分に確保できない女性や、筆者ももうすぐ突入する高齢世代のプレイヤー達がジャズを楽しむマウスピースとしても非常にオススメだ。少ない息でもそれなりにスピード感のあるサウンドが得られるからだ。それだけではなく、クセは少ないマウスピースなので多くの人に勧められるが、そのわりに音色が雰囲気があってジャジーなのがウレシイところだ。
バランスアクションやマーク6、ヤマハの82Zとか62などライトな音色の楽器にマッチするだろう。(キングSuper20とかもいいが言い出すとキリがないので)キャノンボールのビッグベルとか、YAS875とかセルマーのシリーズ2なんかのファット系ではちょっとミスマッチかもしれない。筆者的には状態の良いYAS-61あたりに付けて吹くと気持ちいいんじゃないかな?と思ったりする。
より広い表現や音色の変化、深みやもっとパワーが欲しい人はJAZZモデルを使うと良いだろう。
2013/10/11
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