ジャズプレイヤーの中でも高い評価を得ているマーマデュークオリジナルマウスピースであるが、2012年、またまたバージョンUPすることになった。
外観は今までのモノと大きく変わる所は無いが、今回はキャノンボールアダレイのサウンドをイメージしたそうで、筆者も大好きなキャノンボールとあって吹く前から期待は膨らむばかりである。
ニオイは結構ゴム臭く、その点ではNYマイヤーに匹敵すると言っても過言では無い。この手のマウスピースはもう素材の持つサウンドを抜きにしては語れない。マーマデュークはその点ではハードラバーの王道を行っていると言えよう。
さて、早速吹いてみる事にする。
一聴して感じるのは、スタンダードなマイヤーなどより、吹き始めからハスキーで、フォーカスの幅の広い音色を持っていることである。これはアンラッカーの楽器にも通じるような「ザラッ」とした音の感覚だ。パワーを入れて吹いてもマットなサウンドが持続するので、なるほどキャノンボールのようなスタイルの人にもいいだろう。筆者の個人的な感覚だと、ルードナルドソンのようなハスキーで太いアルトサウンドを思い起こさせた。
かなり「ザー」という「エア」の音成分が多く含まれるマウスピースなので、それを活かすためにも、筆者ならアコースティックな生音の環境で使用したいと思う。
前回までのマーマデュークはオールマーティーなマイヤータイプで、80年代初頭の「マイヤーでフュージョン」みたいなサウンドにもマッチしたが、今回のモデルはよりジャズにシフトした「古い」感じのサウンドが楽しめる。明らかにファットでウォームかつハスキーだ。
むろん吹きにくさはみじんも無くて、キャリアの浅いプレイヤーでも十分に吹ける。筆者がレッスンさせていただいてるキャリアの浅めの人も「前のモデルより吹きやすくなった」と言っており、その音を筆者が聞いてみても、明らかにジャジーでハスキーな音色が、ムリなくラクに吹けているように聞き取れた。
筆者が吹くとすれば、ちょっと硬めのリードを付けて、より息をムダに使って、サブトーンで「スースー」音を楽しんでみたい。キャノンボール的なスタイルだけではなく、アートペッパーやポールデスモンド的なサウンドにも十分挑戦できる。押さえめに吹くのもセクシ−でなかなか良い。
なお、これほどファットでウォームなサウンドのマウスピースだが、フラジオ性能はさすが現代のマウスピースで、この手のマウスピースとしてはかなり出しやすい。
なお、差し込み径は若干太めなため、普段ビンテージマウスピースを使用している人にはコルクの調整が必要になるかも知れない。
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