6. すごい男
予想通り彼は食いついた。
【希←のぞみ?俺は高橋幸大(当然仮名)っていいます!俺も中三!学校はどこにあるの?】
ご覧の通り、全ての文の終わりに「?」か「!」が入っている。ものすごいハイテンションぶりである。しかし私と星也は、彼がのぞみという漢字を読めたことに驚いた。読めないという設定で先を読んでいただけに、多少計画がずれてしまった。仕方ないので質問に答えることに。
【のぞみであってますよ☆学校は千葉県の柏市っていうところにあります。田舎ですよ(笑)高橋君の学校はどこにあるんですか?どんな学校ですか?】
ここら辺はネットで調べたので完璧である。そして学校について逆に聞き返してみた。どう返信するか非常に楽しみであった。
・・・しかしである。今まで確実に3分以内に返信してきた彼だったのだが、いきなりメールが来なくなってしまったのだ。この予想外の出来事に私と星也は焦った。
私「ここへきて疑い始めたか?」
星「今までのやりとりはなぜ?って感じだよな」
待つこと20分。星也はもう帰る準備を始めていた。その時である。星也の携帯の着メロが鳴り響いたのだ。そう、高橋君からメールがきたのだ!なぜ遅れたのか?疑問に思った私達であったが、彼のメールを見て謎は全て解けた。
ひたすら長いのである。 学校について、これでもかというほど詳しく書かれていた。同じ学校に通っている私ですら(こいつ気持ち悪い)と思ってしまった。本来なら全文を紹介するべきだが、私と星也は証拠隠滅のため、彼からのメールを全て削除してしまったのである。よってここでのメールを事細かに説明するのは不可能なので、最初と最後だけ紹介しよう。
【俺の学校はね、校則が厳しい!・・・・・・・・・・・千葉は田舎いいね!】
最後の文章は印象に残っている。なぜなら意味不明だからである。千葉は田舎いいね!千葉の田舎は素晴らしい、ということだろうか?だが彼の田舎は新潟である。知ったような口をきかないでほしい。無断で愛川さんの領域に踏み込まないでほしい。
7へ続く
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