4. 実行
星「最初はなんて送る?慎重に考えろよ」
 さすが星也。最初がいかに重要かを熟知している。
私「アドレス間違えて送っちゃった、っていうのは?」
星「よし、それでいこう」
 意外にすんなりと決まった。こんな奴らだから、文章を考えるのも早い。一番最初に送ったメールは確かこんな感じであった。
 【ちゃんと送れた?】
 
設定としては、彼女(愛川さん)の友達が携帯を新しく買って、アドレスを教えてくれたんだけど間違えて送ってしまったという、そんな奴いるか的な形である。補足だが、愛川さんの性格は多少おっちょこちょいだが、天然までには至らないという男子受けしやすいタイプである。
 しばらく待つと、返事が返ってきた。
 【どなたですか??】
 なんともおもしろみのない、マニュアル通りの返事である。これに対し、
 【え?西川君じゃないの?】
 
と送った。なんで西川君なのかは不明。するとすぐに
 【全然違いますよ。高橋です】
 奴は名乗った。
星「なんかいい感じじゃん!」
私「この調子でいこう」
 ということで、次のメール。
 【え!うそ!ごめんなさい!アドレス間違えてしまいました】
 確かこんな感じであった。多少文体がおかしいが、愛川さんはおっちょこちょいなので気にしない。すると彼は
 【いや、全然いいですよ。気にしないで】
 と送ってきた。優しい。さて次のメールである。
 【でも、これで会ったのも何かの縁ですよね!よかったらメル友になりませんか?】
 今思うとかなり図々しい女である。こんなメールで大丈夫か?と思われるかもしれないが、高橋君なら大丈夫。彼ならきっとやってくれる。
 【いいっすよ!】
 ほらね。                                  5へ続く


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