2. 彼の更なる栄光
 
  といったものの、どのようにすれば奴を苦しませることができるのだろう?長いこと考えてみたが、なかなかいい案が思いつかない。 そんな感じでもたついている間に、運動会が近づいてきた。
 運動会といったらリレーである。また、リレーで誰かを抜かす=キャーキャー言われる、という黄金の方程式が存在する。私は別の種目に出ていたのでリレーには出なかったが、彼はクラス別リレーのアンカーを請け負っていた。
 ところがハプニングである。第二走者の藤森君(生徒会長で、しかも容姿はかなりよかった)が他者と接触し転んでしまい、大きく遅れをとってしまったのだ。第三走者が走っている頃には、他のチームはゴールしていた。つまり、高橋君は一人で走ることになる。
 私は(こんなこともあるんだなー)と平静を装いつつも、内心ガッツポーズであった。今考えるとすごいやな奴である。
 だが彼にバトンが渡ると、なぜか会場全体から歓声があがったのである。と同時に、全力で走る高橋君がいた。
  あっという間にゴールする高橋君。湧き上がる歓声。褒め称える教師達。
 そして、そこは違うだろ!とつっこむ一部の人間。 まさに天国と地獄。
 
 その夜はクラスで打ち上げが決行された。もちろんファミレスである。しばらくワイワイやった後、高橋君が私に携帯を見せつけてくれやがった。「何?」と聞くと受信メールを見せられた。そこには、
 「今日はカッコよかったよ(^-^)」(当然女子からのメール)などと書かれていた。私は愛想笑いをしてあげた。
 
だが、これを見て私はなにかがひらめいたのだ。
                                       
                                        3へ続く

                                        


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