佐藤正人の“音楽セミナー”第12回 「新入団員の皆さんへ」
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1 はじめに | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
新入団員の皆さん、期待や不安で入団されていると思いますが、
早く川越奏和奏友会吹奏楽団の一員として力が発揮できるように心から応援しています。 ここに皆さんに知っておいてほしい内容の一部が示してあります。 参考にして練習と合わせて、音楽の楽しみ方を自分の物にしてください 1.用意してほしいもの
楽器演奏(ソロ、アンサンブル、合奏)のチェックポイント(○×)
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2 演奏のステップアップを目指して | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
皆さんが、演奏の場で、指導者の先生から「うたって!」「フレーズ」
「もっと気持ちをこめて」………などと言われたことはありませんか。
このような言葉を聞いて、皆さんはどのように楽器を吹きましたか?
何となく言われていることは分かるのですが、具体的に何をどのようにしていいのか、
口で説明することはとても難しいですね。 「その音符をもっと短く」とか「もっと大きく」「もっとレガートで」「そこからディミヌェンド」と言われた方が、 前の言葉と比べれば、まだ理解しやすいですね。 しかし、いずれにしても演奏者自身の判断が必要になってきます。 演奏者自身の判断とは、何に基づくものなのでしょう。 それは、その人それぞれの「音楽上の趣味」すなわち「音楽性」と言うことができます。 「音楽性」を身につけるためには,一流の演奏家の演奏を数多く聞くことと、 すぐれた指導を受けること、テクニックや音楽性や音楽史などに関する優れた書物を読むこと。 そして、多くの演奏経験を、ソロやアンサンブルなど分野を問わずに積むことです。 これらのことを踏まえて、自分自身の音楽的な環境を整備し、優れた「音楽性」を身につけてください。 さて、具体的に音楽性を身につけるうえで、いくつかの注意点を挙げてみましょう 1) フレージング 曲、エチュードなどを問わず、演奏する上で何よりも気を付けなくてはならないものにフレージングがあります。 ひとつの文章には句読点が必ずあります。音楽上の句読点は、ブレスの瞬間と考えることができます。 レッスンの時に、息継ぎが多すぎると注意された人は、ひとつの文章(フレーズ)をぶつぶつと細かく切っていたことと思います。 ひとつのフレーズの範囲をどう考えるかということが、とても大切です。 どこからどこまでを一つのフレーズと決めるときには、呼吸を応用して考えてみましょう。 歴史上、最初に開発された楽器は、人間の声でしょう。 歌を歌うときは、息をとらなくてはなりません。また、聴いている人も息をしています。 演奏者もフレーズと一緒に息をしているつもりで演奏すれば、自然なフレージングになることでしょう。 「フレージング」は、「呼吸」を応用して考えましょう。 2) ダイナミクス 「ダイナミクス」は、音楽においては、楽譜上で、pp、p 、mf、f 、ffといった記号を用いて示されます。 合奏のときに指揮者から「もっと大きく」とか「もっと小さく」と指示をされたことがあると思いますが、 これは、他のパートに比べてとか、指揮者の耳では、という観点にたったうえでの言葉です。 ダイナミクスのことを考えるとき、他のプレイヤーと関係なく、自分自身の演奏における「ダイナミクス」と、 アンサンブルにおいて、自分が出している音と他のプレイヤーの音との相対的「ダイナミクス」と二つの考えを持たなくてはならないでしょう。 ダイナミクスでもう一つ大事なことは、音色感です。 ダイナミクスは、音量とともにその音量にふさわしい音色感を持っているものです。 例えば、pは自然でなめらかな甘い音色。mfでは音に豊かさが加わり、それぞれの楽器の特徴ある音色になる。 fになると自然に逆らって音が出てくるような感じになり、というようにです。 重要なソロのダイナミクスの指示がpということは、実際にあることです。 この場合、ただ音量のことだけを考えて演奏してしまうと、伴奏の中に埋もれてしまうということになるでしょう。 この時に、pの音色感を持ったままmfの音量で演奏することができれば、そのソロは伴奏ともバランスのとれ、 聴いている人にはpの音量で聞こえることでしょう。 3) テンポ 楽曲を演奏するときの作品解釈をするうえで、もっとも重要な音楽的要素のひとつに、テンポがあります。 テンポは、イタリア語による表記が一般的です。 これらはテンポを決定する上で、大いに役立つことでしょう。 皆さんは、それぞれの楽語の意味やその順序について、どのくらい知っていますか。
これらの言葉に、molto(非常に) 、meno (より少なめに) 、poco (いくらか) 、 non troppo(過度にならないように) 、assai(極端に) などの言葉がついて用いられることもありあす。 これらの言葉がついたために、かえってテンポの決定に迷うこともあります。 演奏者は、音楽的なセンスをフルに発揮して、テンポの決定を行う必要があります。 同じ用語を使用していても、完全に同じテンポを指示している作曲家は二人といないでしょう。 しかし、これらの用語は、作曲家の意図を知る大きな手掛かりになります。 4) イントネーション 演奏を評価するときに、どのような項目があるでしょうか。 正確なリズム、正しいイントネーション、ダイナミクスのコントラスト、表情の豊かさ、音質などが挙げられます。 その中でも、イントネーションの正確さは、アンサンブルなどでハーモニーを聴けば一目瞭然でわかってしまいます。 リズムなどは、楽譜を知らないかぎりは、演奏者のアタックがずれていない限り分かりませんが、 イントネーションすなわち音程については、すぐに分かっていしまいます。 演奏する人は、縦と横からイントネーションを考えなくてはならない、と言われています。 縦のイントネーションは、和音を構成する音それぞれの関係のことです。 例えば、アンサンブルのメンバーは、和音の中の一つの音を受け持っていることがほとんどです。 その和音の中で、自分の受け持っている音が、 回りのプレイヤーの音と合っているだろうか?ということについて常に神経を配ることです。 「もう少し高めにしたほうが良いのか、あるいは低めにしたほうが良いのか」と自分を批判的に聴くことです。 メンバーが、お互いに協力して音を合わせていくことで、素晴らしいイントネーションを得ることができるでしょう。 横のイントネーションとは、例えば旋律を構成する音と音の開きを、正確な音程で演奏することです。 日頃、正確さを心掛けてスケールやアルペジオのデイリートレーニングを行っていれば、大変役に立つでしょう。 このトレーニングができている人は、鍛え抜いた耳を用いて、フレーズの中で一つの音から次の音へと 正確なイントネーションで演奏できるでしょう。 何回か繰り返して演奏しているうちに、演奏者は、遅かれ早かれ音の動きを予測して演奏できるようになり、 演奏しながら自分で聴くことのできるひとつの「旋律」に作り上げられていくことでしょう。 <基礎練習の注意事項(各個人で毎回確認)> ・ ブレスはしっかりできていますか、息の支えはどうですか ・ 音程は、正しくとれていますか、音程の感覚はどうですか ・ 姿勢は良いですか、アンブッシュアは安定していますか ・ 音量は、一定に保たれていますか ・ 発音は美しいですか、ていねいにタンギングしていますか ・ 音の処理は適切ですか、音に余韻がありますか ・ 息の出し方(圧力・スピード)は良いですか ・ 音色は美しいですか(響きがあるか) <呼吸練習> テンポ4分音符=60 にセット ○ 練習パターン例 ・2拍吸う→4拍吐く 2拍吸って4拍はく (息をはく前に2拍止める練習も入れる) ・1拍 → 4拍 〃 1拍吸って8拍はく(息をはく前に2拍止める練習も入れる) ・1拍吸ってから 8拍はいて、素早くブレスし、 8拍 → 8拍 と連続してフレーズをつなぐ練習。 ・4拍吸って一気に吐く 4拍吸って4拍ではく等 パターンを変えて練習 <確認> ・ブレスは大きく、深く、ブレスは、テンポでとる。 ・肩を上げない (はく前に息を止めた時リラックス) ・「スーッ」と歯に息を当てて摩擦音で抵抗を付けて練習 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
3 素晴らしい演奏のために! | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
演奏者の持っているテンポ感・リズム感・音色感は、その奏者の音楽に直接影響し、 この感覚次第で演奏を良いものにも悪いものにもします。 少しずつのトレーニングの繰り返しにより、良い感覚が徐々に身につき、あなたの演奏が生きた音楽に成長していくのです。 そのために基礎力の充実を図らねばならないのです。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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