佐藤正人の“音楽セミナー”


第11回 「吹奏楽部の指導・運営についての参考資料」

1 バンド指導者としての条件
2 バンドディレクターとしての資格のチェックポイント
3 リハーサルテクニックのチェックポイント
4 吹奏楽コンクールに向けての練習ポイント

1 バンド指導者としての条件
・活動をシステム化する。
・人のところへいく。
これまでの主な視察校: 前橋市立第一、第二、第三、第四中学校、前橋商業高校、 習志野高校、土気中学校、大月東中学校、柏原中学校、愛工大名電高校、埼玉栄高校、 出雲第一中学校、大社中学校、宝梅中学校、城陽中学校、中山中学校、他
(主に埼玉県西部地区吹奏楽連盟の研修旅行で、見学)
・レパートリーの知識をもつ
・楽器の基本的な原理を会得する
・良い楽器店をもつ
・音(サウンド)に対するイメージをもつ
2 バンドディレクターとしての資格のチェックポイント
たくさんの職務に対して自分自身が厳しくチェックするために、反省点のポイントを次に紹介します。
これらの項目を反省し、一つずつでも実施していくことによって近代的なバンドを育成するための基礎になると確信しています。
[参考文献:『これからのスクールバンド(運営編)』/草思社]
[ ]1 教えることが真に楽しいかどうか。
[ ]2 音楽における教育の重要性を感じているか。
[ ]3 自分の音楽の指導レベルを常に向上させようとしているか。
[ ]4 自分の生徒をいかに把握するかを常に考えているか。
[ ]5 指導に対して情熱をもっているか。
[ ]6 自分だけ熱狂して生徒と心が離れていないか。
[ ]7 繰り返して練習することの大切さを知っているか。
[ ]8 自分の頭にスコアがあるか。またスコアのなかに自分の表現を盛り込めるか
[ ]9 スコアを研究する時間を作っているか。
[ ]10 生徒に対してあなたが、興味、関心、意欲をかりたてるすべを知っているか

[ ]11 自分の専門の楽器の訓練を毎日続けているか。(自分なりの音楽の勉強で良い)
[ ]12 コンサートやリサイタルに行っていますか。
[ ]13 良いサウンドや正しいイントネーションを自分自身で感じていますか。
[ ]14 音楽の練習で何がいちばん大切か考えているか。
[ ]15 まず楽器を教えるのですか。(楽器の操作を教えるのが教育ではない)
[ ]16 良い姿勢を教えているか。また、呼吸法について指導理論をもっているか。
[ ]17 生徒のアンブッシュア、アパチュア、に注意を払っているか。
[ ]18 生徒に「きくこと」を教えているか。
[ ]19 生徒に各楽器の機能や特色を説明できるか。
[ ]20 アタックや発音法、シラブルについて知っているか。

[ ]21 アーティキュレーションについて理解していますか。
[ ]22 自分のバンドは基本的なリズムを正しく演奏できますか。
[ ]23 内声部は明瞭に聴こえるか。また、バランスはどうか。
[ ]24 よく鳴り響くフォルテと美しいピアノを自分のバンドはもっているか。
[ ]25 生徒に読譜力はついているか。
[ ]26 適切なフレージングを考えていますか。
[ ]27 あなたの生徒は楽器を通して歌っていますか。
[ ]28 生徒に音符から色々な意味やイメージを読み取らせていますか。
[ ]29 あなたのバンドは敏感にそして、生き生きと演奏をしていますか。
[ ]30 生徒はいつも指揮者を注目していますか。

[ ]31 あなたの指揮法は明瞭で理解しやすいですか。
[ ]32 悪い習慣(練習方法)はついていないか。
[ ]33 いつも新しいアイディアに燃えていますか。
[ ]34 練習を面白く親切に進めていますか。
[ ]35 初歩の奏法に対しての導入法を知っていますか。
[ ]36 生徒にいかに良い条件の楽器で演奏することの大切さを教えているか。
[ ]37 楽器の状態をいつも観察していますか。
[ ]38 ウォーミングアップの曲(パターン)を用意していますか。
[ ]39 良い楽器や楽譜のリストを用意しているか。
[ ]40 あなたは完全主義者ですか。

[ ]41 良い音楽を聴き、生徒にも良い演奏を聴かせていますか。
[ ]42 基礎練習の大切さを教えているか。
[ ]43 各楽器の奏法についてかえ指、ポジション、トリガー等の常識を知っている
[ ]44
[ ]45 各パートの練習は生徒の自主性で成立していますか。
[ ]46 各楽器ごとの教則本や基礎練習の方法は定着していますか。
[ ]47 楽曲にあった音楽のスタイル(様式)を理解していますか。
[ ]48 あらゆる様式の音楽を聴くように努力していますか。
[ ]49 和声に対して、正しい知識をもっていますか。
[ ]50 音楽史を勉強していますか。

[ ]51 ジャズ、ポップス、ラテン音楽等の音楽様式に精通していますか。
[ ]52 簡単なアレンジの知識(技術)は持っていますか。
[ ]53 指導者の組織で研修の機会をできるだけ持つようにしていますか。
[ ]54 あなたの応援者に常に誠意をもって接していますか。
[ ]55 生徒が生涯にわたって音楽を愛する仲間になるよう導いていますか。
[ ]56 リーダーを育てていますか。
[ ]57 できない言い訳をする前に努力していますか。
[ ]58 効率の良い練習のシステムと練習計画に支えられた活動を展開しているか。
[ ]59 指導言は、適切であるか(教育的配慮がなされたものであるか)
[ ]60 あなたは、音楽に感動し、分かちあえる感性をもっていますか。
 
3 リハーサルテクニックのチェックポイント
[ ]1 チューニングがあっているか。
[ ]2 個々の楽器や全体が良い音で表現しているか。又、響きのある豊かなサウンド
[ ]3 アインザッツはあっているか。発音は明瞭か。
[ ]4 正しいリズムで演奏されているか。
[ ]5 アーティキュレーションの処理は適切か。
[ ]6 各声部や楽器間、パート内のバランスは適切か。
[ ]7 ディナーミクのレベルを良く表現しているか。
[ ]8 音(息も)のスピード、距離感、響きはどうか。
[ ]9 音の長さ、リリースは適切であるか。
[ ]10 旋律は、適切なフレージングによって音楽的に演奏されているか。

[ ]11 奏法や音楽的要求に対する指示は具体的であるか。
[ ]12 曲のイメージをもたせているか。
[ ]13 メロディとオブリガート、ハーモニー等音楽的なバランスは適切か。
[ ]14 計画的、効率的なリハーサルが行なわれているか。
[ ]15 練習に活気とユーモアがあり、生徒は生き生きとしているか。
[ ]16 テンポキープはできているか。(メトロノームを有効に使用しているか)
[ ]17 音楽的な要求によるテンポ設定や拍子感は正確に表現されているか。
[ ]18 技術的困難を乗り越える練習方法を具体的に指示できるか。
[ ]19 リハーサルや指示にスピード感があるか。
[ ]20 生徒に考えさせる場面を設定しているか。

[ ]21 合奏ばかりでなく、セクション、パートの練習を細部にわたってみているか。
[ ]22 時には、広い会場でのリハーサルを心がけて設定しているか。
[ ]23 他の人のアドヴァイスを受けているか。(意見の交流をもっているか)
[ ]24 様々な奏法を研究しているか。
[ ]25 打楽器の奏法、スティック、マレット等楽器や音色、バランスを意識している
[ ]26 コントラバスの奏法(ボーイング等)に注意を払っているか
[ ]27 「どう聴こえるか」をいつも頭において練習しているか。
[ ]28 曲のもつ色彩感、場面による色(音色)の変化は生き生きと表現されているか
[ ]29 曲のスタイルにあった奏法によって表現されているか。
[ ]30 生き生きとして音楽的な魅力の感じられる(感動のある)演奏になっているか
4 吹奏楽コンクールに向けての練習ポイント
・音楽的内容のある、バンドの特性を最大限に発揮できる曲を選択する。
・練習計画を綿密に立案し、常に向上心と探求心をもって実践すべし。
・録音、録画等で練習をできるだけ客観的にチェックする。
・パート練習、セクション練習を充実し、細部にわたって確実に技術の定着を図る。
・ホール練習を確保し、音の伸び、響き、バランスを客観的にチェックする。
・音楽的な内容を掘り下げてアナリーゼし(できれば複数で)積極的に表現する。
・多くの人の意見をきく(しかし最終的に自分の納得できる演奏をする)
・一人よがり=生徒が不幸(審査は客観的)厳禁である。
・良い演奏(手本)は多数聴き、表現の幅を広げること。

・生徒と共に感動を分かち合える本番の演奏であるべし(本番は笑顔で!)
    そして
   演奏後は生徒の努力に対して感謝し最高の(感動的な)言葉で讃えること。

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