佐藤正人の“音楽セミナー”第1回 「アンサンブルについて」
| |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 アンサンブルとは? | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
アンサンブルとは、フランス語で「一緒に」「ともに」「つれだって」という意味があり、
オペラや演劇での合唱(合奏)団(主役以外の共演者)数人が加わることをさしていました。 現在では「調和のとれた組み合わせ」(婦人服の組み合わせ等)の意味にも使われています。 音楽では、2声部以上の合奏や重奏のことで、各声部(パート)1名の奏者で演奏することが基本です。 様々な楽器編成があり、その組み合わせを楽しみながら、いつでも演奏できるので、 アンサンブルはスクールバンドにとっても重要な活動の一つです。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2 良いアンサンブルとは | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
良いアンサンブルは「個々の奏者が、優れた演奏技術と合奏能力を持ち、
十分なアナリーゼに基づいた自分の表現を、楽器を通してお互い自由に発言し合う」ことであり、
良いアンサンブルの演奏は「お互いを良く見、イントネーション、バランス、フレージングを聴き合い、
十分にリハーサルを積むこと」で生まれると言えます。 また、室内楽として芸術性の高い楽曲は、各奏者に音楽家としての高い音楽性が要求されます。 アンサンブルの良い演奏を目指し、自分の担当する楽器の音の対するイメージや表現の幅を広げ、 様々な音楽の様式を理解するためにも一流の演奏家(演奏団体)の音を聴くことは、楽器の練習と同等以上に必要です。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
3 アンサンブルの編成 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
アンサンブルを組むときは、学校の(バンドの)実状によって楽器の組み合わせは、何通りも考えられます。 ここでは始めに、編成の名称に慣れるために、フルートが入る木管アンサンブルの編成にポイントを当てて組んでみましょう。
まだまだたくさんの演奏形態が考えられますが、実際にアンサンブルの編成は、どのような楽器を組み合わせるのでしょうか。 室内楽の伝統的な編成もふまえて述べていきたいと思います。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
4 アンサンブルの形態 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
管打楽器のアンサンブルは、大きく分けて2つに分類できます。(少々乱暴ですが) (1) 各楽器及び同属楽器によるアンサンブル
これらは、同じ種類の楽器によるアンサンブルで、吹奏楽編成の各パートで手軽に楽しめる形態だと言えます。 また、クラリネットやサクソフォーンのように、同属(ファミリー)楽器によるアンサンブルは、 音色の統一感があり、同種の楽器だけのアンサンブルより広い音域をカバーできるため、表現も豊かになります。 これらは比較的歴史の浅い楽器が多いので、近現代のレパートリーが中心になっています。 アンサンブルの組みやすい、この編成は、スクールバンドにおいてアンサンブルの主流になっています。 (2) 様々な楽器によるアンサンブル 種類の異なる楽器の組み合わせによるアンサンブルのレパートリーは同属楽器のアンサンブルより圧倒的に多く、 歴史的に見ても室内楽のジャンルに確固たる地位を築いている編成だと言えます。 同種や同属のアンサンブルのように、イントネーションの統一、 響きや音色の融和という点では難しい面もありますが、色彩的で表現力もさらに豊かなものになり、 室内楽としての魅力を最大に発揮できる形態です。音楽史上の大作曲家による優れた作品も数多く書かれています。 ● 木管アンサンブルの編成の例
この他にもサクソフォーンを加えた編成等も可能です。 ● 金管アンサンブルの編成の例
● 打楽器アンサンブル(パーカッションアンサンブル) 〜編成は作曲者が指定する場合がほとんどで、楽曲ごとに違うと思って良いです。 ● 混合編成…金管と木管、金管と打楽器、木管と打楽器、等の編成。 ちなみに、吹奏楽連盟のアンサンブルコンテストは、木管楽器、金管楽器、打楽器、混合編成の4つのアンサンブルに分けています。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
5 アンサンブル指導のための準備 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
アンサンブルの指導や練習の前には、いくつか準備が必要です。 先ず、スコアリーディングから始めます。 例えばバロック音楽のソナタのような作品は、オリジナルに近い楽譜が一般的で、 レガート、アーティキュレーション、ディナーミク等が記されていません。 このため指導する前に、バロック演奏解釈にもとずいて、楽譜を校訂しなければなりません。 このように、バロック音楽に限らず、作曲家の時代様式と、作風や楽曲の様式、 楽曲の形式や構成を把握するための分析が大切なポイントになります。 (楽典的なことから形式まで、すべて把握することが指導者の役割です) その準備に従って練習(小節)番号に沿って、バランスのチェック、ブレスなどの問題等をスコアにメモします。 それが指導のカリキュラムになり、指導計画が明確になります。 全体の練習は、指揮者がやるべきすべてのことをメンバーに託すことになります。 とくに1stパートの首席奏者は指揮者同様に曲のスタート、曲の節目、テンポの変化やフェルマータの際には、 目や上半身の動き、ブレスで合図を送らねばなりません。 そのためには、必要な事柄全てをスコアとパート譜に記入しなければなりません。 形式上、構成上、必要部分をチェックして指導にあたることは効果的、合理的に指導できます。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|