第二十回「ジャズの楽器について その9 ピアノ(2)」


 今回はポール・ブレイとキース・ジャレットという二人のピアニストの演奏を聴いて下さい。 ポール・ブレイは、1950年代から現在も活躍中のカナダ出身の白人で、「耽美的」と評される実に 独特な美しさを持った演奏を聴かせます。実は私の一番好きなピアニストなんです!もう一人の キース・ジャレットは現在最も人気のあるピアニストのひとりです。ピアニストはなぜか演奏中に うなり声を出したり足踏みをしたりする人が多く、キースはその代表です。

本日のレコード

1.「ミスター・ジョイ Mr.Joy」"Turning Point" 1968 Paul Bley Trio
2.「アイダ・ルピノ Ida Lupino」"Turning Point" 1964 Paul Bley Qurtet
3.「アイダ・ルピノ Ida Lupino」"Open to Love" 1972 Paul Bley solo

1.はピアノ・トリオ、2.はテナー・サックスの加わったカルテットの演奏。ベースはブレイとの 共演が多いゲイリー・ピーコック(私の一番好きなベーシスト!)です。3.は同じ曲をピアノ・ソロで 聴きます。 この2曲のテーマは単純だけれど想像力を刺激されると言うか、面白い曲です(ピアノで実演する)。 ブレイという人はおもしろい人で今日聴く2曲もそうですが、同じ曲を30年以上繰り返し録音していて、 2.3.はブレイの妻であったカーラ・ブレイ(ピアニスト、作曲家で自分のバンドで活躍しています。 カーラ・ブレイ・バンドもぜひ聴かせたいなあ)、1.はブレイの次の奥さんアーネット・ピーコック (なんとゲイリー・ピーコックの奥さんだった人)の曲です。ついでに2.3.のアイダ・ルピノっていうのは ハリウッドの女優の名前だそうで、どんな人かと思っていたらテレビの「刑事コロンボ」にゲスト出演しているのを 見ました。若い頃はさぞ美人だったんだろうなあ。

4.「オール・ザ・シングス・ユー・アー All the Things You are」"Standards vol.1" 1983
5.「ケルン・パート1 Koln,January 24.1975 Part1」"The Koln Concert" Keith Jarrett 1975

  キース・ジャレットの演奏はまずトリオによるスタンダード曲(ミュージカルの中の曲や流行歌 が何年もにわたって多くのジャズ・プレイヤーに取り上げられて知られるようになった曲)から。 ベースは同じくゲイリー・ピーコック。ドラムのジャック・ディジョネットのワイヤ・ブラシによる 演奏からスティックに持ち替えてしだいに盛り上がっていく素晴らしいドラミングにも注目。   最後はピアノ・ソロによる即興演奏。完全に即興で演奏しているにもかかわらず、美しいメロディーが つぎつぎと出てきます。    


生徒の意見

(女子A) 3.の「アイダ・ルピノ」なんとなく品がよくて好きです。1.2.3.ともやっぱり女の人が作ったという 感じが出ているような気がします。5.最後の曲はその場で作ったなんて信じられないほどきれいで すてきでした。録音して家でも聴いてみたいです。時々入る人の声が怖い?

(男子B) ピアノ・ソロを聞いていると眠くなってしまう。

(男子C) 1.渋くてよかった。2.3.はサックスもよかったが、ソロの方はムードがあった。4.最高によかった。5.とてもよかった。

(女子D) 1.ベースがすごくよかった。先生のピアノもよかったですよ。2.3.メロディーが日本の童謡みたいでなんか面白い曲だった。 同じ曲なのに、2曲目は明るくはずんだ感じで、3曲目はとても寂しいというか・・。ピアノは演奏している気持ちが とてもよく表せる楽器だと思います(ピアノだけではないとは思うけれど)。5.特によかったです。

(女子E) 1.短いけれど、全体の仕上がりがよくて、良い曲だった。2.ムードがゆったりとしているようでいてピアノはポロポロ 弾いていて難しい感じもした。3.強弱がよくわかって、ピアノ独特のやわらかさとか強さとかがよく出ているように思えた。 ピアノの高音にちょっと圧迫感というか迫力みたいなものを感じた。淋しさみたいなものも感じた。 4.ピアノとベースが速くて盛り上げていくようだった。それにドラムが加わってダイナミックさを増しているようだった。 5.未知の世界を思わせるようなピアノだった。妖精が竹林の中でピアノを弾いているようにも感じた。だんだん引き込まれるような 演奏で、本当に未知を思わせた。


ついに一番好きなポール・ブレイを聴かせたぞ。まあまあ受けたかな?

第二十一回へ
BACK