第十九回「映像で見るジャズ その1」


 今回は映像として記録されたジャズ・プレイヤーの演奏中の姿を見ながら聴いてみましょう。 最初は、エルヴィン・ジョーンズのドラムをゲストに加えた日本のプレイヤーによるジャム・セッション (臨時編成のグループで簡単な打ち合わせだけでアドリブのおもしろさを競う演奏)。次に、1960年代を 代表するジョン・コルトレーン・カルテットにエリック・ドルフィーが加わった映像。そして、カウント・ベイシー・ ビッグ・バンドとマイルス・ディビス・グループの日本での公演の記録を見ます。

本日のビデオ

1.「アンティグア Antigua」(air check) 1985

ジャズ・ライブ・スポット新宿ピット・イン20周年記念コンサートにおけるジャム・セッション。 サンバのリズムにのって渡辺香津美(g)、渡辺貞夫(as)、武田和命(ts)、向井滋春(tb)、辛島文雄(p)、 と80年代の日本ジャズ界を代表する人たちのソロが続き、エルヴィンのドラム・ソロになります。

2.「マイ・フェイバリット・シングス My Favourit Things」1961 John Coltrane Quartet plus Eric Dolphy

ジョン・コルトレーンのソプラノ・サックスでミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」の 中から「私のお気に入り」という邦題で知られる曲を聴きましょう。コルトレーンはこの曲が「お気に入り」で 数多くの録音を残しています。ドルフィーのフルート、マッコイ・タイナーのピアノのソロがあります。 コルトレーンとエルヴィン・ジョーンズのドラムとの即興的応答に注目して下さい。

3. 「ウエイアウト・ベイシー Way Out Basie」「ウインド・マシン Wind Machine」(air check) Count Basie Big Band 1985

  テレビで放映されたカウント・ベイシー・バンド日本公演の映像です。前にも言いましたがリズム・セクションの要、 フレディー・グリーンのリズム・ギターに注目。

4. 「タイム・アフター・タイム Time After Time」(air check) 1985 Miles Davis

 マイルスの85年来日公演の録画です。マイルス・ディビスの演奏は何回も聴いてきましたが、今回80年代のマイルス・バンドは なんというか・・洗練された、上品な、インスト・ロックみたいだけど、でもジャズで、マイルス自身は相変わらずで、素晴らしい。 この曲はシンディー・ローパーの歌で知っている人も多いでしょう?この時期のマイルスはマイケル・ジャクソンのHuman Natureも よく演奏しています。    


生徒の意見

(女子A) 1.渡辺貞夫の名しか知らないけど、ビデオでジャズを聴くのはとてもわかりやすいです。今誰のソロだな、ってすぐわかるし。 楽しいです。でもどんな音楽でも(特にロックのプロモーション・ビデオ)流れる映像に気を取られると音に「敏感」じゃ なくなってしまう気もした。2.うちにも「サウンド・オブ・ミュージック」のビデオがあります。この曲ずいぶんかわいい 曲だなあと思っていたのに、まるで別の曲のようです。3.一番面白かった。こんなに大勢だと見てて気持ちがいいです。 ソロの時に前に出てきて、またもどるところなんか初めて知りました。4.シンディー・ローパーの歌で知ってましたけど、 これはずっと品がよくてとてもきれいです。ほんとにきれいでした。

(男子B) レコードで聞くのと感じが違っておもしろかった。2曲目がよかった。

(男子C) 1.渡辺香津美がどこにいるのかわからなかった。2.「サウンド・オブ・ミュージック」は音楽の授業で見た。3.指揮者がおもしろい。

(女子D) 1.ジャズを演奏しているところを見るのはあまり機会がないのでおもしろかった。一人一人が音楽を楽しみながら演奏してるから 面白そう・・。ドラムの人はずっと手を動かしていなくちゃいけないので大変そう。2.白黒の画面で倉庫みたいなところで演奏していて、 雰囲気がいいかんじ。3.終わり方がいいーっ。4.マイルスってガンジーに似てるけどかっこいい。赤いトランペットなんてかわいい!

(女子E) 1.辛島文雄と言う人は知らなかったけどすごくよかった。ドラムは民族音楽みたいで個性的だった。2.ピアノもドラムもソプラノ・サックスも なにかを刻んでいくような感じの演奏だった。その中をフルートが流れていくように通り過ぎていくのが何とも言えない良さだった。 3.風格というか、すごみというか、「オーケストラ」という雰囲気がただよっていたようだった。全員の息の合った演奏がすばらしかった。 4.シンディー・ローパーの歌は何度も聴いたことがあるがこっちの方がずっとよかった。


1999年現在「映像で見るジャズ」をやったら、ぜひ見せたい映像ベスト3は
1."MINGUS JAZZ WORKSHOP" ドルフィーの加わった1964年のミンガス・バンド。もう最高!
2."Shadows and Light"1979年のジョニ・ミッチェル。全盛期のジャコ、若いパット・メセニー等もすごいが、ジョニ・ミッチェルの素敵なことといったら!!
3."in Tivoli Gardens"1969年のデューク・エリントンのライブ。エリントンとエリントニアン達の顔を見るだけで"Jazz"が解ります。

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