第十三回「ジャズの楽器について その7 トランペット、ドラム」


今日は、トランペットとドラムに焦点を当てて聴きましょう。デキシー〜スイング・ジャズを代表する トランペッター、ルイ・アームストロングとクーティー・ウィリアムスを聴いてから、モダン・ジャズの クリフォード・ブラウン、マイルス・ディビスの演奏を比較してみよう。同時に、シドニー・カトレット、 アート・ブレイキー、マックス・ローチ、ケニー・クラーク、トニー・ウィリアムスたちのドラムに注目。

本日のレコード

1. 「ロイヤル・ガーデン・ブルース Royal Garden Blues」"Charlie Christian Menorial Album" Benny Goodman 1939

クラリネットのベニー・グッドマンのコンボによる演奏です。トランペットのクーティー・ウイリアムスは ルイ・アームストロングの影響を受けたスイング時代を代表するトランペッターです。ギターはチャーリー・クリスチャン。

2. 「ロイヤル・ガーデン・ブルース Royal Garden Blues」"Satchmo at Symphony Hall" Louis Armstrong All Stars 1947

同じ曲をルイ・アームストロングのオールスターズで聴きましょう。トランペット、トロンボーン、クラリネットという 三管編成にリズム・セクションというバンドです。この曲は1919年に作られたデキシーランド・ジャズの代表的な曲で、 ルイ・アームストロングはもう数え切れないほど演奏してきたのでしょう、ベニー・グッドマンの整った演奏スタイルと 異なりすごくリラックスしてメロディーをくずして吹いているのがおもしろいですね。ドラムのシドニー・カトレットも デキシー、スイング時代を代表するドラマーです。

3. 「ワンス・イン・ア・ホワイル Once in a While」"A Night at Birdland Vol.1" Art Blakey 1954

クリフォード・ブラウンは、素晴らしいテクニックと歌心による即興演奏と誠実で温かい人柄そのままの 美しい音色によって知られるトランペッターですが、惜しくもわずか三年余りジャズ界で活躍しただけで1956年に 事故死してしまいました。まずはドラムのアート・ブレイキーのコンボのライブ盤からバラードを聴きましょう。 ある評論家曰く「クリフォード・ブラウンのソロを聴いていると次にどんなフレーズがでてくるのかわくわくさせられるが 彼は常に聞き手の期待をはるかに上回るレベルでそれを満足させてしまう」。まさに「天才」ですね。

4. 「ヴァルス・ホット Valse Hot」"Sonny Rollins Plus 4" Sonny Rollins 1956

もう一曲。これはクリフォード・ブラウンがドラムのマックス・ローチと結成したコンボで(このレコードの名義は ソニー・ロリンズですが)、彼の最後の正式レコーディングになったものです。テナー・サックスはソニー・ロリンズで、 ロリンズ作の三拍子の曲です。ブラウンの心から溢れる歌を聴いて下さい!

5. 「バグス・グルーヴ Bag's Groove」"Bag's Groove" Miles Davis 1954

さて、モダンジャズのトランペッターといえばやはりマイルス・ディビスが一番有名です。クリフォード・ブラウン とは対照的といってもいいほど異なるスタイルの演奏家です。このレコードは私がジャズにのめり込むきっかけになった 何度聴いても飽きない大好きな演奏です。マイルスはもちろん、セロニアス・モンクのピアノ、ミルト・ジャクソンの ヴィブラフォンの素晴らしいソロを聴いて下さい。一見地味ですが確実なリズム・セクションはベースのパーシー・ヒース、 ドラムのケニー・クラークです。ケニー・クラークはモダンジャズのドラミング・スタイルを確立したと言われます。 マイルスのソロのバックではモンクがピアノを弾いていないのに注目して下さい。

6. 「マイ・ファニー・バレンタイン My Funny Valentine」"My Funny Valentine Miles Davis in Concert" 1964

  マイルスをもう一曲。5.の十年後に録音されたマイルス・クインテットのライブ盤から、緊張感溢れるバラードを 聴きましょう。トランペット、ピアノ、ベース、ドラムが一体となって即興的な応答をしています。ドラムは若きトニー・ウイリアムス。


生徒の意見

(女子A)1.は明るい感じで思わず足でリズムを取ってしまう。 2.は楽しい気分。パーティー感覚。3.ゆっくりお昼寝でもしたい気分。4.メリーゴーラウンドみたい。5.怪しげな曲。 忍者みたい。ニンニン・・。

(男子B)2.ルイ・アームストロングのトランペット、とても良かったけれど彼の 歌がなかったのは少し物足りなかった。4.「Valse Hot」三拍子でいままでと違う感じでとても良かった。やはり トランペットがとても良かった。

(男子C)1.2.スイングしててよかった。3.まあまあよかった。4.かわっててよかった。 5.しぶくてよかった。6.くらかった。

(女子D)1.2.この2曲とても同じ曲だなんて信じられない。全く別なものに聞こえました。 後に聞いた方がとても自由な感じで好きです。3.終わり方が好き。4.今まで聞いたのとずいぶん違う感じがしました。 いい感じです。若くして亡くなったなんてほんとにもったいないです。5.ヴィブラフォンの音が可愛らしくて好きです。 ピアノのソロは子供がいたずらにキーを叩いているみたいで好きではありません。6.このトランペッター、肺活量あるなーと 感心しました。聞いてて疲れちゃう。

(女子E)1.あっという間に終わってしまってよくわからないけれど、リズムのいい曲だった。 でもちょっと淋しい感じがした。2.こっちの方が楽しそうで、トランペットのソロがすごくてよかった。途中で歓声が 入るのが演奏しているっていうかんじでよかった。3.ピアノみたいなトランペットだった。ピアノにあるきれいな音、 優しい音がそのままトランペットになったみたいで、トランペットっていうと激しいイメージがあったけどこの曲の トランペットはそんなことなかった。4.テナー・サックス、トランペットのソロが個性的で、その後のピアノが中和 をさせている。という感じだった。三拍子の曲は初めて聞いたけれど、春がもうすぐ来るんじゃないかなあーと思わせる曲だった。 5.トランペットの音が消えていく一瞬になんていうか快さを感じる。ヴィブラフォンの音がふわーっとして本当に気持ちよかった。 モンクのピアノは個性的だったけど前に聞いたソロの時のような激しいイメージがなかった。 6.同じ人のトランペットでも少しちがって聞こえた。もうちょっと長く聴いていたかった(時間がなくて途中までしか 聴かせられなかったのです)


 バグス・グルーヴが忍者ニンニンっていうのはおかしかったなあ。

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