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 音楽ノススメ  其ノ弐 ヤン・ヴァンデルロースト(作曲家)

印象に残る曲や大好きな曲、

思い出の曲など・・・。

人それぞれ思い入れの強い曲ってものがあるはず。


そこで思いついたのがこのコーナー、

福沢諭吉の「学問ノススメ」ならぬ

「音楽ノススメ」。


いろいろなジャンルの曲を

団員のエピソードとともに

皆さんに紹介するコーナーとして、

シリーズ化できればなぁ、などと思っている。










そんなに長くはないけれど、

吹奏楽曲をいろいろと演奏してきた中で、

一番好きな吹奏楽曲の作曲家を挙げて、

と聞かれて(誰にも聞かれたことはないけれど)、

思いつくのがヤン・ヴァンデルローストである。

とても長い名前だなあと思う。

ヤン(Jan)がまず名前で、

ヴァンデルロースト(Van der Roost)が名字だそうである。

Vanは〜家の、

derは英語でいうtheといった意味なのでつまり、

ロースト家のヤンくん、

といった意味になる。

でも基本は略したりするのはよくないらしく、

"ロースト"や、"V・d・ロースト"なんてのは、

"佐藤"くんのことを"S藤"や"藤"と略すようなものらしい。

結構この間違いは多い、

吹奏楽を演奏している身内では割りと有名な人なのに。


初めてヤン・ヴァンデルローストの曲を演奏したのは、

私が池田市吹奏楽団に入団して間もなくのことだったと思う。

そのときに演奏したのが「プスタ〜4つのロマの舞曲(1987)」だった。

その東洋的とも思えるメロディとリズムの変化が面白く、

とても印象に残っている。

ロマとは、 東ヨーロッパから中央アジアにかけて広がる草原地帯(プスタ)を、

ルーツとする流浪の民のことである。

その当時は吹奏楽曲もあまり知らず、

面白い曲だなあ、と思いながらただ演奏していたけれど、

このヴァンデルローストの曲は他の吹奏楽曲とは、

少し違いを感じるようになった。


アルフレッド・リード、フィリップ・スパークなど、

様々な作曲家の吹奏楽曲を演奏してきたけれども、

そのオーケストラレーションは、

どうもオーケストラに向かおうとしているように思う(個人的に)。

ヴァンデルローストの曲はむしろ室内楽的な要素が多く、

各楽器の個性を際立たせる傾向にあるように思う。

もちろん、

ヴァンデルローストがどう思って作曲しているかなんて知らないけれど。


吹奏楽曲はまだまだマイナーで、

吹奏楽経験者以外の人が聴く機会なんてほとんどといってないように思う。

もしこれが管弦楽なら、 ベ−トーベンやモーツァルトといった、

音楽の教科書に出てくるような偉大な方々がいらっしゃる訳だけれど、

なかなかアルフレッド・リードやジェームズ・バーンズは教科書には載らない。

よくよく考えると少し不思議なことかもしれない。

これほど各中学校、高校、大学、また一般バンドと、

吹奏楽が日本で普及してきているのに、

(おそらくクラブ活動では圧倒的に管弦楽部より吹奏楽部の方が多いように思う)

教科書などでは(私のときは、ということだれど)、

吹奏楽が取り上げられることは少ないように思う。

ベートーベンの第9番交響曲を聴いたことがある人は多いだろうけれど、

アルフレッド・リードの第1組曲を聴いたことのある人はどれくらいいるだろう。


現代の作曲家達はもう少しドラマティックに生きないといけないのかもしれない。

ベートーベンのように難聴になり偏屈に生きてみたり、

ブラームスのように人間嫌いで同じレストランで同じスープを食べ続けてみたり、

そんなことが必要なのかもしれない(冗談です)。


話をヴァンデルローストに戻すと、

様々な吹奏楽団体がこの作曲者の曲を取り上げているけれど、

その中でも大阪市音楽団演奏、

ヤン・ヴァンデルロースト指揮の録音(2002年)は、

演奏のステキなところもさることながら、

作曲者本人の指揮ということも興味深い。

(CD名:交響詩「スパルタクス」大阪市音楽団 ヤン・ヴァンデルロースト指揮

 2002年6月13日 ザ・シンフォニーホール ライヴ録音 上記ジャケット写真)

もちろん作曲者が指揮をすることが、

常に良い演奏をもたらすということはないけれど、

非常に明瞭でステキな演奏となっているように思う。

特に編成にオルガンを加えた「カンタベリーコラール」などは、

何とも言えない透き通るような世界に連れていってくれるように思う。


なかなか吹奏楽曲でいいレパートリーを見つけられない中、

ステキな作曲者がまだ健在で活躍中、

というのは実に嬉しいことだと思う。

ヴァンデルローストがこれからさらに有名になり、

これぞ吹奏楽曲の名曲、

と呼ばれる曲を作り上げてくれることを、

願ってやまない。



(2006年4月20日 筆者:トモゾヲ)


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