マイナス気温の杜の都が熱く、熱く燃え上がった。新規参入球団・楽天は22日、本拠地を置く宮城県仙台市に三木谷浩史オーナー(39)はじめ、田尾安志監督(51)、選手が勢ぞろいして出陣式『羽ばたけ楽天イーグルス〜いざ、出陣!!〜』を開催した。その後、青葉区一番町のアーケード街で行ったパレードでは、約3万人のファンが詰めかけるフィーバーぶり。『仙台七夕まつり』も顔負けの熱気に包まれた。〔写真右:約3万人の熱い視線を浴びて、仙台市内をパレードする岩隈ら楽天のメンバー。球団の目指す地元密着は順調に進む。同下:出陣式であいさつする田尾監督。前列左は三木谷オーナー=撮影・財満朝則〕
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マイナス3度の寒さにも負けず、オラが町の選手見たさに、町中のファンが集まった。普段はゆったりと静かな1・2キロのアーケード街の風景が一変。60人もの警官が出動するものものしさの中、約3万人が詰めかける大フィーバーが選手を迎えた。
「こんなにたくさんの人に集まっていただけるとは思わなかった。表情を見ると、みんな心から応援してくれているのがわかりました。感激ですね」
選手団の先頭を歩いた田尾監督も、目を丸くする歓迎ぶりだった。昨年11月2日に50年ぶりの新球団として誕生した楽天イーグルス。2カ月前には誰もいなかったチームが、この日ようやく形となり、地元にお披露目された。体調不良の一場、山崎と外国人を除く、59選手が初顔合わせ。「顔ぶれを見て、改めて十分戦えるぞ、という気持ちになりました」と田尾監督。チーム結成から寝る間も惜しんで尽力してきた米田球団代表の目は、真っ赤に染まっていた。
地元ファンにとっても待ち構えていた門出の日だった。パレードを前に市民会館で行われた出陣式では、抽選で選ばれた観客1300人が、壇上にあがる選手たちに割れんばかりの大歓声。「この選手たちが、みなさんのスターになります。応援してください!」という三木谷オーナーの出陣宣言に、会場は立ち上がっての大拍手。「予想以上の歓声でした。本当にうれしかったです」。温かい応援に、エース岩隈も白い歯を見せた。
楽天の掲げるテーマは“地域一体型”。地元の熱狂は、それが順調に進んでいる証明でもある。シーズン中でも、選手が東北各地の学校や病院訪問を行う方針を打ち出しているキーナートGMはこの日、「ファンサービスは大事。選手の査定の1割はこの部分の貢献度を評価しますよ」と“ファンサービス査定”を約束。地元ファンとの距離を縮めるため、さらに力を入れていく。
「まだ戦ってもいないチームにあれだけの応援をしてくれた。なんとか結果で報いたいね」。球団事務所に戻った田尾監督は、興奮と寒さにほおを赤く染めて、シーズンでの恩返しを誓った。秋には再び“優勝パレード”として、ファンの前を歩く夢を描いて−。
★一場は欠席
ほとんどのチーム関係者が顔をそろえる中、自由獲得枠で入団した一場(明大)は体調不良のため出陣式とパレードを欠席。仙台市内のホテルで静養した。田尾監督は「誰でも風邪はひくし、無理する必要はまったくない」と気遣った上で「ニュースで見ると思うので(熱狂ぶりを)感じてほしいね」と話した。
★岩隈2年総額4億円で合意
楽天の岩隈久志投手(23)は22日、総額4億円の2年契約で球団と合意した。既に年俸はチーム最高額の1億8000万円で決まっており、球団が提示した2年契約に出来高払い2000万円の付帯条件で確定した。楽天が2年の複数年契約を結んだのは礒部公一外野手(30)と岩隈だけ。
この日、仙台市内で行われた出陣式などに参加したエース右腕は「球団に配慮してもらったと思う。すっきりした気持ちでパレードに出られた」と笑顔を見せ「投手の中心として引っ張りたい」と力を込めた。
★楽天の地域一体作戦★
★地域密着推進部 ファンとの交流イベントや野球教室開催など、地元に根ざした活動を進めるために「地域密着推進部」を球団内に設置
★ボールパーク計画 本拠地・フルキャストスタジアム宮城(旧県営宮城球場)は地域密着でディズニーランドのような、トータルに楽しめる球場にするため、外野芝生席とつなげて外野席との出入りを自由にする公園を建設。またバックネット裏最前列に掘り下げ式の「砂かぶり席」を、一、三塁側ファウルゾーンには「フィールドシート」を設ける
★地元出身応援団 ファンクラブ名誉創立会員を東北出身の著名人22人で構成。大友康平(歌手)、千昌夫(歌手)、涼風真世(女優)、西田敏行(俳優)らそうそうたるメンバー。全員を招待する予定の4・1本拠地開幕3連戦では、公式応援歌を歌う「モー娘。」らハロープロジェクトのメンバーがイベントを盛り上げる
★ホームステイ 昨年12月に行われた二軍本拠地となる山形市での記念セレモニー。ここで松井優典二軍監督が、二軍選手を地元の一般家庭に“ホームステイ”させるプランを披露。三木谷オーナーも「すばらしいアイデア」と絶賛
今季からプロ野球に新規加盟した楽天イーグルスの出陣式が22日、仙台市内で行われた。三木谷浩史オーナー(39)田尾安志監督(51)をはじめとする選手、スタッフ87人が参加したパレードには、市民ら約3万人が集まった。市内中心部のアーケード街を歩くパレードで大声援を受け、田尾監督らが目頭を熱くする場面もあった。エース岩隈久志投手(23)は「これで仙台の人たちと家族になれる」と感激した。昨年11月2日の参入決定から2カ月半、杜(もり)の都に舞い降りた地域一体球団が、本格的に動きだした。
「応援するからよ〜」「頑張れ」。ロッテが準本拠地から撤退以来、約30年ぶりに姿を見せた「プロ野球軍団」。一目見ようと、何重もの人垣が、一筋の道を作った。選手が歩く道。優勝パレードで使うオープンカーなどない。手を伸ばせば触れる距離。礒部や岩隈ら看板選手だけでなく、打撃投手、ブルペン捕手ら裏方陣も約1キロを手を振りながらゆっくり歩いた。
昨年9月15日のプロ野球参入表明から4カ月強。オーナー会議で正式に参入が決まってから2カ月半。楽天は、走り続けた。パレード前に仙台市民会館で行われた出陣式の舞台裏。田尾監督が目頭を熱くした。「米田さんが泣いていた。気持ち、分かるよ」。
米田純球団代表(41)は、参入表明3日前に球団立ち上げのスタッフに選ばれた。当時はマーケティング調査の部長職だったが、早大準硬式野球部の経歴が買われ、球団創設の責任者に選ばれた。野球機構に提出する分厚い申請書を何度も書いたが、まだ選手は1人もいなかった。この日、初めて選手が勢ぞろいし、ステージに上がった。「その瞬間が1番泣けたかな。初めてチームの姿が見えたんだから…」。
パレードは、仙台市中心部の一番町アーケード街が選ばれた。雪が降ってもぬれないようにとの気遣いだったが、包み込んだのは熱い声援だった。主催した楽天応援組織「マイ・チーム協議会」は沿道の人出を約3万人と発表した。本拠地球場初年度定員より7000人も多かった。
混乱が起きても不思議ではない熱気だったが、道は崩れない。「おらが町の英雄」を、傷つけるわけにはいかなかった。地元の期待とぬくもりは選手に伝わる。初代主将の礒部は「歴史的な1年が始まり身が引き締まる思い。球団、ファンが一体となって戦っていきたい」と話した。ベテラン高村は「人の海みたいで11月に結団式で来た時より、ずっと熱狂的だった。あれ見たらやる気になります」と語った。念願かなって楽天入りした岩隈は「ありがたい。これで仙台の人たちと家族になれるんですね」と喜んだ。エースの自覚はこの日、チームが提示した複数年契約を受け入れたことでも証明した。
まだ1試合もしていない新球団に、本拠地なら満員御礼以上の3万人。東北地方がプロ野球を待望していた証明でもあった。参入決定当時は「ライブドアのあと出しじゃんけん」と言われたが、逆風は順風に変わりつつある。田尾監督は「ここは泣くときじゃない。前評判は高くはないが覆す活躍をしたい。今度は秋にパレードがしたい」と誓った。その時、もっと多くの市民の間を笑顔と涙でゆっくりと歩けるなら、目指す地域一体型球団が正式に誕生する。【久我悟】
[2005/1/23/08:52 紙面から]
写真=投手陣の先頭を歩く岩隈(右)は少年ファンと手をつなぎ商店街をパレード
仙台の街を地元少年野球チームの小学生と手をつないで歩く(手前から)岩隈、小倉ら楽天ナイン |
触れ合い3万人パレードだ。楽天の出陣イベントが22日、仙台市で行われ、田尾安志監督(51)をはじめスタッフ、選手ら計72人が参加し、市民と交流を深めた。イベント後には約3万人のファンを集め、繁華街を約1キロにわたってパレード。地元少年野球チームの小学生と手をつないで歩く姿には、楽天が掲げる地域密着の姿勢が鮮明に表れていた。
約1キロの通りの両脇を3万人のファンが埋め尽くした。スーツ姿の選手が、小さな手を握り締めて歩いた。ユニホーム姿の少年と手を取り合って踏み出した第1歩。地域一体型の球団が、杜の都に足跡をしるした。プロ野球チームがパレードを行うのはよくある。しかし選手とファンの間には必ず「距離」がある。選手とファンがともに手を携えて歩くのが楽天のスタイルだった。
午前中の出陣イベントには仙台市民会館に1300人が集結。第1部では「地域に密着する新しいプロ野球球団を目指して」と題するパネルディスカッションが行われ、第2部では田尾監督、選手が入場した。ひしひしと感じる地元の期待。初代主将の礒部は「歴史的な1年が始まるので、身の引き締まる思いです」と声を震わせた。
「地域密着」。球団が掲げるキーワードが、前面に表れた。キーナートGMはパネルディスカッションの中で「シーズン中でも学校訪問や施設訪問をプレーヤーにやってもらい、査定にファンサービス部門を設けます」と話した。査定法については「成績が9割、ファンサービスは1割」。過去に“ファンサービス査定”を打ち出した球団は多かったが、具体的な割合にまで言及したのは初めてのことだ。
球団の熱意に、地元自治体も負けてはいない。仙台商工会議所では、早くも優勝パレードの構想を描く。仙台駅から出発して、青葉通を進む。そこから東二番丁通を経て、今回の経路となった一番町アーケード街を歩くプランだ。同会議所の赤間室長兼企画課長は「アーケード街での小規模なパレードはあるけど、仙台駅からのパレードは今までやったことはない。青葉通を封鎖したりして、大々的なものにしたい」とバックアップを約束した。
球団職員は不眠不休に近い状態でこの日を迎えた。選手が舞台にそろう姿に、米田球団代表は目頭を熱くした。フロントの尽力。そして仙台のファンの期待。ここまでやってきたのだ。
田尾監督が言った。「米田代表が涙を流す姿を見て、もらい泣きしそうになった。だけど、僕たちが泣くのはここじゃない」。目指すは実りの秋。勝利の美酒をファンと分かち合うまでは泣かない。
≪岩隈 2年契約で合意≫楽天・岩隈久志投手(23)が22日、総額4億円の2年契約で球団と合意した。既に年俸はチーム最高額の1億8000万円で合意済み。19日に球団が提示した2年契約に出来高払い2000万円の付帯条件で確定した。楽天が複数年契約を結んだのは礒部に続き2人目。岩隈は「球団の配慮だと思い、球団に言われた通りに決めました」と説明した。また、この日は入団後、初めて仙台市民の前に登場。出陣イベントでは黄色い声援が送られ「予想外の歓声でうれしかった。しっかりやらないと、と思いながら感激しました」と話していた。
◆三木谷オーナー「優勝」「頑張る」 仙台市内で行われたパレードでは、約3万人の市民が沿道を埋め尽くした。岩隈ら選手だけでなく、田尾監督やキーナートGMにも歓声が上がるなど、新球団の人気は抜群。警官含む約200人が警備に当たったが、それでも押すな押すなの大騒ぎだった。 昨年11月の新規参入決定直後は「楽天が来て東北は本当に盛り上がるのか」という不安もあった。しかし、想像以上の大盛況に関係者も「(仙台名物の)『七夕まつり』より盛り上がったのでは。これで4月の本拠地開幕も大丈夫」と手応えを感じていた。 これに先立ち、仙台市内で行われた出陣式にも、約1300人のファンが集結。三木谷オーナーは「〈1〉チームを強くして優勝する〈2〉地元を盛り上げてファンに喜んでもらう〈3〉縮小傾向にある球界で、新規参入の楽天が成功することで全国に勇気を与える―の3つを目標に頑張る」と「出陣宣言」した。 選手が一人一人紹介されて壇上に上がると、会場の盛り上がりは最高潮に。米田球団代表は「よくここまで来た。感激です」と涙を流し、田尾監督は「私たちとファンはファミリー。優勝目指して頑張る」と力強く語った。(竹内 竜也) |
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新球団・楽天イーグルスの選手約60人と監督らスタッフが22日午後、仙台市中心部のアーケード街をパレードした。 午後4時すぎ、地元高校のマーチングバンドの先導で岩隈久志投手らが少年野球の選手と手をつないで登場、約1キロを手を振りながら歩いた。寒さにもかかわらず、カメラ付き携帯電話などを手にした市民が二重、三重の人垣をつくっていた。 パレード前に行われた出陣式では約1300人の市民を前に田尾安志監督が「前評判は高くないが覆す活躍をしたい。優勝目指して頑張ります」とあいさつ。キャプテンの礒部公一選手が「歴史的一年が始まり身が引き締まる思い。球団、ファンが一体となって戦っていきたい」と抱負を述べた。 そんな中、田尾監督が目に涙を浮かべるハプニングがあった。出陣イベントの舞台袖で、米田球団代表が涙したときだった。指揮官にも熱い物が込み上げてきた。「米田さんが泣いているのを見てもらい泣きしかけましたよ。これだけの人が集まってくれて感動しました」。 11月2日に新規参入を表明してから約2カ月半。「何もなかったチームがここまで来れたからね」(田尾監督)と、職員は寝る間も惜しんで短期間の中で球団立ち上げを進めてきた。その苦労を知るだけに、感慨もひとしおだ。 田尾イーグルスが東北初の球団としての一歩を踏み出した。 |
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2005年01月22日土曜日
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同日 同日(J2仙台の名川発言&極楽の山本が欽ちゃん球団に合格(゚Д゚;)) |
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