日本ハムよりゴレンジャー? プロ野球の新人選択(ドラフト)会議が17日、都内のホテルで開かれ、日本ハムが高校生No.1右腕、宮城・東北高のダルビッシュ有投手(18)を1巡目で単独指名、交渉権を獲得した。仙台市内の同校で会見したダルビッシュは、入団交渉よりも先に、新庄剛志外野手(32)率いる『ゴレンジャー』入りを熱望するなど早くもスター性を発揮。また、8巡目では済美高の鵜久森淳志外野手(18)を指名。高校球界きってのイケメン2人が、将来の北海道を盛り上げる。〔写真:日本ハムでプリンス新庄と夢合体するダルビッシュ。ギャル人気も期待できそう=撮影・財満朝則〕
表情が一気に緩んだ。詰めかけた約100人の報道陣の前で、最初は緊張気味。それでも“ゴレンジャー”について質問された瞬間、甲子園で見せたダルビッシュ・スマイルが、一斉にカメラのフラッシュを浴びた。
「新庄さん? カッコイイ。何をしても絵になる選手だと思います。ゴレンジャー? ニュースで見ました。もし、そう(入団)なれば、やらせてもらいたいです」
なんと、入団交渉を待たずに、球界のプリンス・新庄への“弟子入り”を志願した。
1巡目指名の報告を受け、午後2時過ぎから、東北高・安積惇野球部長らとともに会見に臨んだ。「指名してもらったことは光栄に思います。新庄さんとかいて、盛り上がっている球団だと思います」。単独指名を素直に喜んだ。
この日、入団の即答はせず。メジャーでプレーする可能性については「興味がないんで…」と否定したものの「選択肢はこっちにあるので、両親と監督と相談して決めたい」。それでも日本ハム入りへの障害はない。
相談相手の若生前野球部監督(顧問)は「ダルビッシュはプロでやることが夢。念願がかなうわけだから…。プロでやるには日本ハムでやるのがルールだから、ルール通りいくでしょう」と前向きだ。
“新庄”“ゴレンジャー”に18歳の少年らしい表情を見せたダルビッシュ。この3年間は、投球だけではなく、甘いマスクでファンを魅了してきた。日本ハムは、スター性にも大きな期待を寄せている。球界一のエンターテイナー新庄との“かぶりものコラボレーション”が実現すれば、全国のファンも目が離せない。
将来のエース候補に加え、タレント性を持つダルビッシュ獲得のため、球団側も最大の誠意を見せる。この日、指名あいさつに訪れた今成担当スカウトに続き、18日には高田GM、山田編成部ディレクターが、東北高にはせ参じる。
ダルビッシュが日本ハム入りを決断すれば、新庄がハイタッチで待ち受けるはずだ。そして、ファンを魅了する“コラボ”が産声をあげる。
|
■ゴレンジャーVTR 9月20日のダイエー戦(札幌ドーム)。史上初のストライキにより、3日ぶりに再開された公式戦を新庄がド派手にかざった。試合前のシートノックの際、坪井ら外野手4人と「ゴレンジャー」のマスクをかぶって登場=写真。カエル、スパイダーマンに続く今季3度目の“かぶりもの”を敢行し、観衆は大喜び。試合も同点で迎えた九回二死満塁、一塁走者を抜き去って記録は単打となった新庄の“サヨナラ弾”で劇的勝利。日本ハムはプレーオフへのマジックを「2」とした。 |
◆日本ハム・ヒルマン監督 「あなたのピッチングにほれこみました。チームは必ず常勝球団になっていきます。北海道で一緒に歴史を作っていきましょう」(広報を通じてメッセージ)
◆日本ハム・高田GM 「(ドラフト全体では)パーフェクト。100点以上。ダルビッシュは(将来)日本ハムのエースとしてはもちろん、プロ野球界を背負って立つ投手。1年目から一軍でバリバリ投げてくれればいいが、慌てないでゆっくりでいい」
|
★今成スカウトが指名3分後に速攻あいさつ
これが誠意だ。今成担当スカウトが、異例の指名1時間前から学校敷地内に姿を見せ、指名あいさつのスタンバイ。都内のドラフト会場から、指名権確定の報を受けると、指名3分後に玄関に登場、野球部関係者にあいさつを行った。米テキサス州で静養中のヒルマン監督からのメッセージをたずさえた今成スカウトは、会見後にダルビッシュにあいさつ。「球団としての誠意を見せないといけないからね。ただこんなに早いのは、28年間のスカウト生活で初めて」と苦笑いだった。
★楽天希望だった?ホッとして本音ポロリ
ダルビッシュが本音をポロリ。仙台に本拠を置く新球団・楽天について「3年間ここ(仙台)にいたし、入れたら、というのはありました。ただ(楽天の)ほしい選手が違っていたから、しようがないです」。ドラフト会議が終わってホッとしたのか、つい口が滑った?
★新庄、来季は新かぶりもの
オフの新庄はコメントを出さなかったが、“楽しくなければ野球じゃない”がモットー。来季は「ゴレンジャー」に次ぐかぶりものを披露することを公言し、「開幕前にみんなで(パフォーマンスの)ミーティングをします」と話している。ダルビッシュが入団、一軍入りを果たした際には、夢の共演が実現することは間違いなしだ。
★4巡目・マイケル中村「非常に満足」
4巡目・マイケル中村(前ブルージェイズ)は球団を通じて豪メルボルンの自宅から「(プロ入りする時から)日本球界入りが目標だったので、非常に満足」と感想を寄せた。前日、スパイク選びをする際、偶然日本ハムのチームカラー、黒、白、オレンジのものを一番気に入ったエピソードも披露し「(指名を)予感していたのかも」。ヒルマン監督についても「とても素晴らしい監督と聞いている」と前向きに話した。
★8巡目指名・鵜久森「明るいイメージ…とにかくよかった」
8巡目指名された鵜久森(済美高)は笑顔。「新庄さんなど、明るいイメージの印象です。とにかくよかった」。高校通算46本塁打のスラッガー。守備に不安があり、下位指名となったが「プロ入りはあくまでスタートラインです」と、入団に前向きな姿勢。ダルビッシュと高校球界の“イケメンコンビ”が、ススキノ…いや、北海道を盛り上げる。
来季、楽天の新規参入で新時代を迎えるプロ野球のドラフト(新人選択)会議が17日、都内のホテルで行われた。甲子園を沸かせたダルビッシュ有投手(18=東北)は日本ハムが1巡目で単独指名し交渉権を獲得。ダルビッシュも好感触を示した。
ダルビッシュは落ち着いていた。甲子園で見せたマウンド度胸さながらに、100人近い報道陣を前にした会見でも淡々と答えた。日本ハムに対して「やっぱり、指名されたことは光栄です」。入団については「今から考えます」と言葉を選んだ。しかし、新庄の名前が出ると18歳の少年の顔をのぞかせた。
「何をしても絵になる選手」と新庄の印象を話した。日本ハムについても「新庄さんが行って盛り上がっている球団。僕の調子が悪いときもずっと見てくれていた。そういう部分では『いいなぁ』と思っています」と好印象を口にした。
今季、試合前の練習で新庄ら5選手が披露した「ゴレンジャーのかぶり物」にも「ニュースで見ました。もしそういうのがあればやってみたい」と笑顔で応えた。入団の即答は避けたが「新庄劇団」への参加には前向きだ。取りざたされているメジャー志向には「興味がない。目標は日本のプロ野球」と明言した。
野球を始めた時から目標はプロだった。中学卒業後、大阪から仙台に留学した。入学時に当時監督だった若生正広現野球部顧問から1枚の紙をもらった。「ダルビッシュ有・大投手への道」と題された紙には心・技・体の3つの項目に分かれて心得が書かれていた。「人間の好き嫌いをなくすこと」「常に平常心を保つこと」など10カ条。
3年間、自室に貼り、お守りのように大切にしてきた。今秋の国体が終了後、若生顧問に「ありがとうございました」と頭を下げ「お守り」を返した。若生顧問は「3年間で本当に大人になった」と話した。
この日、日本ハム側も最大限の誠意を示した。今成泰章スカウトは指名した3分後には学校を訪問し、指名のあいさつをした。米国に帰国中のヒルマン監督からの「ラブレター」も持参した。
ヒルマン監督「あなたの投球にほれ込みました。北海道で一緒に歴史をつくっていきましょう」。
この熱い言葉に、ダルビッシュは「すごくうれしいです」と話した。今日18日にも高田繁GMがあいさつに訪れる。球団関係者によると昨年の2巡目で指名した須永と同様に高卒ルーキーとしては最高の契約金1億円を用意。ダルビッシュの決断を待つ。【上野耕太郎】
[2004/11/18/09:14 紙面から]
写真=日本ハムの1位指名のダルビッシュ有は、質問にニヤリと笑う
プロ野球のドラフト会議が17日、都内ホテルで行われ、高校球界NO・1右腕のダルビッシュ有投手(東北=18)を日本ハムが1巡目指名し、交渉権を獲得した。ダルビッシュは「指名されて光栄。新庄さんがいて、今盛り上がっている球団だと思う」と話し、入団に前向きな姿勢を示した。
連絡を受けた直後のダルビッシュは、硬い表情のまま。大勢の報道陣に囲まれた会見でも「まだ分かんないです」「もし入団したらですけど…」など、単独指名にも歯切れの悪いコメントが続いた。
だが、近くで待機していた日本ハムの今成スカウトがあいさつに訪れると表情が和らいだ。「プロを代表する投手に育てたい」と言われて「ありがとうございます」と白い歯を見せた。相談相手になっている若生前監督も「これで念願がかなうわけだから」と前向きだった。
スカウトを通じて渡された帰米中のヒルマン監督からの手紙には「あなたの投球にほれこんだ。北海道で一緒に歴史をつくろう」と書かれていた。
[2004/11/17/20:47]
写真=日本ハムに1巡目で指名され、記者会見でさまざまな表情を見せる東北高のダルビッシュ有投手(共同)
日本ハム・ヒルマン監督からの手紙をダルビッシュ(左)に手渡す今成スカウト |
プロ野球の新人選択会議(ドラフト会議)が17日、東京・港区の新高輪プリンスホテルで開かれ、69選手(自由獲得枠13人を除く)が指名された。今ドラフトの目玉だった150キロ右腕の東北・ダルビッシュ有投手(18)は日本ハムから1巡目指名。入団の条件に将来の“メジャー手形”を求める可能性が出てきた。また、15歳の右腕・辻本賢人投手(米マタデーハイスクール休学中)は阪神から8巡目指名を受けた。
ダルビッシュに笑みがこぼれたのは、会見が始まって10分以上経過した時だった。質問が新庄について及び、ようやく硬い表情が崩れた。
「(新庄さんは)何をしても絵になる。ゴレンジャー?もしそうなれば(やれといわれれば)やらせてもらいたい」。早くもパフォーマンスの参加を希望。それは日本ハム入り“受諾”の裏返しでもあったが、それまでは「まだ何も決めていないから」とかたくなに同じ言葉を繰り返した。
喜びを表せない事情がある。大阪・羽曳野市の実家で単独1巡目指名を知った父・ファルサさん(44)は日本ハムの交渉権獲得を「(札幌が)盛り上がっているし、ずっと見てくれた球団」と好意的に受け止めながら、こうも続けた。「契約前にいろんなシチュエーションを話したい。どういう形で使っていくのかと、将来的に向こう(メジャー)に興味がでたとき、いく準備ができるのか」。日本球団だけでなくメジャーの複数球団も獲得へ動いた逸材。ダルビッシュも「(ほかの)選択肢はある」と話し、両親が出席しての入団交渉で将来的な“メジャー手形”を要望してくるのは確実となった。
そんな“怪物”に対して球団側は、誠意でたたみかけた。今成スカウトが東北の野球部寮に待機し、単独指名が分かった3分後の午後2時3分に指名あいさつという早業ぶり。ダルビッシュ本人には、米テキサス州の自宅にいるヒルマン監督の「投球にほれ込んでいる。歴史を築く一員になってください」というメッセージまで伝えた。
ただすぐに色よい返事はもらえなかった。今成スカウトは「実家の方で諸々(の考えは)ある。(メジャーの)夢は日本ハムに来てから広げてもらったらいい」と話すにとどまった。
ダルビッシュは夏の甲子園敗退の直後、ボーイズリーグ「全羽曳野」で1年先輩だった日本ハムの金森にチームの内情を尋ねている。「ええ人が多いで」という答えに好印象を持った。「もし入ったらだけど、変化球を使いながら打ち取れる投手になりたい。寒さ?大丈夫です」。胸中は日本ハム入りで決まっており、誰もが納得する決着を望んでいる。
|
日本ハムからドラフト1巡目指名を受けた東北高・ダルビッシュ有投手(18)が17日、「新庄劇団入り」を表明した。ドラフト後に会見し、日本ハム入りに関しては即答を避けたが、新庄剛志外野手(32)らが、かぶり物で球場を沸かせる“ゴレンジャー部隊”には興味津々。「僕もやらせてもらいたいです」と目を輝かせた。
球団より先に、劇団に“入団届”を提出だ。球界に爆笑を巻き起こす「新庄劇団」に、人気、スター性ともに抜群の大物ルーキーが参入することになりそうだ。
指名直後の会見でダルビッシュは、自ら先輩スターの名を口にした。「日本ハム?新庄さんとかがいて盛り上がってますよね」。剛腕もまだ高校生。球場でスパイダーマンやゴレンジャーのかぶり物で爆笑パフォーマンスを展開する新庄にあこがれている。「かっこいい。何をやっても絵になる人ですよね」。
ゴレンジャー部隊入りの意思を聞かれると「テレビで見ました。僕もやらせてもらいたいです」。白い歯を見せ、18歳の顔になって即答した。
日本ハム入団については「若生先生(野球部顧問)や両親と話し合います」と即答しなかった。ダルビッシュ周辺は、メジャー挑戦の意向もあるとされる。もっとも本人は「メジャーとか興味ないんで」と、小学生時代からの夢だった日本プロ野球でのプレーに前向きな姿勢を見せた。
「小さいころは巨人ファン」「仙台で3年やったので楽天というのもあった」。これまで好きな球団さえ明かさなかったが、初めて意中にあった球団名を口にした。しかし、今年初めから“ダルビッシュ一本”に絞った日本ハムに「自分が悪い時もずっと見ていてくれた」と好印象を抱いているのも確かだ。
日本ハムも、ドラフト1時間半前から今成スカウトが同校内で待機し、指名の15秒後に速攻あいさつ。ヒルマン監督からの「北海道で一緒に歴史をつくろう」とのメッセージを渡し、今後も誠意を尽くし早期契約を狙う。新庄、ダルビッシュのスターの共演実現は時間の問題だ。
|
春夏の甲子園5本塁打を含む高校通算31本塁打の“甲子園の新怪物”鵜久森淳志内野手(済美)が、北の大地でダルビッシュ(東北)と同僚になる。「AAA(世界選手権)でも会ってるし、またチームメートになるのはうれしいです」。緊張気味の会見で、少し顔がほころんだ。全日本のエースと4番の豪華な“共闘”だ。
4歳の時、いとこの結婚式で札幌に行ったのが唯一の北海道経験だが「札幌ドームは球場が大きいし、新庄さんをよく見ていたんですが、明るいイメージがあります」と、心はもう札幌だ。
「小久保さん(巨人)のようなホームラン打者になりたい」と、話す横で、上甲監督も「ボールを遠くへ飛ばすことでは、岩村(ヤクルト)の高校時代より上」と太鼓判。今季の日本人ホームラン最多タイの宇和島東時代の教え子を引き合いに出すほど、名伯楽も自信を持ってプロへ送り出す。
ヒルマン監督のメッセージに笑顔を見せるダルビッシュ有投手=仙台市泉区の東北高で |
日本ハムに1巡目指名された東北高・ダルビッシュ有投手(18)は「指名されて光栄」と話したものの、入団については即答は避けた。
「日本ハムは新庄さんがいて盛り上がっているチームだと思う」。ダルビッシュは詰めかけた50人以上の報道陣を前に堂々とした返答。だが、入団後の目標など、具体的な質問に対しては、「まだ、決まっていないので…」「分からない」。言葉を選ぶように慎重な回答が続いた。
事情を考慮してか、球団側は素早い対応を見せた。指名確定5分後には今成スカウトが同校にあいさつに。「誠意を見せるために」(同スカウト)と会議開始前の午後1時前から会見場近くに待機、指名が確定すると即座にヒルマン監督のメッセージを携えて訪れた。「あなたのピッチングにほれ込みました。これからファイターズは必ず常勝球団になっていきます。北海道で、一緒に歴史をつくっていきましょう」とメッセージを読む同スカウト。これには表情の硬かったダルビッシュも「とてもうれしい」と笑顔を見せた。
今後の入団交渉については「両親、若生先生(東北高野球部前監督、現顧問)と相談してから決めたい」というが、球団の素早い対応が功を奏したのか、日本ハムについて「調子が悪くても(自分を)見てくれた。いいなと思っている」と入団に前向きとも取れるコメントも…。18日には日本ハムの高田ゼネラルマネジャーが仙台を訪れる。ここで方向性が見えてきそうだ。 (後藤毅人)
西武に「松坂2世」が誕生した。1巡目で指名したのは、エース松坂と同じ横浜高の涌井だ。横浜市内の同校で17日、入団会見を行った涌井は、さっそく“松坂塾”入門を熱望した。
「プロをずっと夢みてきたので光栄です。松坂さんからは、同じ投手として学ぶ部分はたくさんあるので、1年目からどんどん、聞いていきたい。まずは体作りからですね」
西武は、1巡目候補としてダイエーが指名した江川(宇治山田商)もリストアップ。しかし、競合の情報を流したのは「確実に取るための駆け引き」(伊東監督)。当初の予定通り、単独指名で獲得した。
松坂を育ててきた小倉清一郎部長も「フィールディングは松坂より上かもしれない。2年目の後半には試合に出られると思う」と涌井の素質を高く評価した。
「(日本ハム指名の)ダルビッシュには負けたくない」と同級生に早くもメラメラ。18日には編成スタッフが、指名あいさつを行う。
〔写真:松坂先輩、よろしくお願いします! 西武から1巡目指名され、胴上げされる横浜高・涌井=撮影・佐藤雄彦〕
|
西武は、ダイエーとの競合も予想された江川智晃投手(宇治山田商)ではなく、涌井秀章投手(横浜)を1巡目で指名した。伊東監督は「涌井君を確実に取るための駆け引きだった」と、当初から高校球界屈指の右腕に決めていたことを明かした。
また、伊東監督は1番の補強ポイントとしていた投手を3人獲得できたことに「まずまずうまくいった」と満足感を示したが、指名が5人で終わったことに「今年は全体的に素材が少なかった」と語った。
[2004/11/17/18:02]
西武に指名された琴丘・藤原虹気投手の夢はでっかく“あやや超え”だ。日本一チームからの指名。藤原は城山中で同級生だったタレントの松浦亜弥にライバル心を燃やした。
「道は違うけれど、彼女に負けたくない。プロが厳しいのは承知の上。できれば、あややを超えたいですね」。その可能性は十分秘めている。1メートル95は怪物ダルビッシュと同じサイズ。今夏の県大会直前の6月10日に交通事故で左膝蓋(しつがい)骨を骨折(全治3カ月)し、中央球界では無名ながら角度のあるMAX143キロの速球は魅力十分だ。
指名を聞いたのは、推薦入学の試験を受けていた九州共立大だった。「受験に来ているので知らせを受けたときはクールに受け流しましたが、内心は“ヨッシャー”と思いました」。すでに心は西武の一員で「好きな投手はダイエーの新垣さん。故障しない体をつくり150キロを目指す」
夢の大台をクリアしたとき“あやや超え”も現実のものとなる。
▼松浦亜弥(歌手)おめでとうございます。同級生のプロ野球入りだ!みんなに自慢しなきゃ。頑張ってください。
≪横浜高・涌井秀章投手は西武1位≫ドラフト前日に宇治山田商・江川の指名を回避した西武から1巡目指名。入学以来“松坂2世”と騒がれてきたが、その偉大なOBと同じ球団からの指名とあって「松坂さんがいるので西武がいいなとは思っていました。まずは体づくりについて聞きたい」と早くも弟子入り宣言した。小倉部長はさっそく松坂に電話で教育係を頼んだところ、松坂は快諾。渡辺監督は「松坂がいつメジャーに行くにしろ、何年かでもそばでやれるのは涌井にも大きい」と喜んだ。
◆涌井、松坂塾へ即入門 涌井の頭の中は「西武」より高校の先輩「松坂」であふれていた。西武について松坂以外の印象を問われても「そういうふうに見たことがないんで分からない」のひと言。「松坂さんがいて、同じ投手として学ぶ部分が多いと思う。1年目から松坂さんにどんどん聞いていって成長したい」と“松坂塾”入門を希望した。 涌井を育ててきた横浜高の小倉部長も「松坂に直接教えてもらえるし、行く球団としては最高。松坂のそば(のレベル)までいけると思う」と弟子入りを援護。MAX148キロ右腕は「スピードより勝つことにこだわりたい。先発したからには最後まで投げたい」と真の松坂2世を目指す。 |
|
午後2時3分、横浜高・渡辺元智監督のもとに西武から1巡目指名確定の報が入った。傍らの涌井秀章投手は、ほおを赤らめながら心境を吐露した。「ずっと夢みていたので光栄です。うれしい」。口元を緩め、素直に胸の内を表現した。
MAX148キロの速球派は、先輩・松坂同様に先発完投にこだわる。「先発したら最後まで投げたい。スピードよりも勝てるピッチャーになりたい。松坂さんとはタイプが違うが、出来るだけ近づきたい」と目標を掲げる言葉に力を込めた。
プロの第一歩として取り掛かるのが肉体改造。184センチ、74キロの体は線が細く、プロとしての体づくりが急務となる。同校の小倉清一郎部長は「フィールディングは松坂よりもうまい。体さえできれば、2年目後半から出てこられる」と潜在能力の高さを指摘した。
友人のダルビッシュ(東北高)に対しては対抗心を燃やした。同じ高卒で1巡目指名のライバルに「もし対戦したら絶対に負けたくない」と“宣戦布告”した。松坂2世の呼び声高い本格派右腕。夢の舞台で偉大な先輩超えを目指す。
楽天が“ナベツネ”獲得だ! ドラフト初参加の「楽天イーグルス」が17日、2巡目でNTT東日本の渡辺恒樹(こうき)投手(26)を指名した。即戦力左腕として期待されるが、注目は『ツネ』のあだ名。父は巨人・渡辺前オーナーと同姓同名で、父子間では“ナベツネ戦争”もあるという。登録名は「父親の了解が得られれば…」と『ナベツネ』に前向き?〔写真:楽天に2巡目指名されたNTT東日本の渡辺恒樹。もちろん登録名は“ナベツネ”で決まり?! =撮影・中村芳幹〕
一場の次は“ナベツネ”だった。楽天は2巡目で、他球団がノーマークだったNTT東日本の渡辺恒を獲得。本人はその時、東京から新幹線で新大阪に向かっていた。
「今朝(NTTの)監督から楽天から指名があるかも、と連絡を受けた。他球団から話はなく、上位指名は信じられない…」。大阪市内のホテルに到着した渡辺恒は、驚きの声をあげた。
直球は140キロ台前半ながら、キレのいい球と、決め球のスクリューボールを武器にエースの座をつかんだ。これまでもプロ入り志望だったが、年齢などがネックとなり、ドラフトでは指名されなかった。
それでも、くじけることはなかった。チームの宴会では常に盛り上げ役を買って出る人気者。名前は「こうき」と読むが、仲間から付けられたあだ名は「ツネ」。チーム内にもう1人、渡辺姓がおり、巨人の渡辺前オーナーにあやかった。
さらにサプライズ。渡辺恒の父は、渡辺前オーナーと同姓同名。父・恒雄さん(63)は応援で球場に駆けつけた際、チーム関係者に「息子がたまに“ナベツネ”と呼ばれるが、私こそナベツネだ」と力説するという。
渡辺恒は、巨人の渡辺前オーナーについて「負けず嫌いの人かな」とポツリ。本人ではなく、父親の了承を得られれば、来季の登録名は「ナベツネにするかも」と意気込んだ。楽天が“一場”と“ナベツネ”で勝負する。
|
★田尾監督が絶賛「先発可能な即戦力」
田尾監督は渡辺恒について「勝負球のスクリューボールで左だけではなく、右打者も抑えることができる。先発が可能な即戦力だ」と絶賛した。また、全体としても「これ以上の結果はない最高のドラフト。100点満点。一場は楽天にとって、なくてはならない存在。先発の柱として考えている」と充実の戦力補強に満面の笑みを浮かべた。
★元祖“ナベツネ”は無言
元祖? の巨人・渡辺恒雄前オーナーはこの日、都内のホテルで知人と会食。渡辺恒樹本人も登録名“ナベツネ”を望み、父は同姓同名という奇妙な因縁。球界に新たに現れた“第2のナベツネ候補生”についての質問には耳を貸さず、無言で車に乗り込んだ。
★自由枠・一場はガッツポーズ封印
自由獲得選手・一場(明大)は、都内の明大駿河台キャンパスで会見。「こんな僕でも、獲っていただけるところがあり、ホッとした」と胸をなで下ろした。巨人、横浜、阪神からの金銭授受問題で明大野球部を退部。一場は「大勢の人に迷惑をかけた」とし、ガッツポーズなど喜びの表現は封印。それでも、早くも心は来季だ。「目標は新人王。ダルビッシュ? 年下には負けたくない。持ち球の真っすぐで、(西武の)カブレラと対戦したい」と汚名返上を誓った。
★4巡目・西谷に同級生の一場から祝福
4巡目・西谷(明大)は「プロの環境を肌で感じて勉強していきたいです」と決意を口にした。指名5分後には自由枠での入団が決まっていた同級生の一場から祝福の電話が入り「『よかったな。またよろしく』と言われました。言葉はそれだけでも、あいつとはわかり合ってると思います」と笑顔。別府元総監督も「西谷は一場のお目付け役ですね」とホッとした表情だった。
★5巡目・塩川がご当地選手第1号
楽天に、待望のご当地選手第1号が誕生する。5巡目・塩川(東北福祉大)だ。「自分でいいのかなという気持ちもありますが、選ばれたことは本当にありがたいし、うれしい。仙台は自分を育ててくれたところ。自信をもってやりたい」。大学通算打率.414を誇る神戸出身の塩川が、仙台を第2の故郷にしようとしている。
★6巡目・大広は一場に挑戦状
6巡目・大広(東洋大)は、桐生一高時代の同級生で同僚になる一場に挑戦状をたたきつけた。再び同じユニホームを着るが、「プロでは全員が敵。一場にも負けずに、先に1億円もらうくらいの気持ちで頑張ります」。三塁と投手で守備位置は違うが、ライバル心を燃やした。楽天に関しては本拠地・仙台に不安をポツリ。「牛タンが食べられないんですよ。どうしましょう」と苦笑いしていた。
◆楽天・キーナートGM 「一場が獲得できただけで今回は100点。全員が体ができているし即戦力。3年や4年をかけて選手を育てる余裕はない」
★近鉄戦力外の3選手を獲得
新規参入する楽天は、近鉄を戦力外となっていた根市寛貴(22)、藤崎紘範(24)の両投手と永池恭男内野手(31)の獲得が内定したと発表した。
楽天が満点で初陣を終えた。球団初のドラフト会議で、自由枠の一場をはじめ6人を指名した。田尾安志監督(50)は「100点満点と言っていい。予定メンバーで1人だけ指名できなかっただけですから」と笑顔を見せた。広島の6巡目で小島紳二郎投手(22=国士大)を奪われた以外は予定通り。つまり、通常10人以上リストアップする指名候補を、一場以外わずか6人しか挙げずに会議に臨んだ。
スカウト0人、時間もデータも少ない中では仕方がなかった。新規参入決定した2日から本格的なスカウト活動を開始。一昨年までロッテで編成部長を務めた広野編成部長、阪神の編成部に所属した松井2軍監督を中心に、すぐに試合で使える選手のみ名前を挙げていった。その中で浮上したのが2巡目の渡辺だった。広野部長がロッテ時代、毎年のように候補として挙げながら、寸前で見送っていた小気味いい左腕で、真っ先に決めた。
次に分配ドラフトで8人しか獲れなかった内野手を埋めた。4巡目西谷二塁手、5巡目塩川遊撃手、6巡目大広三塁手は、複数の球団が5〜8巡目で狙った。いずれも名門大の主将で性格や人柄も問題ない。広野、松井両氏は人脈を駆使し情報を入手。他球団より少し早めの指名順で、ポジションが違う3人を抑えた。
広野部長は「この短期間で奇跡だね」と振り返る。仮に6人が他球団に奪われたとしても、ほかの選手は考えなかった。少なくても確実な情報を信じ、将来のスーパースターより、すぐ使える選手を選んだ。一場以外は小粒な印象は否定できないが、「現実的」な点では満足いく内容だった。【久我悟】
[2004/11/18/07:33 紙面から]
明大の主将とエースが、楽天でもコンビを組む! 17日のドラフト会議で、楽天が4巡目で明大・西谷尚徳内野手(22)を指名した。すでに自由獲得枠で明大・一場靖弘投手(22)を獲得しており、新球団で明大コンビが「復活」することになる。
西谷は確実性のある中距離ヒッターとして、明大では1年春から二塁手でレギュラー定着。今春は3番・主将として、チームを12季ぶりのリーグ優勝に導いた。プロ4球団から打診を受けていた。
[2004/11/17/14:53]
色紙を手に笑顔の一場 |
“初陣”を終えた田尾監督が満面の笑みで、開口一番こう言った。
「100点満点、最高のドラフト。これ以上の結果はありません」。開会前には新規参入チームの新人監督として他11球団のテーブルをあいさつ回り。ただそのなかで着々と“一場シフト”を完成させていった。
自由獲得枠で獲得した一場は指揮官が「1年間(先発)ローテーションで回ってほしい」と語るように、新人ながら開幕投手候補に挙げる楽天のエース最右翼。そのなかで最大で唯一の心配が精神面だ。巨人、阪神、横浜スカウトからの金銭授受が発覚し、一時は日本球界でのプレー危機にまで陥った。現在でも完全には球界の内外で一場への非難の声は消えておらず、プロとして第1歩を踏み出すには“心の支え”が必要だった。
そのサポート役となるのが4、6巡目で指名された西谷、大広だった。西谷は明大主将、大広は桐生一時代からの親友として付き合いは深い。両選手とも一場と同級生で、この2人に5巡目の東北福祉大・塩川も含め今夏の世界大学選手権で銀メダルを獲得した大学日本代表のメンバー。しかも3人とも各大学の主将で、西谷は二塁手、大広は三塁手、塩川は遊撃手と、マウンドでの孤独感を救ってくれる“マブダチ”内野陣となる。
「一場も反省しているし、楽天で思い切りプレーしてほしい。内野の3人と早くグラウンドで見てみたい」と田尾監督。分配ドラフトの40人と合わせ、これで楽天戦士は46選手に増えた。
≪一場 目標は新人王!≫東京・千代田区の大学校舎で記者会見を行った一場は、黒のスーツに赤いネクタイ姿で登場。38度近い熱があるため、満面の笑みとはいかなかったが、楽天入りに「心機一転やれると思っているので楽しみにしています」とうれしそうに話した。明大の同級生で主将の西谷と、桐生一時代の4番の大広も楽天が指名。心強い同級生たちの顔ぶれに「自分たちの力で日本一になれたらいい」と語った。1年目の目標を新人王に設定。高校生のダルビッシュにも「年下には負けたくない。できれば15勝したい」と闘志を燃やしていた。
◆2巡目の即戦力左腕 えっ渡辺恒さん!? 20日から始まる日本選手権に出場するため、大阪へ移動中にマネジャーから指名の連絡を受け「(指名されて)自分の夢がかなった」と笑顔を見せた。楽天についても「同じ1年生。社会人に入った時のように新鮮な気持ちでやりたい」と、好印象を口にした。 “本家”の巨人前オーナーの印象を問われ「負けず嫌いという感じ」と話した即戦力候補。まずは、その名前で話題になったが「球のキレを磨いて、与えられた仕事をキッチリとやりたい」と、1年目からの活躍を誓った。スクリューボールが武器のMAX143キロ左腕は、負けず嫌いの精神も頂いて仙台のファンを魅了するつもりだ。(長田 亨) |
◆桐生一時代の同期生大広「初登板に一発」 「プロに入ったら、周りはみんな敵だと思ってやります。もちろん一場もその1人」楽天から6巡目で指名された大広が、桐生一高時代の同期生で、自由獲得枠入団のチームメート、一場に挑戦状をたたきつけた。 桐生一高では3年連続夏の甲子園に出場、2年生で4番を打つなど高校通算44ホーマーのスラッガー。東洋大でも通算13ホーマーを打ったが、大器としての期待が大きかっただけに、大学時代の実績は物足りなさがある。しかし、高橋昭雄監督は「これほどのパワーと体力を持った選手はそうはいない」と断言。大化けする可能性は大きい。 自由枠と6巡目。一場とは差が付いたが、プロへ入れば、開幕1軍入りへガチンコ勝負だ。来春、新球団の開幕戦。大広の夢が広がる。「一場が初登板した時に、僕の一発で彼に初勝利をプレゼントしたい」大広はきっぱりと言い切った。(洞山 和哉) |
|
真の“イヌワシ1期生”の誕生だ―。来季からプロ野球に新規参入する楽天の田尾安志監督(50)が、初参加となったドラフト会議を「100点満点」と自己採点。自由獲得枠での入団が内定していた一場を筆頭に、大学、社会人の即戦力を中心に指名した6選手は、“ナベツネ”や“キャプテン3人衆”など、話題豊富なメンバーとなった。
会議の緊張から解き放たれた田尾監督は、満面に笑みを浮かべた。「いや〜、もう、100点です。とにかく早く、グラウンドで彼らを見たいですね」。新球団の指揮官として、即戦力の6選手を指名した初のドラフト会議を満点評価した。
すでに自由獲得枠として明大の一場が内定していた。そして、注目された2巡目指名は、“ナベツネ”ことNTT東日本のエース・渡辺(恒樹)。スクリューを巧みに操る技巧派左腕に、田尾監督は「1年目から先発、ロングリリーフでもいける」と太鼓判を押した。
さらに、そこからは明大・西谷(二塁)、地元の東北福祉大・塩川(遊撃)、東洋大・大広(三塁)と、内野の即戦力を3連続指名。田尾監督は「内野手は手薄だったのでよかった」と、してやったりの表情だった。
この3選手は、いずれも大学で主将を務めるなど、実力と人間性を兼ねそろえた即戦力。会議に出席した米田球団代表は、「生え抜きという意味では、彼らが本当の1期生。将来は球団を背負っていけるような選手になってほしい」と、早くも“キャプテン3人衆”を幹部候補に指名した。
7巡目には田尾監督の大学(同大)の後輩でもあるトヨタ自動車の平石を指名。「バランスよく指名する」(広野編成部長)との方針通り、どのポジションもかぶることなく、即戦力の補強に成功した。
会議中は口を真一文字に結び「一番後ろ(8巡目)で予定していた選手は、先に指名されたから」と、6選手の指名で終了した田尾監督。「これ以上ない、最高のドラフトだった」。指揮官に笑顔が絶えなかった。
|
楽天入りが晴れて決まった明大元野球部の一場靖弘投手が、ガッツポーズを禁止された。東京・千代田区の明大で会見を行ったが、写真撮影の時に大学側から報道陣へ「ガッツポーズはなし」と異例の通達があった。
金銭授受問題で世間を騒がせたことへの配慮だった。胴上げはもちろんガッツポーズも禁止。無理やり学生を集めて写真撮影が淡々と行われたが、実は巨人との金銭授受が発覚後、明大に苦情の電話が殺到していたのが理由だった。
楽天入りが決まった時にガッツポーズする一場の姿がテレビや新聞に露出した時にも「あんなことがあったのに何で喜べるんだ」と抗議の電話があったという。
もちろん一場も十分反省している。「迷惑かけてしまったので、自分でもガッツポーズはできない」。さらに一場はキャバクラも自粛する。今週発売の写真週刊誌にキャバクラ遊びの実態が掲載されてしまった。プロ入りを機に「これからは行かない」と言い切った。
これからは野球に専念し、奉仕活動で過ちを償う。「目標は新人王。努力が必要だけど原点に戻ってやりたい」。マウンドで躍動する姿を仙台のファンにアピールする。
明大主将・西谷尚徳内野手が、楽天の4巡目に指名され、都内の明大野球部合宿所で会見した。再び一場とチームメートとなる西谷に別府元総監督は、「一場のお目付け役に」と、さっそく大役を任命した。
指名を受けて約5分後、西谷の携帯電話が鳴った。だれよりも早い祝福は一場からだった。「よかったな。よろしくな」。一場が裏金授受問題で世間の矢面に立たされたとき、何度も電話で相談に乗ってきた。
別府元総監督は、「技術はもちろん、人間的にもチームにいい影響を与えられる選手」と、一目置いている。また「野球だけできればいいというわけではない」というポリシーの持ち主でもあり、“野球人のかがみ”でもある。
「一場と2人で、いい力を発揮したい」と力強く話した西谷。記念すべき楽天1期生に、頼もしい男が加わった。
|
ナベツネが新たな歴史をつくります―。楽天から2巡目で指名された渡辺恒樹投手(NTT東日本)は、日本選手権出場のため移動した大阪市内のホテルで会見。「歴史がないので、新鮮な気持ちで入れます」と、即戦力左腕として先発での活躍を宣言した。
巨人前オーナー・渡辺恒雄氏と同姓同名の父を持つ渡辺。自身も「つね」があだ名だが「冗談で“ナベツネ”って言われますけど、特に意識はありません」と平然。小学2年で野球を始めたのも父の勧めとあって「『しっかり練習して負けないように』と言われました」と笑みを浮かべた。
2年前には阪神の指名候補でもあった“元虎の恋人”。来季は交流戦もあることから「負けたくないですね」と対戦を熱望した。目標は「小学時代から見続けてきた巨人の工藤さん」という左腕が、イヌワシ軍団の歴史を築いていく。
都の西北、早稲田から“超優等生二塁手”田中がヤクルト入りする。
17日のドラフト会場で「ヤクルトの自由枠・田中」と読み上げられると、大隈講堂前でガッツポーズ。「ヤクルトはチーム力があるし、巨人に向かっていく姿勢が格好いい。日本一のショートの宮本さんから、いろいろ勉強したい」と五輪代表主将との二遊間コンビ結成に、胸を躍らせた。
大学1年の春季リーグ戦初戦から、大学4年秋まで全95試合に連続出場したエリート選手。尽誠学園高(香川)時代の評定は“オール5”で、自己推薦で社会科学部入学。今年6月には母校で教育実習(現代社会)を行い、教員免許も取得予定だ。主将としての責任感から今秋には左手首の骨折を隠して全試合に出場した。
ヤクルトの早大勢は、巨人を戦力外となりテスト入団する三沢を含め、田中で5人目。野村前監督は「4年間で一度も怒ったことがない選手。地味だけど守備は鳥谷(阪神)より上。ヤクルトでいいイメージを作ってほしい」と、胸を張ってプロの世界に送り出す。
文武両道を兼ね備えた田中。燕の強力な戦力となる。
〔写真:早大からヤクルトへ神宮のスター街道を歩み続ける田中は部員から胴上げで祝福された=撮影・高橋朋彦〕
★自由枠・松岡「川島さんが目標」
自由獲得選手・松岡(九州東海大)は、ヤクルトの1年先輩を目標に掲げた。「川島さんが目標。川島さんを抜くくらいの気持ちで頑張りたい。新人王を獲りたいです」。コンビネーションとコントロールが持ち味の右腕。決め球は「狙ったところにぐっと落ちるカーブ」という。酒井スカウトの指名即あいさつを受け、29日に仮契約を結ぶことまで決定した。
◆ヤクルト・若松監督 「即戦力の選手をお願いしていた。点数? 90点くらい。田中はセンス抜群の選手で、松岡は球のスピードや変化球の切れが素晴らしいと聞いている」
自由獲得枠でヤクルトへ入団する松岡健一投手(九州東海大)は17日、熊本市の同大で記者会見し、「新人王を取りたい」と抱負を述べた。
コンビネーションとコントロールが持ち味の右腕。自信のある球は「調子がいいと狙ったところにぐっと落ちるカーブ」という。終始リラックスした表情ながら、プロへの意気込みを問われると「気持ちだけは負けないようにしたい」と勝負の世界へ飛び込む自覚を見せた。
[2004/11/17/17:16]
ペタ+桑田=野間口? 自由獲得枠での巨人入りが決まった野間口貴彦投手(21)=シダックス=の背番号が17日、退団が決定的なロベルト・ペタジーニ内野手(33)の「13」になる公算が大きくなった。さらに、来季残留が決まった桑田真澄投手(36)の「18」禅譲案も浮上。エース候補生がいきなり“重い十字架”を背負う。
霊峰・富士を望む中伊豆。かつてミスターや清原が自主トレに励んだ地で野間口が夢をつかんだ。自由獲得枠での巨人入り。MAX151キロのエース候補はにこやかに会見に臨んだ。
「あこがれのチーム、巨人で自分の力を試してみたい。開幕一軍、そして新人王を獲りたいです」
無数のフラッシュを浴びた野間口は、決然と1年目の“ノルマ”を口にした。大学(創価大)を中退し、野村監督=サンケイスポーツ専属評論家=が率いるシダックスへ。待ちわびた3年間。選手の顔となる背番号について、指名あいさつに訪れた中村スカウトが極上プランを披露した。
「先発完投型としてローテを守る投手になってほしい。背番号はまずは空き番をつけていただく。先発だから20番台より10番台が良いでしょうね」
少年時代に桑田を見て成長し、中学になると3つ年上の西武・松坂にあこがれた。シダックスでも「18」を背負う野間口にとってエースナンバーにはこだわりがある。だが、桑田が巨人残留を決めた以上、来季からの「18」は無理。そこで浮上したのが、10番台で唯一の空き番となるペタの「13」だ。
「最終的に編成サイドがそういう(ペタ解雇の)決断を下し、本人が希望すれば…。18? こだわりがあるんだったら、目標を持ってやってもらいたい」と同スカウト。まずは13番で新人王をゲット。ペタを“踏み台”にして桑田からの強奪を目指せ! との親心でもあった。
「ファンが見ていて楽しい選手になりたい。何かできるなら、(日本ハムの)新庄さんみたいなこともやりたい」
端正な顔立ちでスター性も十分。野間口の素質に注目だ。
|
★自由枠・三木が新人王獲得宣言
自由獲得選手・三木(八戸大)が魔球で新人王獲得を宣言した。メジャー通算128勝のウェークフィールド(レッドソックス)の決め球・ナックルが最大の武器。同投手の衛星中継を参考に、投球時の手首の角度を“三木流”にアレンジした。「投げる投手が少ないので、自分が印象づけたい」。今季、新人王に輝いた大学の先輩・川島(ヤクルト)を目標に魔球に磨きをかける。
★5巡目・木村「夢のよう」
学校創立107年目で初のプロ野球選手誕生。しかも栄光の巨人軍。5巡目の木村(一関一)は「夢のようで、実感がありません。プロは仕事。社会人としても立派になりたい」とキッパリ。MAX145キロ右腕は故障知らずで『鉄腕機関車』の異名。「1年目から一軍で投げるチャンスがあれば、投げてみたい気持ちはあります」と目を輝かせた。
★『巨人の星』誕生…6巡目・星
正真正銘の『巨人の星』が誕生した。6巡目・星(東北学院大)が素直に喜んだ。「うれしいし、ホッとしています。有名人がたくさん集まる、一番入りたかった球団です。残念ながら漫画の主人公の実力にはまだ到達していませんが…。でも『名前負け』だけは絶対にしたくないですね」。名実ともに捕手版・星飛雄馬になる決意だ。
◆巨人・堀内監督 「希望した選手が予定通りに取れた。満点をつけていいんじゃないか。野間口君はレベルが高い。三木君は切れのある球を投げる。木村君は三振が取れる投手で評価が高い」
自由獲得枠で巨人入りが決まっている野間口貴彦投手(21=シダックス)が、「背番号18」継承への意欲を語った。17日、静岡・伊豆のシダックス合宿所で会見し「子どものころの目標は桑田さん。中学からは松坂投手。所属チーム(シダックス)でも(18番を)付けているので、空いたときには頂きたいな」と、ポスト桑田を名乗り出た。
この日、指名あいさつに駆けつけた中村スカウトは「空き番号から選んでもらうよ」とビッグマウスにやや困惑していたが、長所の1つのマウンド度胸をいきなり披露した格好だ。
「何かしてくれると思われる投手になりたい」と、堀内巨人が推進するファンサービスへの意識も高い。「新庄さんみたいに覆面で投球? それは難しいかもしれませんが、何かできれば…」とノリは十分。また、「大学中退して、この3年間、両親にも迷惑かけた」と、感極まって目を潤ませる一面も。魅力は150キロの直球だけじゃない−そんな期待を抱かせるルーキーの誕生だ。
[2004/11/18/06:35 紙面から]
巨人は、6巡目で星孝典捕手(22=東北学院大)を指名、正真正銘の「巨人の星」が誕生した。野球漫画とはポジションこそ違うが強肩が売りの大型捕手。指名の知らせが届くと「ホッとしています。星飛雄馬? 子供のころからそう言われて育った。名前負けしないように頑張りたいです」と話した。
[2004/11/18/06:38 紙面から]
巨人のエースナンバーを必ず背負う。静岡・伊豆市内のホテルでの記者会見で野間口貴彦は言った。
「あこがれは松坂選手だし、できれば空いた時にいただきたい」。西武・松坂の背番号18。同じ右の本格派として中学時代から目標に置き、自身もシダックスや日本代表で背負ってきた。巨人では堀内監督から桑田に継承されたエースナンバー。プロ1年目は空き番の22か25が有力だが、将来のエース候補は譲れないこだわりを見せた。
目標は開幕1軍と新人王。「今のままじゃプロで通用しない」と投球フォームの改造にも着手し、最速151キロの直球にキレを与える。金銭授受問題でチームメートになれず、楽天入りした明大・一場には「交流戦で投げ合いたい」とエールを送った。創価大を1年で中退してから2年。どん底からはい上がった男がエースを目指す。
≪八戸大・三木均投手 目標は新人王≫三木は「川島さんも獲ったし、新人王を目指したい」と、八戸大の先輩・川島(ヤクルト)に続く新人王を目標に掲げた。イメージするのは堀内監督とレッドソックスのウエークフィールド。身長が1センチしか違わない堀内監督には「巨人のエースを長くやって強気の投球のイメージがある」と自身の持ち味にダブらせ、メジャーきってのナックルボーラー、ウエークフィールドを見習って「ナックルを投げる人は少ないし印象付けたい」と自分の決め球を売り込むつもりだ。
巨人に自由獲得枠で入団する野間口貴彦投手(シダックス)が17日、背番号「18」の継承を宣言した。伊豆市内のシダックスの施設で会見を行い、現在桑田が背負っているエースナンバーを将来付けたい意向を示した。
遠慮はしない。野間口は一点をしっかりと見つめ、はっきりとした口調で宣言した。「あこがれは(西武の)松坂選手なので。できることならあいたときに(18番を)いただきたい」。正直な気持ちをストレート宣言した。
自身もシダックス時代にも18を付けており、こだわりがある。巨人では歴代のエースが背負った番号で、現在は桑田が付けている。野間口の思いを伝え聞いた担当の中村スカウトは「勝ち取ってもらいたい」と、自らの手で奪うよう求めた。
巨人の将来のエース候補には大きな夢もある。将来のメジャー挑戦について「日本で実績を残された人が行く(場所)。ある程度、できると思えば今後は(自分も)そういう気持ちが大きくなると思う。今は秘めているというか抑えている」と打ち明けた。巨人で実績を積み上げ、自信が持てれば大リーグ入りも視野に入れる。
夢を実現するためにはとにかく結果を出すしかない。「目標?開幕1軍で、できれば新人王を取りたいと思っています」と宣言した。若きエース候補が、プロへの第1歩を踏み出した。
前日 前日(実行委員会詳報&ドラフト情報 ほか) |
同日 同日(クソ近鉄&クソオリックス&ドラフト直前&清原&ラミレス情報 ほか) |
翌日 翌日(イーグルス情報&ドラフト詳報 ほか) |