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20030907(日) Children of Bodom with Soilwork@渋谷AX

渋谷・・・
まだ日は高いはずにもかかわらず、どんよりとした雲が空を覆っている。
あたりは、暗い。
言いようのない不安を胸に抱えながら一路会場へ。
開場は16:00
ふと視線を落とすと、時計の針は15:10
着いてもまだ門は閉じたままだ。
それでも自然と足の運びは速くなり、鼓動が激しく脈打つ。
道行く人ごみが、何時にも増して俺を遮る。
なんで今日はこんなに多いんだよ!
いつもと、変わらない。
慣れた道のはずなのに、距離感がつかめない。

アレキシは大丈夫なのか?
チルボドは演ってくれるのか?

閉じたままの門前に広がるAXを見つめながら、息を整える。
まだ開門前だというのにそこかしこに観客と思しき影。
俺だけじゃない。みんな楽しみにしているのだ。

15:32 開門。
まだ開ききっていない隙間から、小走りに飛び出していく人たち。
それを見た係員が、手馴れた様子で誘導していく。
中庭が続々と黒いTシャツで埋まる。

微かに聴こえるバスドラの音。
SOILWORKがリハをしているのだ。
と、AXの扉が少し開き、年長と思しき係員が出てくる。
刹那、ギターのボリュームが上がる。
「すみません、アレキシの様子はどうですか?」 何度も質問されているのだろう。ああ、そのことですか。と、
「今日は大丈夫だと思いますよ。リハもしましたし」
彼の目元が優しく緩む。
「ホントですか!?そうですか。ありがとうございます」
深々と頭を下げる。
「いえいえ」
手をあげて、順路作りに戻る係の姿を見ながら、少し心が軽くなったような感覚を覚えた。

16:01開場。
「一番から五番の方」
係が拡声器で呼びかけると、次々とチケットを握り締めながらAXに吸い込まれていく。
・・・どうやって手に入れるんだろ・・・
ぼんやりと考えながら、ほどなく会場へ。

Aブロックでは、既に大勢がかたまってSOILWORKの出番を待っている。
中央やや右手に立ち、スピーカーに耳を澄ませると、聞き覚えのあるメロディ。
TWILIGHTNINGだ。
「そっか、レーベルメイトだもんな・・・」
心地よいビートに身を任せながら、機材の調整をしているスタッフを眼で追う。
「SOILWORKか・・・早かったな・・・この前見たばっかのような気がする」
横から、
「おいおい、それならチルボドの方が短いぜ。お前、2月に見たろ?」
「あぁ、そういえばそうだったな・・・でも、今日は見れんかも知れんし・・・」
「あぁ・・・」
ふたたび心へ、黒い影がのびてくる。

SOILWORKは期待以上のステージを見せてくれた。

セットチェンジ。
機材の入れ替えが粛々と進められていく。
通常のカップリングツアーとなんら変わることがないその作業が、やけに緩慢に見える。
一秒が一分に、一分が一時間にも感じられる瞬間。

長い。
汗が落ち、喉がはりつく。
転瞬、場内が暗転。
大歓声。
既に詰まっている間隔が、殺人的に押し込まれる。
肺から圧縮された空気を吐き出しながら、ステージを見上げた。

そこでは奇蹟が、起こっていた。
「・・・おかえり。アレキシ」
目の前が、光で溢れた。

つづく

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