素人リフィニッシュ道場
「ニトロセルローズへの道」

研磨から塗装


気合を入れなおす。

一度やった事がある人ならわかると思うが、ギターやベースの塗膜を手作業で剥がすと言うのは
大変根気の要る作業である。しかも木地を痛めないよう、変形しないような細心の注意が要る。
これは楽器に対する愛情が問われるようだ。

表面や裏の平らな部分は表面のマッタイラな板にサンドペーパーを巻きつけ研磨。
ポリはかなり固い、しかしあまり荒すぎるサンドペーパーだと木地にあたった時にダメージがでかい。
中目で根気よく削るのが懸命だ。


クリアなどの場合は塗料の削り残りが見つけ辛いので、
軽く湿ったタオルなどで拭くと見つけ易い。


特に面倒なのはサイドのR部分もそうだが、何と言ってもカッタウェイ部分だろう。
Rの凸部分はまだ楽だが、凹部分となると削り辛いこの上ない。中々削れない。

あまりにも丁寧な作業をした為、下地を出すまでに9時間を要した・・・・


全部塗膜を削り落とした後、露出した木地をサンドペーパーの中細目で表面を整える。
塗装無しでもいけるんじゃないか!と思うぐらい綺麗に仕上げる。
この時は本当に電気楽器といえども「木工芸品」なんだと強く思った。

う、美しい・・・・・・

   
↑微かに日焼けの後が残っている。



さて、木地が完璧に整ったら、いよいよ塗装である。
今回はクリアラッカーのみで仕上げる事に決めていた。ラッカーはDIYショップなどで市販されている。
この時注意しなくてはならないのは塗料の缶に表示してある塗料成分だ。
ラッカーはラッカーでも「ニトロセルローズ」と、しっかり表示してあるものに限る。
「アクリル」ではダメだ。「ニトロセルローズ」と表示に限ります。

余程塗装技術に自信のある人以外はスプレー缶をチョイスしましょう。
出来れば晴天の空気の乾燥した日の作業が好ましいです。
雨の日だと特にクリアなどは塗膜が濁ってしまうからです。

聞いた裏技ですが、スプレー缶の場合は缶を適度なお湯に漬けて温め、缶内部の気圧を高めると
噴射のパワーが増して綺麗に塗装できるそうです。夏場でしたら日なたに缶を放置しておくだけで
かなり缶は温まります。ただし自己の責任において行動してくださいね、危険な香りがするから。


塗らない部分はしっかりとマスキングしましょう!


最初は木目に沿って縦方向に噴きます。周囲をぐるりと噴いた後表面と裏にさっとです。
とにかく薄く何度も噴くようにします。あせって厚く噴いてしまうと塗料が垂れて最悪の事態になります。
特にラッカーは乾燥時間が早い為、垂れた塗装を刷毛などで馴染まそうとしても無理です。
絶対に垂れないように薄塗り厳守です。

乾燥時間は夏場の晴天で約30分です。それ以外の季節なら再塗装まで最低1時間は待つのが好ましいです。
そうでないと塗るには綺麗に塗れるのですが、その後いつまでたっても塗装がカチカチになりません。
いつまでもラッカー臭いし、完璧な乾燥までに時間がかかります。

その後は縦,横と交互に噴いていき、最後は横で終わらせます。
これは噂かもしれませんが、最後に横で噴いて終わらすと横方向にクラックが入りやすいと言う事です。
これが事実ならフェンダーの場合は最後は縦噴きで終わらせましょう。

塗膜の厚さはお好みでどうぞ。今回は塗装の後にペーパーで塗膜をツルツルに研ぎだす為
若干ですが厚めに塗装しました。


塗装を終えたらしっかりと乾燥。最低3日は放置が好ましい。
その後塗面の研ぎ出し作業が待っている。




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