「先生、おはよう!」木曜の朝、勢いよくやってくるIさんは、上海出身の二胡の先生。各地を飛び回り、演奏をしたりカルチャーセンターで教えたり、大忙しの方です。
中国の民族楽器である二胡を幼少の頃から弟子入りして学んできたそうです。が、日本でも近年のブームで二胡人口が増え、伝承的な教え方だけでなく、西洋音楽的な(五線譜を使った)指導も必要になってきたとのこと。
そこで、彼は、北京の音大の通信生として、西洋音楽の基礎を学んでいます。夏には、北京でスクーリングと資格試験を受けるそうで、その準備のために、数ヶ月前から通ってきています。
日本で音大受験生が「バイブル」として必ず学ぶ「楽典」の本と、それをそっくり翻訳したらしい。中国の「楽理」という本を首っ引きでレッスンを進めていきます。
日本に16年もいらっしゃるというので、言葉は堪能なのですが、それでもただでさえ難解な楽典をなるべく平易な日本語で説明するのは、私にとっても新鮮な経験です。
ゆっくりしゃべろうとしても、ついつい早口になってしまう私の説明を彼は全部録音し、「3回聞きました」と復習にも余念がありません。
こんな感じで毎週1時間半、コールユーブンゲン、楽典、ピアノを学び、終わると二人とも「ふう〜〜」という感じです。
Iさん、今日は途中で何回も鼻をすすります。「花粉症ですか?」と聞くと「はい。薬を飲めば止まるけど、そうするとぼ〜っとしちゃうから。今年初めて花粉症になりました。16年でやっと日本人になりました。」と少し笑って、話していました。
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