2002年9月18日→9月22日北海道旅行記
 
僕にとって長年、憧れの土地だった北海道。そして最北端の街[稚内]。その、念願の稚内へとうとう行って来ました!! たった一人で、しかも鉄道だけを使って!! その旅行記(らしきもの)をちょこっと書いてみようと思います。北海道の、稚内の魅力を少しでも伝えることが出来れば幸いです。
 
 
 
 
(7) さようなら…北海道。そして…ありがとう!!
 
 
札幌観光を終え、駅に戻ったのは16:20くらい。僕の乗る寝台特急[北斗星]2号は17:12の発車なので、まだ結構時間があります。とりあえずコインロッカーに預けた荷物を出して、駅弁やビール、つまみなど必要なものを買っておきます。
 
そしていざホームへ。17:00をまわって、いよいよ[北斗星]2号が入線してきました!! この[北斗星]に乗って個室寝台で一夜を過ごすというのが、今回の旅の最後にして最大のイベントでもあるのです。憧れの[北斗星]…気分が凄く高揚してくるのが自分で分かります。
 
そう言えばこの旅を計画した時、最初この[北斗星]のチケットが手に入らずに旅行自体やめようかとか色々あったなぁ…(笑) 今となっては、それもみんな全ていい思い出。
 

ディーゼル機関車に引かれて札幌駅へ…
憧れの[北斗星]。

[北斗星]最後尾。
 
やってきた[北斗星]。使用されているのは24系という寝台用客車。それをリニューアル(と言うか大改造)して個室化した車両が使われています。12両から成る編成の中には一人用個室の[ロイヤル][ソロ]、二人用の[ツインデラックス][デュエット]、従来通りの開放型B寝台と言った各寝台車、そして食堂車[グランシャリオ]とロビーカーが連結されています。
 

僕の乗る9号車客室サイドビュー。
 ソロ個室が2段に並んでます。

[上野]行きを告げるサボが郷愁を誘う…。
 
さあ、列車のドアが開きました。いよいよ乗り込みます。寝台列車自体、乗るのは実に20年ぶり。その頃は当然、今の様な個室寝台なんてありませんでした。初めて乗る[北斗星]、そして個室寝台…。早速、自分の手元の切符に表示されている、[9号車 8番個室]の部屋のドアを開けてみます…。
 
「おお…」 これが憧れの北斗星の個室寝台。僕が今回乗ったのは一人用個室の[ソロ]。しかもラッキーに2階席でした。[北斗星]のソロ個室は、1階席と2階席の部屋が隣同士で交互に並んだ造りになってます。
2階席側の方は、ドアを開けると階段があって、そこを上った場所が居住スペースになっています。部屋の広さから言えば1階席なのでしょうが、展望を考えたらやっぱり2階席。
 
今回、切符自体がキャンセル待ちの状態で買ったので、1階か2階なのか乗るまで分からない状態だったのですが、何はともあれ2階席が取れて良かった良かった。
 

個室寝台車内。
部屋内の階段から見上げてみる。

シーツ・布団・枕…
それに浴衣もちゃんと置いてあります。
 
この一人用個室[ソロ]、簡素な設備なのですが、従来通りの開放型B寝台と同じ値段(つまり一番安い寝台料金)で個室に乗れるとあって、人気が根強いみたいです。個室は、思っていたよりは広い感じ。自分はもっと、カプセルホテルみたいな狭いのを想像してたんですが、それよりはずっとずっと広いです。さすがに2階席で天井が低いので、ベッドの上で立ち上がることは出来ませんが、でも一人でくつろぐには充分なだけの空間はあります。何より、個室で完全にプライバシーが確保されてると言うのがありがたいですね。
 
17:12。定刻通りに[北斗星]は札幌を出発。発車してすぐに車掌さんが車内改札にやってきました。そして、部屋のキーを渡されました。そうです。この北斗星、個室なんでもちろん各部屋にキーが付いてるんですが、それは出発後に車掌さんが各個室へ持ってくることになってます。ちなみに、このキーには皮製のキーホルダーがついていてそれがなかなかイイ感じでした。欲しかったんだけど、でもこれ…後でまた回収されちゃうんだよなぁ(涙)
 
改札も終わり、キーももらってこれで晴れて自由の身。とりあえずせっかくなので、車内をぶらぶら見てまわることに。長く続く廊下には個室のドアがずらりと並んでます。開いてるドアから他の個室をのぞき見(笑) 4、5タイプある個室寝台、種類毎で部屋の雰囲気も全然違っててなかなか面白いです。A寝台個室の[ロイヤル][ツインデラックス]はさすがに高級感あふれる造り。でも値段も高いんだよなぁ…。
 
そして営業準備中の食堂車を抜けてロビーカーへ。この[北斗星]2号に連結されたロビーカーは半室構造でした。豪華さにはちょっと欠けてた、かな…? でも早くもこの時間から、ソファーに座ってくつろいでる人が何人かいました。て言うかちょっとケムいですこのロビーカー。どうやらここは北斗星車内に数少ない喫煙ゾーンな様で、タバコの煙がもくもくと…。たまらず退散(笑)
 

北斗星の廊下。
左側にはずらっと個室の扉が並んでます。

喫煙ゾーン…じゃなくてロビーカー。
 
一通りまわってみた[北斗星]の車内、やっぱりJR側が凄く気合を入れている車両だなぁ、て言うのが凄く良く分かりました。ただ、正直なところ、車両自体がちょっと古い感がするのはどうしても否めません。デッキとかに古さがにじみ出てしまってます。もうあと何年かしたら、[北斗星]も完全に専用の新車を導入する、と言ったことも必要になってくるかもしれないですね。
 
部屋に戻ってとりあえず夕食。[北斗星]には食堂車が付いていて、夕食は予約制でフランス料理のコースをやっています。でも僕は頼みませんでした。高いから、て言うのもありますが、肉嫌いな僕の場合、フランス料理のコースで食べられないものが出る可能性が凄く高いので…。その代わり、食堂車はコース料理終了後に予約無しで入れるパブタイム営業と言うのをやってるらしいので、その時に行ってみるつもり。まあその前に腹ごしらえと言うことで、札幌駅で買った[タラバガニ弁当]と言うのをビールと一緒に食べました。ご飯の上にたっぷりカニの身が乗っててなかなかのもんでした。
 
しばらくして、車内販売のおねいさんが各個室を訪ねてやってきました。[北斗星]ではオリジナルのグッズを販売しています。僕も見せてもらいました。キーホルダー、携帯ストラップ…色々あります。おねいさんの話ではストラップは最新作なんだとか。せっかくなんで記念にどれか買っておこう…う〜ん、迷うなぁ。どれに…え〜いめんどうだ全部買ってしまえ!! てコトで、3種類くらいまとめて購入。あ、念の為言っときますけど、車販のおねいさんがとても可愛かった為についつい買ってしまったとかではありません。断じて。なんかオレ、こんなんばっかだ(笑) それから、車掌さんがオレンジカードを持ってきたので、これもやっぱり購入。今回の旅で、結局オレカも6枚くらい買ったような…どうせ使わんのに。
 
さあ、あとはひたすら部屋でのんびり過ごします。本を読んだり音楽を聴いたり、楽しかった旅の体験の数々を思い出したりしてみたり…。そうこうするうちに時間は21:00近く。これから食堂車へと向かいます。
 
21:00過ぎのパブタイム営業開始と同時に僕は食堂車へ入ります。もちろん一番乗り(笑) パブタイム営業でのメニューは軽食とおつまみ中心なのですが、お腹にたまりそうなメニューもいくつかはあります。
 
とりあえず僕はワインを注文。オリジナルの、[カシオペアワイン]と言うのがあったのでそれを頼みました。本当は白を飲みたかったのだけど、売り切れで赤しかなかったのがちょっと残念。それと[チーズ盛り合わせ]。やっぱりワインにはチーズでしょ。あと、駅弁食べたハズなのになぜか無償にお腹が減ってきてたので、[北海の幸のクリームパスタ]も注文。おいおい…食べ過ぎだろ(笑)
 

食堂車[グランシャリオ]。

一人ワインをかたむけつつ…。
 
北斗星食堂車の[グランシャリオ]。各テーブルに置かれた赤いランプがとてもムーディーでイイ感じ。天井も間接照明でやさしい、暖かい感じでいい雰囲気でした。ちなみに同じ北斗星でも、編成によって食堂車の内装も微妙に違うのだとか。乗り比べてみるのも面白いかもしれないですね。
 
さて、注文通りにメニューが運ばれてきました。まずはワイン。軽くはないのですが、でも濃すぎたりクセが強かったりするわけではなく、飲みやすくてなかなかいいワインです。美味しい。それから[チーズ盛り合わせ]。色々なチーズが盛り合わせてあります。青カビのついてるやつとか、カマンベールとか色々。そして[北海の幸のクリームパスタ]。北海の幸と言っても特に変わったものが入ってるワケでなく、ぶっちゃけ単なるシーフードクリームパスタなんですが(笑)、でもソースの味が良かったのか凄く美味しい!! 雰囲気だけじゃなくて味もなかなかイイですね。北斗星の食堂車。
 
食べながらボーっと車窓を眺めていると、ふと綺麗な夜景が目に飛び込んできました。そして函館到着。ここで機関車がそれまでのディーゼルから電気機関車に変わり、進行方向も変わります。
 
景色を眺めたり(と言っても夜でほとんど何も見えませんが)しながらゆっくりとワインを飲み、食後にホットコーヒーまで頼んで、結局全部食べ終わったのは22:20過ぎ。なんだかんだで1時間以上食堂車にいました(笑) そしてロビーカーにある自販機でビールを買って部屋へと戻ります。
 
部屋に戻って浴衣に着替え、そして時計を見るともう22:30。そう言えば、出発直後のアナウンスでは「青函トンネル突入が22:40」と言ってたなぁ…。あともう5分ほどで青函トンネル。窓を見ると、遠くの方にちらちらと明かりが見えます。北海道の夜景…。「ああ、今この窓から見えてる風景が、僕が北海道で見る最後の景色なんだなぁ」 ふとそんなことを思った瞬間、目から熱い涙が溢れ出し、もう僕にはそれをどうすることも出来ませんでした。久しぶりに、本当に何年かぶりに声を出して、思いっきり泣いてしまいました…。
 
僕も今まで色々な「旅」をしてきたけれど、でもこんなことはもちろん一度もありませんでした。そして多分、これからもきっと、ここまでの思いをさせてくれる旅には生涯出会えないでしょう。本当に、本当にありがとう北海道…。
 
この日はそのまま、ビールを2本飲んで就寝。[北斗星]の夜はちょっぴりほろ苦い夜。
 
次の日の朝は、6:00くらいには目が覚めてしまいました。でも[北斗星]ソロ個室のベッド、なかなか快適でよく眠れました。窓を見ると、風景はすっかり東北地方。列車は福島のあたりを走っています。部屋でちょっと過ごし、服を着替えて適当に身支度を整え、食堂車へ。
 
食堂車では、朝は予約無しで朝食を食べられます。メニューは和食と洋食の2種類。普段の僕なら迷わず洋食を選ぶのですが、和食が数量限定と聞いて和食を注文(←「限定」て言葉に弱いヤツ) 焼き魚に煮物にご飯に味噌汁に…それにデザートの果物までついてかなりのボリューム。更に食後にホットコーヒーまで付いてきました。味もなかなかのもので満足満足。
 

[北斗星]の和朝食。これに味噌汁とコーヒー付。
…朝から凄いボリューム。

上野駅に到着した[北斗星]。
長旅お疲れ様でした。
 
あとはまた部屋に戻って、旅の余韻を味わいつつ、ゆったりと時を過ごします。のんびり寝転んだまま景色を眺めたり…そして、景色が田舎の風景から徐々に街の風景、都会の風景へと変わっていって…9:40。定刻通りに[北斗星]2号は上野駅へ到着しました。16時間30分にも及ぶ[北斗星]の旅も終わり、こうして僕の北海道旅行は幕を閉じたのでした…。
 
と、本来ならここで終わるのが普通なのですが、でもほら、昔から言いますよね? 「旅は家に辿りつくまでが旅である」って。そこで僕は考えました。こっから家までの道のりをなんとか面白くする手段はないものだろうか。だって、せっかくここまで[北斗星]で旅してきたのに、あとは新幹線でまっすぐ帰るだけだなんて…それじゃあ、あまりにも味気ないと思いませんか??
 
そこでまず、上野駅に到着するや否や「みどりの窓口」へ直行。そして置いてある時刻表をおもむろにめくります。…何か面白い列車はないものか。あ、あった!! ありました。東京駅12:30発[リゾート踊り子]伊豆急下田行き。これだ!! これにしましょう!!
 
そうと決まれば善は急げ。早速切符を申し込み、無事指定券も確保。あとは、まだ列車の時刻まで随分と時間があるので、とりあえず時間つぶしに渋谷まで出てみます。山手線で渋谷へ。タワレコに寄って、新しく出てたスケッチショウのアルバム[AUDIO SPONGE]とハイコラウのミックス[TEMP SPACE]をゲット。再び山手線で東京駅へ。
 
駅に着いて、売店で駅弁とビールを購入。そしてホームに、これから乗る[リゾート踊り子]が入線。「うぉ!?」 思わず声が出ちゃいました(笑) なんか凄いですこの車両!! なんつ〜か凄いインパクトを見るものに与えます。実際、ホームでかなりの人目を引いてました。写真を撮る親子連れとか、乗りたいね〜と会話してるカップルとか…。この車両、実はJRの電車じゃなくて、伊豆急行という伊豆の方を走ってるローカル観光私鉄の車両なんですが、確かにJRの特急車とは見るからに一癖も二癖も違う感じがします。
 

強烈なインパクトの[リゾート踊り子]。
一緒にパチリ(笑)

[りソート踊り子]展望室内。
 
中に乗り込みます。この[リゾート踊り子]、海の見える景色のいいところを走るだけあって、展望にはかなり気を使った造りになってます。両端の先頭車の最前列は展望車になっていて、運転席越しに前の景色を眺められます。一般座席も、海側座席はシートが窓の方を向いて固定になっていたりします。
 
さて、僕の買った指定席。偶然にも展望車でした。と言っても先頭車では無く最後尾でしたけど…。でもとにかく展望車。やっぱり今回の旅行、何かとツイています。最後の最後で凄い列車に乗ることになってしまってもうワクワク!!
 
12:30。[リゾート踊り子]は東京駅を出発しました。展望席からどんどん東京駅が遠ざかります…後ろ向きの展望もなかなか悪くありません。せっかくなんでここで車内見学。やっぱりこの車両、JRの車両とは全然雰囲気違います。随所にリゾートらしさがあふれてます。あと、天井がちょっと高めの造りになってるせいか、客室がとても広く感じました。間接照明の天井と相まって開放感に溢れています。
 
展望席に戻ってお昼ご飯。売店で買った、[秋露のささやき]と言う弁当。いろんなおかずとご飯が品良く盛られています。懐石風幕の内弁当と言った感じ? ビールに良くあって美味しかったです。こうして、弁当食べてのんびり風景を眺めたりしているうちに、13:49に熱海に到着。ここから伊豆急線内に入って行ってしまう[リゾート踊り子]とはお別れです。
 
ついでなので熱海でちょっと途中下車。でも人の多さとあまりに観光地過ぎる雰囲気にまいってすぐに戻ります(笑) まったくもう、何やってんだか…。
 
そして14:24熱海発の新幹線[こだま]に乗車。更に豊橋駅で東海道線の快速に乗り換え、安城に16:30くらいに着きました。楽しかった北海道旅行、これで本当に全てが終わりました…。
 
 
今回の北海道旅行、本当に本当に素晴らしい旅行でした。自分が今まで体験した[旅]の中で間違い無く最高のものでした。こんな素晴らしい経験をくれた、北海道に限りなく感謝。そして、僕が泊まった宿のスタッフの方々や稚内定期観光バスのガイドさん、運転手さん。JR北海道特急車のスタッフの方々。[北斗星]のスタッフの方々。行く先々の地で写真をお願いした見ず知らずの方々。その他今回の旅行でお会いした皆々様。僕の今回の旅行が素晴らしいものとなったのも、皆様のおかげだと思ってます。(このサイトを見てる人はきっといないだろうけど)皆様に多大な感謝をこめて…本当にありがとうございました!!!!
 
 
 
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