「五感」とは視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚の五つの感覚ですね。それが人間の感覚として歴史的に発生・発達・洗練されてきたものである、と読み取ることができます。面白いのはこの一節が「私的所有と共産主義」(Privateigentum
und Kommunismus)という章にあることです。もちろん「草稿」ですから、テーマに関わらずに自由に思いつくままに書いてるでしょうから、話のついでにそういう流れになっちゃんたんでしょう。でも前後のコンテクストの中でどういう意味があるかを紐解いてみることも必要な事だと思います。
”also die Vergegenständlichung des menschlichen Wesens,
sowohl in theoretischer als praktischer Hinsicht, gehört dazu, sowohl um die
Sinne des Menschen menschlich
zu machen als um für den ganzen Reichtum des menschlichen und natürlichen Wesens
entsprechenden menschlichen Sinn zu schaffen.
”
ドイツ語初級者のためにも丁寧に解説しましょう。この文章の「へそ」はどこでしょうか? ・・・”gehört dazu”が「へそ」であることを発見したら、50%成功です。ヨーロッパ語は文章の中心となる「動詞」を中心軸にして同心円状に文章が構成されています。
gehören (eng. belong) ~のものである、~の一員である、~が必要である
この動詞は、
”Dieses Auto gehört ihm." (「この自動車は彼のものだ。」)
と通常は「所属」を表しますが、「必要」の意味もあります。ここの文章は、
”Viel Geschick gehört dazu , das zu machen.” (「それをするには優れた手腕が必要である。」)
が単に長くなったものと考えられます。
したがってこの文章の本体は、
”
die Vergegenständlichung des menschlichen Wesens
gehört dazu, um etwas zu inf.” (「~するためには、人間的本質の対象化が必要である。」)