<P ALIGN=CENTER><TABLE BORDER="8" BGCOLOR="#007F00"> <FONT SIZE=5>日曜地学ハイキング記録</FONT></P>
日曜地学ハイキング記録


牛王山のなぞと関東ローム層


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1 武蔵野台地と関東ローム層 

2 関東ローム層の観察 












1 武蔵野台地と関東ローム層 

 川はその流れの速さに応じて陸地を削る「浸食作用」、その流れの中に土砂をまきこんで下流へ運ぶ「運搬作用」、流れのゆるやかな下流や海底に土砂を沈ませる「堆積作用」の3つの作用により陸地(あるいは海底)は海面と同じ高さになるように変化していきます。そのようにして平坦な地形面ができるわけですが、海面を浸食基準面といいます。陸地が隆起したり、あるいは海面の方が低下したりすると、新たな侵食基準面をめざして川の侵食作用が進み、以前の地形面の下に新たに平らな地形面を作るようになります。川の両側には以前の地形面が段丘として残されることになります。
 今から100万年前から現在までを氷河期といい、幾度か氷期と間氷期が繰り返し、海底が低下したり上昇していることがわかっています。
 武蔵野台地のある場所で、下から上まで全部の関東ローム層が堆積しているとすると、多摩ローム層→下末吉ローム層→武蔵野ローム層 →立川ローム層の順に堆積していることになります。このように全てのローム層をのせている地形面を、多摩面といいます。
 それに対して、下末吉ロームから上のローム層をのせている地形面を下末吉面、武蔵野ローム層から上のローム層をのせている地形面を武蔵野面、立川ローム層しかのせていない地形面が立川面ということになります。
 実は、どのローム層から上のローム層が堆積しているか調べることで段丘地形ができた時代を知ることができるのです。

下末吉面の形成と下末吉ロームの降灰
 最終氷期の前の氷期であるリス氷期が終わると、気候は温暖になり大陸の氷河がとげて海に流れ込み海面は上昇しました。このとき関東平野の内陸部まで海が入ってきました。海底には土砂が堆積し、陸地にもレキ層が堆積しました。このときできた地形面が下末吉面です。
 この面の上に火山灰が積もります。この火山灰は主に箱根火山や富士山から飛んできたものですが、さらに遠くの西から飛んできたものもあります。特徴的な軽石層として約7〜9万年前に木曽の御岳山から飛んできた、御岳第一軽石層があります。

武蔵野面の形成と武蔵野ロームの降灰
 最終氷期ウルム氷期に入り、海水面は次第に低下していきます。途中何回か小海進や海面の停滞があり、その時に古多摩川は流路を大きく変えながら広い扇状地性の地形面である武蔵野面をつくりました。
 この武蔵野面も詳しく見れば、3つの面に分けられます。研究者によって定義のしかたが異なっていますが、M1面、M2面、M3面とします。
 この面の上に火山灰が積もります。この火山灰の中で特徴的な軽石としては、約4万9千年前に箱根火山の大噴火による東京軽石層があります。

立川面の形成と立川ロームの隆灰
 ウルム氷期により、寒冷化が進んでいきますが、その間も気候の変動がみられ小海進があり、多摩川沿いでは立川のあたり、埼玉県では柳瀬川や黒目川などのの谷底に立川面が形成されました。
 この面の上にも火山灰が積もります。特徴的な火山灰としては、黒色帯(B.B.)の間に挟まれる姶良Tn火山灰があります。電球のガラスの破片のようなバブルウォール型火山ガラスを多く含み、約2万2千年前に鹿児島湾の姶良カルデラからやってきたものです。
 武蔵野に立川ロームが降っているころ、ウルム氷期の最盛期を迎えます。約2万年前が最も寒く、陸上に氷河が発達したために、海面は約130mも低下していました。東京湾もなくなり、大きな谷が形成されていました。日本列島は北と西で大陸とつながり、日本海は大きな湖になっていたよう.です。北と西の陸橋を通って動物の行き来がありました。旧石器時代の祖先は大型の動物を追って暮らしていました。

現在まで
 約2万年前以降になると氷河期は終わり、気候の温暖化が進みました。海面は上昇し、関東平野の奥深くまで海が入ってきました。この海進を縄文海進、奥深くまで入ってきた東京湾を古東京湾と呼んでいます。縄文時代の人々はこの海で魚や貝をとりました。台地の縁に貝塚がありますが、そのすぐそばまで海が入ってきた訳です。
 このようにして、私たちの暮らす武蔵野の地形が作られてきました。この地形の中には、全世界的に生じた海水準変動のようすが記録されているのです。ひとつの地域から地球全体へ(ローカルからグローバルへ!)、 視野を広げることができます。

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2 関東ローム層の観察 

関東ローム層中の火山灰(軽石)の観察

火山灰を蒸発皿に入れ、わんがけ法により処理します。蒸発皿に残った鉱物を双眼実体顕微鏡で観察しました。

<ワンがけ法>
@蒸発皿に試料を薬さじ1杯程度とり、水を少量加え、親指の腹でよく練りつぶします。
A7〜8分目まで水を加え、指についた試料を落としながら、全体をかきまぜます。
B2〜3秒ほど放置して砂粒が沈んだら、蒸発皿を傾け、にごり水を静かに捨てます。
C底に残った試料を、再び指の腹でよく練りつぶします。(水が少ない状態で行います)
Dにごりが完全になくなるまで、A〜Cの作業を何回も繰りかえします。

<双眼実体顕微鏡での観察>
@接眼レンズを月の幅に合わせ、両眼の視野を一致させます。
A片目でのぞきながら、微動ネジでピントを合わせます。
Bもう一方の目でのぞき、視度調節リングを回しピントを合わせます。
Cステージ板は裏返すと目・黒にかわるので、見やすい方で観察します。
Dテキストを参考にして含まれる鉱物の種類と大体の割合を調べます。
E多く含まれる鉱物で、典型的な形状のものを数種類スケッチします。

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