2015年から2020年までの名PVA
Kendrick Lamar - Alright (2015)カリフォルニアはコンプトン出身のラッパーKendrick Lamarの大ヒットアルバム『To Pimps A Butterfly』収録の曲で、全米80位を記録しています。黒と白のモノクロームの映像の中で黒人を撃つ白人の警官。現在のBlack Lives Matterにも通じる強烈なメッセージのこもったPVです。中でも信号機の上でKendrick Lamarが歌うシーンはこのPVの中でも象徴的なシーン。監督はColin Tiley。 オーストラリアはシドニー出身のシンガーソングライターCourntey Barnettのデビューアルバム『Sometimes I Sit And Think、And Sometimes I Just Sit』からのシングルです。90年代のグランジのようなハードなギターサウンドに感情溢れる歌い方が印象的なこの曲のPVはCournty自らがピエロを演じるものです。Coutrtney演じるピエロは胸に2013年チャンピオンのバッジをつけていますが、2014年のチャンピオン人気を奪われる悲哀を描いています。最後には2014年のチャンピオンも周囲も周りから冷たくされる終わり方は歌詞とマッチして浮き沈みの激しいロックスターの悲哀を感じさせます。 オーストラリアで結成されたロックバンドTame Impalaの2015年にメディアで高い評価を受けたアルバム『Currents』からのシングルで、オーストラリア本国で17位のヒットを記録しています。バスケットボールプレイヤーとチアリーダーを軸に思春期の性を描いた内容になっています。チアリーダーを演じるのはスペインの女優Laia Manzanaresで、バスケットボールプレイヤはAlbert Baro。Beckの「Up All Night」やDua Lipaの「Physical」を手掛けたスペインの映像スタジオCanadaによるもの。 Avicii - Waiting For Love (2015)スウェーデンはストックホルム出身のDJ Aviciiの全英6位を記録した曲でボーカルはイングランドはBoltonのバンドCherry GhostのSimon Aldreadが歌っています。AviciiのPVはどこか切ないものが多いですが、これは曲の歌詞とマッチして特に切ないものです。ある朝目覚めるとそばに長年連れ添った妻(Ingrid Wallin)がいないことに気が付いた老人(Sten Elfstrom)がスクーターで旅に出るという内容ですが、まるで映画のようなストーリーが感動的です。監督はSebastian Ringler。 Kaytranada - Lite Spot (2016)ハイチ出身でカナダを拠点として活動するDJ Kaytranadaのデビューアルバム『99.9%』収録のナンバーです。PVはKaytranadaがロボットとともに交流する様子が描かれたものですが、まわりの人間がダンスをロボットに教える様子がほっこりするものです。この曲とPVが話題を呼び、シングルヒットはないものの2016年にメディアでシングルアルバムともに高い評価を受けました。監督はMartin CとMariseau。 シカゴはイリノイで結成されたロックバンドOK Goの2014年発表のアルバム『Hungry Ghost』から3曲目のシングルカットナンバー。いつも独創的なPVを作ることに定評のあるOK Goですが、この作品はロシアのS7 エアライン協力の元で無重力映像が撮られています。無重力映像は、これまでもちょくちょくあったように思いますが、このPVはミュージカルの一発撮りのような趣で、見せ方が凝っています。色のついた風船が無重力状態で割れる映像は、その後の処理お構いなしの大胆さを感じさせます。アイディアと監督はバンドメンバーDamian Kulaseとその妹、「Here It Goes Again」の監督も手掛けたTrish Sie。 OK Go - The One Moment (2016)同じくOK Goのアルバム『Hungry Ghost』から4曲目のカットナンバーで、US Rockチャートでは9位を記録しています。最初に4.2秒の映像が流れ、それをスローで再生しましたという内容ですが、逆にフルのPVを4.2秒で作りましたといった感じ。高精度カメラによるスローモーション映像はやはり独創的で、それをPVとして完成させている点が素晴らしいです。監督はDamian Kulash。 Green Day - Bang Bang (2016)カリフォルニアで結成されたパンクバンドGreen Dayの2016年に全米1位に輝いた『Revolution Radio』からのカットで、US Altanative チャートで1位に輝いています。絵を張り付けたような独特のアニメーションで描かれるのはジープや銃といった戦争のイメージと逃げまどう動物。Green Dayらしいメッセージ性あふれるPVになっています。同アルバムからの『Revolution Radio』のLyric Videoもまた同じようなスタイルです。RancidのフロントマンのTim ArmstrongがPV監督。 Andy Shauf - The Magician (2016)カナダはSakskatchewan出身のフォークロックシンガーAndy Shaufの2016年発売アルバム『The Party』からのシングル。Beatlesを彷彿とさせる穏やかなギターロックですが、PVは画像何枚も組み合わさりながら構成される現代の紙芝居のような映像です。Andy Shaufの映像に重ね合わさる画像がなんともカオスで独創的です。PV監督は写真家のWinston Hacking。カナダのModern Music VideoのアウォードであるPrism Prizeでは2017年のAudience Awardを受賞しています。 Coldplay - Up & Up (2016)ロンドンで結成された世界的ロックバンドColdplayの『A Head Full Of Dreams』からカットされてUS Adult Altanative Songsチャートで8位に入ったナンバーです。2つの異なるシチュエーションの映像を組み合わせるといえば単純ですが、その組み合わせ方が絶妙で、強烈なメッセージを感じさせる映像もあります。PV監督はVania Heymann。 |