■Kid Gladlove■

シークレット・パブリック読者のピーター・アップトン(チルハムケント)より、どうして「KidGladlove」が12号のトニーとフィルのプロフィールに載っていなかったのかという質問が寄せられています。ピーターと彼のガールフレンドはこの短命な4人組バンドのファンだったそうです。そこでそのバンドの背景を教えていただきました。

1988年の年末、ベンとスコット・アディソンが「Boys Wonder」を解散したのは「Goodbye James Dean」をリリースしてまもなくたった頃だった。(ちなみに、これは彼らのサードシングル。ファーストは自分たちのレーベルから、ほかはSireレーベルからリリースされた。)二人は当時のロンドンのトップパンクバンドを解散させたわけで、トニー・バーバー、パスカル・コンソリ、グラハム・ジョーンズは宙ぶらりんの状態においこまれてしまった。音楽紙によると「三人が他のバンドとギグを行っていたから」とベンとスコットが述べたことに対し、トニーは不快感を表したという。

ドタバタはこれで終わったわけではなく、アディソン兄弟はばりばりパンクロックのバンド「Doctor and The Medics」のメンバーを含めたサウスロンドンの友達を加えて「Boys Wonder」として活動していくとのニュースが入った。実際のところ、これまでのパンクスタイルを捨ててシックスティーズをやりたいというバンド内のクーデターだったわけだ。彼らは結局「Corduroy」と改名することによって、音楽性を変えることができたのだった。ベンとスコットの話しはこれでおしまい。さて解雇されてしまった三人は新しいバンドを結成すると報道された。名前は「Kid Gladlove」で初期のセックスピストルズに触発されてつけたものだ。

デビューするまでにパスカル・コンソリとグラハム・ジョーンズが脱退し、「Kid Gladlove」の構成メンバーはトニー・バーバー(ギター/Vo)、フィル・ベイカー(ドラム)、アンディ・ザ・'テッド'(ベース)、そして'ガス'(トニーの小学校時代の友達)(ギター)。このメンバーでの最初のギグはThe Marqueeにおいて、新生Boys Wonderのサポートとして行った。ロンドン内外で4、5カ月の間、グラムロックとパンクをミックスした曲をやっていた。彼らのライブにひんぱんに足を運んでいた元Boys Wonderのファンの男性がKid Gladloveをビデオにおさめている。彼らはファースト・シングルとなるはずだった「Teenage News」をDave Goodman's Studioでレコーディングしたがそのミックス前にバンドは解散。他に唯一レコーディングされたのは、フランスのラジオ局でのセッションで、パリでの2公演だけの短い滞在の間に録られたものである。伝説のDamnedのドラマー、ラット・スキャビーズも彼らに同行していた。バンド解散のあと、トニーとフィルはバズコックスを結成したのだった。

ピーターはまたこう付け加えている。

僕のガールフレンドがトニーと出会うチャンスがあったときの興味深い話しがあります。彼女はその時僕のKid GladloveのTシャツを着ていたんです。二人はそのバンドについて話しをしていて、トニーが「あのバンドはまったくの失敗だったから、もう忘れたいんだ。」と言ったそうです。ということで、シークレット・パブリックでのプロフィールにそのバンドのことが触れられていなかったのではないかと思っています。

ピーター・アプトン

Bazooka vol.2へ戻る