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●バズコックスは短いアメリカ滞在で３カ所のライブをこなし英国に戻ってきた。わたしがトニー・バーバーに電話したとき、返ってきた言葉は「ニューヨークから帰ってきていまさっき家の中に入ったところなんだけど、どこかで見てたのかな」だった。疲れているだけではなく、ベースギターや飛行機の乗り換えのことで災難な目にあいへきへきしているのだろう。

思い起こすと、トニーのベースが前の米国滞在中に壊れてしまい、修理のためにロスアンジェルスに置いてきたこともあった。バズコックスがロスに到着するとその最愛のベースが空港の荷物作業員によって再び壊されてしまった。気をとり直して翌日サンディエゴで新しいベースを８０５ドルで購入。しかしこれで彼の災難は終わりというわけにはいかなかった。米国でのラストライブのためにニューヨークへ戻るという日、ホテルをチェックアウトする前に彼のベースが不思議なことに消えてしまったのだ。ホテル側のJFK空港へ急行便で送るという約束にもかかわらず、ベースはニューヨークに到着しなかった。トニーはバズコックスと同じ会場でライブを行っていた「スリーパーズ」のギタリストからベースを借りるというはめに陥った。

●ローリング・ストーンズ誌の招待で他のバンドと行った「サン・ディエゴズ・４ｔｈ」と「ブロードウエイ」でのライブ３本はとても素晴しかった。L.A郊外に滞在していた間に、トニーとスティーブは「60ft Dolls」のライブを見にドラゴン・フライ・クラブへ行った。セックス・ピストルズのポール・クックの姿もそこにあった。ピートとスティーブはサン・ディエゴでのライブの日の午後、ロスのリアル・レディオ（97.1 FM)のインタビューを受けた。アルバムからいろんな曲を流し、ファンが直接電話で、彼らが1976年のパンクバンドから世界的に評価される９０年代のバンドへ成長したことについて質問もした。

●日本のレコード店で配布されているパンク・ニューウェイブ・フリーペーパー「タイムズ・アップ」９月号では、４ぺージにわたってバズコックス・ジャパン・ツアーやアルバム「ALL SET」、シークレット・パブリックについて取り上げていた。

●東京滞在中、９月２０日、ディスク・ユニオン店においてインストア・ライブを行ったバズコックスは「Totaly From The Heart」「What Am I Supposed To Do」「Ever Fallen in Love」を披露。そのあと「All Set」のアルバムにサインをした。

「Totally from the Heart」はシングル・リリースはされることは絶対にないであろう。またトニー・バーバーはアルバム「All Set」についてわたしと話していて、こんなふうに語っていた。「現時点では忘れてしまいたい前作」だと。IRSは奇妙なハートマークが載った一方的なラジオ宣伝用のシングルをすでにプレスしていた。これはきっと大変なコレクターズアイテムになることだろう。

●日本ツアーでは、川崎のホテルから台風下の風景を目撃することになった。ライブ前には日本のＴＶ局の取材を受け、ケーブル局のスペースシャワーＴＶはライブの一部分を撮影した。

●１１月１１日、バスコックスはロンドンの「The Surgery」スタジオで新しいアルバムのデモ・テープ制作にかかった。来年にはロンドン「Abbey Road Studio's」で新作のレコーディングをし、1997年の春にリリースしたいとのこと。トニーはまた、過去のデモテープに収録されている未発表曲をレコーディングしたいと言っている。

それらの曲のレコーディングの意図は 「サイドB」として使用したいためということだ。その中には「Dreaming」「Tranquilizer」「Why　Compromise」（ビル・ラズウエルのデモテープより）、「Somewhere」（「TTT」のデモテープより）、「Under the Sun」（all Set デモテープより）がある。

●「Chronology」のライナーノーツの編集のために、トニーはピートとスティーブに彼らの自宅てじっくりとインタビューを行った。トニーは現在、長期にわたったレコーディング当時について書きつづっている。また、スティーブ・ディグルの自宅地下室はほとんどリハーサル室のようなものなってしまい、１１月４日　トニーとピートが参加してニューアルバムの新曲のリハーサルをしていた。スティーブはフィルとカムデンにいる間に作品にとりかかった。ピートもまた新曲を何曲か作っていたようだ。彼らがスタジオ入りする数日前にピートと話したのだが、あまり曲作りについては語ってはくれなかった。新曲のことについて聞こうとしたら、「頭ん中にはアイディアが浮かんでいるんだけど、人には気づかなれないだけさ。」と言っていた。

●南米に住んでいるたくさんのファンから便りをもらってうれしいし、バズコックスが南米でクリスマス直前の週にライブをすると聞いて喜んでいる。前のツアーが終わってから何ヵ月も音楽業界がバズコックスの話題で盛り上がっていた。プロモーター側がそれ以来、彼らを呼び戻そうと頑張っていたのだった。今回のツアーはサオ・パラロとブエノスアイルスでの２公演で短かいものだが、メンバーはツアーをとても楽しみにしている。

●最後に、トニーが電話をくれてThe Surgery でのレコーディング初日にはスティーブ・ディグル作６曲のラフテイクを録り、翌日にはディグル作の別の２曲を追加し、ピートによる６曲にとりかかったと語ってくれた。スティーブの地下室でリハを前から重ねてきておりアレンジについては「バンド」として取り組んできたことが、今では役にやっていると言っていた。レコーディングの終わりまでに少なくとも新曲２０曲は仕上げていきたいと思っているようだ。

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