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タイトル:「ふじちょう −詩的ぶるぅす集−」
著者:椈遼介
定価:500円(税別)
判型:A6文庫判
頁数:160ページ
発刊:2011年3月10日
ISBN:ISBN-10:4092218453
ISBN-13:978-4902218459
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<内容一部紹介>
バースデー
わたしが生まれた時のことを
わたしは何ひとつ覚えていない
雪は降っていたのか
太陽は出ていたのか
海は穏やかだったか
風は冷たかったか
誰がそこにいたか
どんな顔をしていたか
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細波(さざなみ)
樹の幹の欠けたところに
甲虫どもが寄り集まって
埋め尽くしてしまうように
洞窟の天井の欠けたところに
蝙蝠どもが寄り集まって
埋め尽くしてしまうように
思い出の砂浜の欠けたところに
細波どもが寄り集まって
埋め尽くしてしまうように
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黒いパンダ
公園のパンダは
雨風に晒されて
白黒模様も消えるほど
薄汚れて立っていた
それでも眼光は鋭く
ぎりりと前を見据え
僅かに笑みさえ浮かべ
しっかりと立っている
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土を知らない子
土を知らない子は
どこへ帰ってゆくのだろう
土を踏んで
土を触って
語りかけることもなく
問いかけることもなく
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ふじちょう
不死鳥になんて
なりたくないな
だって死ねないなんて
考えただけでも
恐ろしいじゃないか
挙げ句の果てには
自ら火に飛び込み
自ら終止符を打つ
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