「ああもう、適当に開けちゃうわ」
煮詰まったオリヴィエ様は、サイドテーブルの引き出しに手をかけた。
「おいおい、いくらなんでもそんな単純なところに隠すやつなんて……」
オスカー様の突っ込みに、俺は思わず苦笑する。
ここに……その単純な奴がいるんですけど。
「あ……入ってる」
「何!?」
オスカー様の叫びなど気にも留めずに、オリヴィエ様は俺の隠した小さな包みを
取り出してその場で開け始める。
必ずどこかに贈り主の名を入れておく決まりだったから、俺は包装紙を取り除いた
箱の表にきちんと自分の名前を記しておいた。
カサカサと包装紙を丁寧に剥がしたオリヴィエ様が、不意に顔を上げる。
その視線の先には……もちろん俺がいた。
オリヴィエ様は嬉しそうに微笑みを浮かべ、俺を見つめる。
俺も嬉しくて、照れながら笑った。

オスカー様に小突かれながら、ゼフェルにからかわれながら
オリヴィエ様の方に歩み寄る。
「素敵なプレゼント、ありがとう。あんたにしちゃセンスいいじゃない」
本当に喜んでいてくれているオリヴィエ様の言葉に、俺は心の中でガッツポーズを
していた。
俺がオリヴィエ様に望む返礼は、ただ一つ。
二人でどこかへ出掛けること……平たく言えばデートだった。
楽しいパーティの後、オリヴィエ様に尋ねられた俺は正直にその願いを口にした。
「なあんだ、そんなことでいいの?」
オリヴィエ様はあっさりそう言ったけど、俺にとっては一世一代のカケだったんだ。
そしてその週の土の曜日、その願いが実現することになった。