パーティまであと数日という時、俺はリュミエール様から
少し変わったパーティの趣向を教えられた。
「プレゼントを隠すんですか?」
「ええ、そしてオリヴィエが最初に見つけたプレゼントの贈り主に
オリヴィエから後日返礼があるそうです」
なんでも、ただパーティをしてもらうのは申し訳ないと言い始めたオリヴィエ様に
リュミエール様がそれを提案したらしい。
俺は素直に、それを面白い試みだと思った。
でも、オリヴィエ様の部屋にはどんな隠し場所があるんだろう。
「どこに隠せばいいんでしょうか」
あまりオリヴィエ様の屋敷に行ったことがない俺は、見当もつかなかった。
「そうですね……」
リュミエール様はいろんな思いつく限りの場所を上げてくれた。
そして俺は、その中から隠し場所を決めたのだった。








パーティの数時間前に、参加する面々が会場となるオリヴィエ様の私邸の客間に
入れ替わり立ち代りプレゼントを隠して行く。
その主賓は今、宮殿に招かれて女王陛下と補佐官からの贈り物を受け取っている
ことだろう。
俺は自分が選んだ場所に、先客が居ないかどうかをを確かめる。
そして……。
どうかオリヴィエ様に、最初に見つけてもらえますように。
そんな願いを込めてプレゼントを隠した。









オリヴィエ様が宮殿から戻って来て、準備もすっかり整ったことから
パーティは予定通りの時刻に始められることになった。
オリヴィエ様の好きなロゼワインで乾杯をしてすぐ、
今回のメインイベントになだれ込む。
「う〜ん、みんなどこに隠したのかしらねえ」
オリヴィエ様は嬉しそうに、でもちょっと困ったような感じで部屋の中を見回した。
きっとドキドキしてるんだろうな。今の俺みたいに。

だけどただのプレゼントじゃなくて、贈った相手が望む返礼をしなくちゃいけない
なんてそれは不安になりもするだろう。
まあ、あくまで常識の範囲でなんて陛下からお達しも出てるけど……。
オリヴィエ様は部屋の中をぐるぐる回って、慎重に隠し場所を探っていた。