「そういえばそろそろオリヴィエの誕生日ですねえ」
それぞれに二杯目のお茶を口に運びはじめた時、ルヴァ様が急にそんなことを
言い出した。
「そうですね、確か10月20日だったような気がしますが」
リュミエール様はオリヴィエ様と仲がいい所為か、よく覚えているらしい。
聖地は、季節の変化はないけれど一応の暦はある。
当然それは外界のものとは異なるけれど。
「聖地で迎える誕生日ってのも……もう慣れたけどなんかフクザツ」
オリヴィエ様はため息混じりにこぼした。
実際にその誕生日で年を取ることはないけど、それでも確実な
時間の流れを思い知らされる。
俺も実際、聖地に来てからかなり身長が伸びた。
オスカー様とたまに剣の稽古をしていて、肩がしっかりしてきたと
言われることがある。
それは動作だけじゃなくて、もちろん体格のことも含めて……。
「オリヴィエ様は、俺が来たときから少しも変わってませんよ」
俺は思わず、そんな言葉を告げていた。