そしてその週の日の曜日。
朝のジョギングの後、俺はもう一度シャワーを浴びた。
汗臭いまんまじゃ、絶対お茶会に行けないと思ったんだ。
何しろオリヴィエ様は匂いに敏感だから……。
まあそんなオリヴィエ様も、時々むせかえるほど花のような匂いを
させてることがあるけど。
でも汗臭いのよりはよっぽどいい。
ゼフェルはわざとらしく咳をしてみせたりするけど……俺は別に
その香りがいやだと思ったことはない。
もっとも、あんまり強い香りをまとっているよりも
あの長い髪が風になびいたときにほのかに香ってくる匂いの方が好きだった。
「こんにちは」
お茶会はいつもルヴァ様の屋敷の中庭で開かれている。
俺が顔を覗かせると、とっくにテーブルについていたオリヴィエ様が
手をひらひらと振ってくれた。
「はあ〜い。もう始まっちゃってるよ」
遅れて来たつもりはなかったけど、たぶんいつも少し早いのだろう。
「あ、すみません」
俺は自分の私邸の使用人に持たされた焼き菓子をテーブルに置くと
さりげなくオリヴィエ様の隣に座った。