宮殿からオリヴィエ様が戻ってきたものの、何か様子がおかしいことに気付いた。
同行して来た補佐官のロザリアにも、いつもの誇らしげな笑顔がない。
そして気付くと、何故かパーティには参加しないと言っていた面々まで集まっていた。
「……パーティの前に、皆様にお話しておかなければなりませんの」
ロザリアは急に、そんなことを切り出した。

その話の内容は、にわかには信じ難いものだった。
オリヴィエ様のサクリアが尽きたというのである。
酷く、急速に。
「そんな……」
俺は思わずつぶやいていた。

それでもオリヴィエ様は、微かな変化を感じていて……覚悟は出来ているらしかった。
「みんな、今までアリガト……」
らしくもなく、オリヴィエ様が殊勝な言葉を口にする。
誕生日のためのはずのパーティは、そのままオリヴィエ様を送るための会となった。

俺には、ただ見送るしか出来ない。
引き止める理由も、術もない。
この気持ちを、告げることさえ許されないのか。

まるで隠されたまま、永遠に見つけられないプレゼントのように……。