Various Artists


THE BEST OF BLAXPLOITATION


1998 Global TV
Disc-1
1. Theme From Shaft
2. The Ghetto
3. Inner City Blues (Make Me Wanna Holler)
4. Superfly
5. The Bottle
6. Papa Was A Rollin' Stone
7. Woman of The Ghetto
8. Am I Black Enough For You
9. Death Wish
10. The Boss
11. Trouble Man
12. Home Is Where The Hatred
13. Ain't No Love In The Heart of the City
14. I'm Gonna Tear Your Playhouse Down
15. Celestial Blues
Disc-2
16. If You Want Me To Stay
17. All The Way Lover
18. I'd Rather Be With You
19. September 13th
20. Little Child Running Wild
21. Be Thankful (For What You Got)
22. Expansions
23. Gun
24. Across 110th Street
25. I Got So Much Trouble In My Mind
26. Lets Clean Up The Ghetto
27. Hercules
28. Sweet Sweetback's Theme
29. Aint' That A Bitch
30. Love TKO


 1996年にイギリスの Global TV レーベルから発売された2枚組コンピレーション、"BLAXPLOITATION" は衝撃的なディスクでした。サブタイトルに SOUL, JAZZ & FUNK from the Inner City とあるとおり、70年代のソウル/ジャズ/ファンクの混沌とした一番カッコいいあたりをぎっしり2枚に収めたコレクション。ダニー・ハザウェイ、グローヴァー・ワシントン・Jr.、カーティス・メイフィールド、ロイ・エアーズなどなど、単体で聴いても素晴らしい音源である上に、多くは当時のヒップホップ界で盛んにサンプリングされていた元ネタでもありました。この辺のまとまった音源を捜していた自分にとって、まさに渡りに船の教科書。

 大好評に支えられて、Blaxploitaion シリーズは Vol. 4 まで続きます。"THE BEST OF BLAXPLOITATION" はその膨大な楽曲の中から特に美味しいところをギュッと絞った2枚組。アイザック・ヘイズの『黒いジャガーのテーマ』やカーティスの "Superfly" など基本中の基本といえる大ヒットから、ギル・スコット・ヘロンの "The Bottle" やボビー・ウーマックの "Across 110th Street" など、ちょっと渋めあるいはそれまでCDで入手しにくかった曲まで幅広く押さえてあります。日曜の昼下がり、このCDを部屋でかけるだけでそこはスリル溢れるインナー・シティに。とにかくカッコいい。



 ところで、【Blaxploitation】(ブラック・プロイテーション)とは一体何か。

 それは1970年代初期に始まったブラック・ムービー・ムーブメント。映画、演劇に黒人俳優を主演させ、黒人観客に見せることによって、黒人への関心を喚起・開発することを指していました。黒人俳優が主役の作品が多く製作されてブームを生んだのです。実際、ここに収められている曲のほとんどは、当時のブラック・ムービーで使われたもの。60年代後半からのブラック・パワーの盛り上がりが、映画という舞台を通して一気に爆発したわけですが、バックに流れていたのはやはりブラックミュージック。ソウルとジャズとファンクが絶妙にブレンドされ、ある種独特の雰囲気を帯びてブラック・ムービーの興隆を支えていました。

 1970年以前には、黒人の役は駅のポーターだったり、ウエイトレス、靴磨きの少年などに限定されていたといいます。しかし、71年のメルヴィン・ヴァン・ピーブルズの映画 『スウィート・スウィートバック』 によって状況は一変。卑劣な白人刑事を殺した黒人青年スウィートバックの逃亡劇をエネルギッシュに描いたこの映画は、黒人をテーマとして初めて商業的にヒットしたのです。この映画のテーマ曲は "THE BEST OF BLAXPLOITATION" のDisc-2 に収められています。演奏は Earth, Wind & Fire。

 しかし 「ブラック・プロイテーション」 というジャンルは程なくして消滅。映画の多くは興行的に成功しましたが、黒人の役者たちがしばしば冷淡なヒーロー、ギャング、麻薬ディーラー、悪党、凶悪犯などを演じることに利用された結果、次第に一般大衆のブラックに対するネガティブなステレオタイプが形成されてしまったからだといいます。

 時代の徒花的なムーヴメントではありましたが、音楽的な収穫は大きかった。ソウル/ジャズ/ファンクを融合した極めて都会的でクールなサウンドの数々は、今でもその輝きを失っていません。フォクシー・ブラウンを通してパム・グリアの再評価ブームが起こったのも、やはり音楽サイドからのニーズが大きいからなのかな?と思ったり。そんなわけでこの "THE BEST OF BLAXPLOITAION"、とてもオススメのコンピレーションなのです。


お気に入りベスト3
1. "Theme From Shaft" - Isaac Hayes
2. "Love TKO" - Teddy Pendergrass
3. "Superfly" - Curtis Mayfield
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