Triumph


CLASSICS


1989 MCA
1. Tears In The Rain
2. Hold On (US#38/79)
3. I Live For The Weekend
4. Magic Power (US#51/81)
5. Follow Your Heart (US#88/85)
6. A World Of Fantasy
7. Fight The Good Fight
8. Spellbound
9. Somebody's Out There (US#27/86)
10. Lay It On The Line (US#86/79)
11. Rock 'N' Roll Machine



★ベスト盤の法則1:『全てのベスト盤は不完全である』

 ベスト盤に足りない曲を議論し始めたらキリがありません。収録時間と曲数の制限の中でどれを残してどれを切るか。100人いれば100通りの編集があるでしょう。その意味で、全てのベスト盤は不完全。万人が満足するベスト盤を作るのは限りなく困難です。でもボン・ジョヴィの "CROSS ROAD" のレビュウにも書いたとおり、ベスト盤はコアなファンだけのものではありません。初めて接するリスナーが少しでもそのアーティストに興味を持つきっかけになれば、つまり teaser になればその役割を果たしたとも言えます。

 そのためにはまずシングルヒット曲を網羅せねばなりません。なぜなら聴き手に 「聴いたことある曲だな」 と思わせることが最初の取っ掛かりだから。この "CLASSICS" はトライアンフの全米シングルヒットをほぼ網羅しています。全6曲中、漏れたのは最小ヒットの "I Can Survive" (US#91/80) だけ。

 ベスト盤に求められる最低条件=「シングルヒットの網羅」。ならばこのディスクは最低条件を満たした編集だといえるでしょう。ポップヒットの "Hold On" "Magic Power" "Follow Your Heart" を始め、今でもクラシック・ロックのラジオ局でエアプレイされる "A World of Fantasy" "Fight The Good Fight" を同時に収録したアルバムが他にあるかといえば、答はNOだからです。



★ベスト盤の法則2:『全てのベスト盤は不完全でなくてはならない』

 逆説的ですが、これも真実。

 もし法則1に反して完全なベスト盤が編集できてしまったとすると、全ての人はそのベスト盤を聴きさえすればよいことになってしまいます。バックカタログは以後1枚も売れなくなってしまうばかりか、旧作に収められている他の曲には全く価値がないことを自ら認めてしまうことに。アーティスト/レコード会社ともにそんな自殺行為だけは避けたい。したがって、ベスト盤は不完全でなくてはならない。つまり teaser 以上のものであってはならないのです。

 そう考えればこの "CLASSICS" の選曲に不満があるファンも多少は溜飲を下げることができるのではないか。確かに漏れた名曲はいろいろあるし、比較的どうでもよい曲も入っています。しかし、"Just A Game", "Killing Time", "Allied Forces", "Never Surrender", "All The Way", "Fool For Your Love", "Play With The Fire" といった名曲に出会ってもらうのはこの後でも決して遅くはない。あるいはアルバムごと無視されてしまった力作 "SURVEILLANCE" に出会い、メンバー間の確執や緊張感に思いを馳せてもらうのはこの後でも全然遅くはない。

 このベスト盤で興味を持った新しいリスナーたちが、旧譜を買ってみたらどれもこれも駄曲ばかりで 「"CLASSICS" に入ってる曲以外はクズだったよ〜」 なんてことになる方がよっぽど悲しい事態。むしろバックカタログを遡り、各作品に収められたリック・エメットの素晴らしいアコースティックギターのソロ小品を聴いて感動してもらえる方がずっと嬉しい。それが1ファンとしての正直な気持ちだったりもするのです。ならばこの不完全な11曲は最強の teaser たりうるのではないか。



 たった11曲で彼らの名曲を全網羅できるわけもなく。
 でもトライアンフの魅力に簡単に触れることができるお手頃なベスト盤であることは事実。

 個人的には 「カナディアン・ロックトリオ」 というだけで無条件降伏。Rush、The Tea Party、そしてこの Triumph と、いずれも素晴らしいバンドを生んできたカナダ。トライアンフのギター/ベース/ドラムの最小構成から生み出されるロックは時にハード、時にメロディアス。余計な装飾のない、ソリッドかつダイナミックな音。莫大な機材を使った圧倒的なライヴパフォーマンスで地道にファンを増やすも、決して大ブレイクすることはありませんでした。いつも通好みのハードロックを聴かせてくれたそんな彼らの歴史を紐解いてみたいという初心者に、安心してこのベスト盤を薦めます。もし気に入る曲がひとつでもあったら、ぜひ "ALLIED FORCES" "NEVER SURRENDER" といった傑作群に遡ってみてください。ますますこのバンドにのめり込むことを、100%保証します。

 最後に収録曲の出典アルバムを整理しておきます。

US#185/78 "ROCK'N'ROLL MACHINE" (11)
US#48/79 "JUST A GAME" (2, 10)
US#32/80 "PROGRESSION OF POWER" (3)
US#23/81 "ALLIED FORCES" (4, 7)
US#26/83 "NEVER SURRENDER" (6)
US#35/84 "THUNDER SEVEN" (5, 8)
US#33/86 "THE SPORT OF KINGS" (1, 9)


お気に入りベスト3
1. Magic Power (音楽の持つ力を高らかに賛美。まさしく名曲)
2. Hold On (これまた音楽賛歌系。静と動の対比が見事な、前向きのメッセージ)
3. Follow Your Heart (自分の選んだ人生を生きろ。力強い曲です)

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