「あんまり活きの良くないヒゲならあります」
featuring ヒゲロック



 最近、ヒゲについて考えることが多くなりました。しまけんさんのサイト「活きの良いヒゲあります」に影響を受けているという説もありますが、それ以外にも、数年ぶりに電気シェーバーを新規購入したことも関係ありそうです。

 …そんなわけで皆様こんばんは。最近かなり壊れ気味のwinterです。
 まあネコかぶってた本性が出てきただけという説もありますが。ネコ好きな女の子はすべて可愛い。これはある意味真理です。それを「しんり」と読むことも「まり」と読むことも可能なわけで。我ながらかなり飛ばしてますね。最初から。大丈夫か。


 それはともかく。

 ヒゲ問題は、多くの男性にとって避けて通れないハードルのひとつ。
 個人差が大きいので一概に語ることはできませんが、たいていの男性はその処理のために毎朝数分間、確実に時間を割いているわけです。仮に毎朝5分間×ウィークデイ5日間ヒゲを剃ったとした場合、その所要時間は1年間(52週間)では約1,300分≒21時間強に達します。なかなかバカにできない時間です。毎日毎週毎月毎年恐らく死ぬまで続くのです。死ぬ直前になって、『ガッデーム! ヒゲ剃りに費やした俺の貴重な時間を返してくれ!』と泣き叫んでも時既に遅し。Pink Floyd『狂気』収録の "Time" で歌ってたとおりなのです。

 …あれ? 今日はプログレ者ネタの日じゃないのか。


 ま、女子の皆さんが毎月何かとたいへんなのは理解しますが、男子もそれなりに毎日たいへんであることもご理解いただきたく。でもどっちがよりたいへんなんだろうか。毎月たいへんでありながら、毎日たいへんな方も体験していらっしゃる悲惨なお方がいらしたらぜひ掲示板までカキコいただきたく。しかしそれってたいへんというよりへんた…



 全然本題まで辿りつかないですね。

 購入したのはオランダに本社がある Philips 社の Philishave "HQ6871" です。
 ちょっとヒゲ学をかじった皆さんならよくご存知のとおり、電気シェーバーには大きく2つの系統があります。

 (1) 往復式 :薄い外刃の下で内刃が往復運動を繰り返すもの。
 (2) 回転式 :内刃が回転運動するもの。

 これには一長一短があり、実際に、電気シェーバー市場を二分するブランドである BRAUN 社が往復式を、Philips 社が回転式を採用していることからも理解できるところです。BRAUN 社がドイツ、Philips がオランダの会社であることを念頭に置くと、なかなか味わい深いものが。質実剛健に往復運動を繰り返すドイツ人 vs くるくる回転運動してさまよえるオランダ人


 そうじゃなくて。

 BRAUN 社の思考は、外刃(網刃)を極力薄くしてヒゲを根元まで取りこみ、高速運動する内刃の往復で深剃りを目指すというもののようです。よくCMでやってますね。「驚きました。今朝剃ったばかりなのに…」  しかし、ケチをつけるならば、往復運動にはどうしてもムラが発生します。つまり、刃の中央部と両端部では運動速度が異なり、一定の剃り味が得られるわけではありません。また、網刃を限界まで薄くするということはすなわち皮膚まで取りこむ可能性があるということです。しかも薄い網刃は耐久性に難点があり、乱暴に扱うとしばしば破損します。事実、BRAUN はよく剃れるんだが血が出た、とかケガをした、という話も皆無ではありません。

 そこへ行くと Philips 社の思考は全く異なっていて。
 だいたい、ご覧のとおりの洗練されたデザイン。今でこそ見慣れた方も多いと思いますが、最初の頃は衝撃的でした。これは一体何なのかと。(実は、高校3年?の頃に父親が初めて買ってくれたシェーバーがやっぱり Philips だったのですね)  曲線を多用し、人間工学に基づいたと言われる手に馴染むデザイン。落ち着いた、絶妙なカラーリング。充電の残量を示すLED棒グラフの配置とその穏やかな点灯ぶりに至るまで、徹底的なオランダ人気質、こだわりが感じられるのです。かの地の風車や木靴に通じる何かを感じませんか?

 剃り味の方はというと、ご覧のとおり3基の刃が付いていて回転運動をしているわけですが、この3つがそれぞれ、押し付けられた肌の輪郭に合わせて微妙に角度を変えて密着してくれるのです。例えばあごなどの凹凸の大きなエリアにこの刃を当てる時の密着ぶりには、感動すら覚えます。それでいて肌に優しい回転式。また、外刃を薄くする方向ではなくて、内刃を2枚刃にして、1枚目がヒゲを引っ張り出し、2枚目がそれをカットするという発想の転換により、一定の深剃りが可能。ちゃんと水洗いも可能で、清潔志向のアナタにもお勧めの一品。


 …って、売り込んでどうする。



 いやそれがですね。

 電気シェーバーは確かに楽なんですけど。時間も節約できるんですけど。

 やっぱり、究極の深剃り感は得られないのですよ。
 当然ですね。ヒゲを切ってる内刃の上に、外刃といえば聞こえはいいが、要するに邪魔な障害物を挟んでいるわけで。刃とヒゲの究極の接近、限界までの一体化は起こり得ないわけです。

 誰だってコンドーム付けてエッチするより、直接深く深く触れ合いたいし、繋がり合いたい。たったゴム1枚とはいえ、障害物はないにこしたことはないのです。ナマが一番なワケです。男子だって女子だって、この点だけは強く強く一致するワケです。


 …と、どうにか男子女子ネタに無理なオチをつけたところで。



 やっぱ深剃りならウェットシェーブ (wet shave)

 つまり電気シェーバーではなくてカミソリで剃るということですね。この方が間違いなくよく剃れます。剃り残しの少ないツルツル感が欲しければ、絶対にウェットシェーブでなくちゃ。剃毛フェチの皆さんに聞いてみなさい。一体誰が電気シェーバーで剃毛プレイを楽しみますか? やっぱりシェービングクリームとカミソリでなくちゃ。ツルツル感が全然違うのですよ。アソコであればなおのこと。 …ていうかそういう問題じゃないだろ。誰かここで突っ込めよ。おいちょっと待て、突っ込むのはソレじゃなくて!


 全然進みませんねえ。
 できれば上のオチは「突っ込むのは『剃れ』じゃなくて!」と読んでいただく方向で。


 …ええと、何の話でしたっけ?

 そうそう、ウェットシェーブにはもちろん欠点もあります。やはりただでさえ忙しい朝に、ヒゲを濡らしてシェービングクリームをつけ、じっくりとカミソリを当てた上で綺麗に洗い流す作業は、時間がかかり過ぎます。それに、カミソリはやっぱり刃物。顔を傷付けてしまう危険性は常に潜んでいます。「Very 切れてなーい」という某 Schick 社のCMはある程度までは真実ですが、絶対安全な安全カミソリなんてものはこの世に存在しません。何たる形容矛盾。むしろ「危険カミソリ」という名称にして、CMには Mystikal を出演させ "でいんじゃっ !!!" とか連呼させるのが正しい在り方ではなかろうかと。


 いやいやいやそんなことじゃダメなのです。
 ヒゲ問題を考えるにあたって、多少の欠点があろうとそんな逃げが許されるわけもなく。

 たったの15分です。いや10分でもいい。ほんの10分早起きして、鏡に向かって優雅にヒゲを剃るという行為自体を楽しまなくてはならないのです。男子たるもの。ある意味、シェービングはナルシズムの極致です。世間に対する「看板」(おお、Billboard!)であり、「名刺」でもある自分の顔に、一歩間違えば生命すら奪いかねない危険な刃物を当てて、その外見を整えていく作業。キズを付ければ1日中残ります。あ、あいつ今朝ヒゲ剃り失敗したな。すれ違う誰もがチラリと目をやり、決して口には出さないながらも必ず心の中でつぶやく一言。これほど男子のプライドを粉々に砕くものはありません。


 「カミソリでヒゲを剃る男には、責任感を感じる。」 
 …けだし名言。

 言ったのはオレの弟ですけど。



 ひとくちにウェットシェーブといっても、カミソリは多種多様です。

 何せ敏感な顔の皮膚に当てる刃物ですから、選択にも慎重にならざるを得ません。ヒゲ学初心者でもご存知のとおり、ウェットシェーブはかなり前から「三枚刃」の時代に突入しています。かつて二枚刃が登場した時も大きなセンセーションを巻き起こしたらしい史実を伝え聞く限り、じゃあどうして誰もすぐに三枚刃を作らなかったのかと理解に苦しむところですが、これはこれでなかなか困難な技術的事情があったらしく。それに、二枚刃より三枚刃の方がよく剃れるとなった瞬間に、四枚刃や十枚刃を作るメーカーがあるかというとそんなこともなく。そんな中、満を持して三枚刃が開発されたわけです。

 事実、三枚刃においてすら、良いものと悪いものとの差は大きいのです。カミソリ界の誇る代表的なブランドはいずれも三枚刃モノをリリースしていますが、例えば貝印社のK-3。「世界初の3枚刃!」がキャッチコピーなのですが、名前はK-3でも実際にはむしろK-1にも勝てなかったというべきか。K-1のマイク・ベルナルド選手をCMに起用できるだけのギャラを払う財力があったのはむしろ Schick 社であったというオチがついて、そもそも信頼性に疑問ありなのです。そういう問題じゃない、という気もしますが。はい。


 winter 個人の試行錯誤の結果、現時点でもっとも信頼でき、かつ最高の使用感が得られるアイテムはこれ。Gillette 社の "Machsyn3"(マッハシンスリー)

 まずもって名称が謎めいていますね。マッハシンって何だよ。ジンマシンの仲間か? ひょっとして昭和プロレスファン的にはここでタイガー・ジェット・シンとか突っ込むとこなのか?


 実はこれ、米国はじめ海外市場では "Mach3"(マッハスリー)という比較的分かりやすいブランド名で売られている商品なのですよ。音速の3倍。マッハスリー。音速の5倍。マッハゴーゴー。The Presidents of United States of America ってバンドの某曲を思い出すべきところですね。総合洋楽サイト的には。

 しかしどういうわけだか、Gillette 社のオフィシャルサイトによると、本商品の日本市場参入にあたり綿密な市場調査を行った結果、"Mach3" ではなくて "Machsyn3" の方が好ましい印象を得られたとして、こういう名称になったと説明されているのです。

 これは大いに疑わしい。どこかの首相の靖国神社公式参拝の如く苦しい釈明であります。百歩譲って意味を汲むに、原題の持つ「マッハ3」という高速なイメージに加え、"syn" が持つシンクロナイズ的な「同時に、一気に剃る」趣旨を含意させたかったのでありましょう。

 どうあがいてみても、日本語においてまず第一に重要なのは語感、それもサウンドなのであって、「まっはしんすりー」と発音された瞬間に、この "syn" はそれこそ「死ん」でしまうのですよ。あははは。「まっはしんすりー」から "syn" をイメージできる人はほぼ皆無。むしろ「はしん」=「刃新?」とか、「しんすり」=「新スリ?」とか、妙な区切りだけが耳に残ってしまう危険性すら帯びているわけです。そもそも Machsyn3 とアルファベットにしてみたところで、一定の英語知識を持ち得ていない方々には何の意味も伝えることができない可能性大。


 つまりこの名称は、もっとごく単純な理由で決定されたに違いないのです。
 すなわち「"Mach3" が日本では既に他の会社に商標登録されてしまっていたから」



 いやここまで引っ張って全然違ってたら本当に泣くしかないんですけど。
 泣きますよ。ほんとに。チー。ポン。



 さて、MachSyn3 の凄さを語るにあたっては、やはりその独特のフォルムから入らざるを得ません。それまでのカミソリの常識を根本から覆した、斬新かつ流麗な構造に目を奪われた方も多いことでしょう。

 一見、反り返っているように見える妙な刃の位置。グリップの部分に斜めに配された滑り止めのゴム。そして鈍く輝く金属製グリップの美しさとその絶妙な重み。カミソリは例えばポータブルMDプレイヤー可愛い女の子の腰などと異なり、軽ければ軽いほど良いというものではありません。

 むしろ一定の重さが必要で、その重さを肌にかけつつヒゲを剃り落とすわけです。その意味でこのグリップ部の重みと握りやすさは、刃そのものと同じくらい重要な機能を持っていると言えるわけです。

 この独特のフォルムは、全体としてあまりにも優れたデザイン性を持っているがために、剃り味を無視した奇をてらったアイテムかと思わせてしまうかもしれません。しかし騙されたと思って実際にヒゲを剃ってみると、これが信じられないほどぴったりと、かつスムースに肌を捉えるのです。機能美と実用性がここまで合致した商品は、そうそうないのではないかと思わせるくらいに。


 とにかく、もう二枚刃には戻れません。本当に笑っちゃうくらいよく剃れるのです。「1回のストロークで3回分剃れる」とは Gillette 社のコピー。多少誇張はあるにしても、3枚の刃の配列と傾斜角度がそれぞれ綿密に計算されていて、的確にヒゲを引っ張り出して深剃りしつつも、肌へのダメージは極小。一見妙なヘッドの角度も、実はグリップ部を持つ力が直接刃にかからないように計算されているためで、剃ってる間のあまりの手応えの無さに最初は戸惑うくらいです。しかしその軽さと反比例したあまりにも素晴らしい剃り味。実際、これを使い始めてから切り傷を作った記憶はほとんどありません。ほとんど、というのは、セコく替刃交換のタイミングを遅らせていると傷を付けることがあるよ、という程度の意味。

 もちろん、寝たヒゲを起こす効果のあるマイクロフィンと、肌の表面を滑らかにするスムーサーも付いている豪華なヘッド。しかも一見してスカスカで丸見えのヘッド構造。もちろん、Schick 社などがこだわる横滑りキズ防止用のガードワイヤーのような余計なお荷物は付いておらず(その必要も感じられない)、水に浸けてジャブジャブすればヒゲくずがきれいサッパリ取れるのも快感です。替刃の単価は決して安くありませんが、それだけの価値はあります。断言


 …Burrn! 誌の『今月の "マサの断言"』、よりは力強く断言します 。ハイ。



 ええと。

 ところでここはどこでしたっけ。

 あっそうそう、総合洋楽サイト WINTER WONDERLAND でした。うっかり忘れてました。
 「活きの良いヒゲあります」別館じゃなかったんでした。こりゃまた失礼。


 …

 じゃっ、夏なんで。



 …と消えるわけにもいかねえか。

 はいはい分かりましたよ。とにかく何とかオチつけますよ。
 そうブツブツ言わないでよ。あんまりうるさく言うと、このサイト閉鎖するヨ!
 毎日少しずつ閉鎖理由変えながら。マジで。

 えっ? 全然脅しになってねえ? そりゃそうだ。追悼プレイは禁止だヨ。



 そこでだ、旦那。
 ここらで軽やかに、ヒゲロック的に転調してみようか。



 ロックと「ヒゲ」とはなかなか縁が深い。ロック野郎に無精ヒゲなんてザラだし(ザラザラだろとか言うな)、中にはこんな素晴らしい長ヒゲを披露してくれたバンドもあるくらいだ。




 その名も ZZ TOP。テキサス魂が炸裂する、実に見事なヒゲと言えよう。



 だが見事さ具合ではコイツあたりも大したもんじゃないか?




 【質問1】 このヒゲ男は、次のうちどれか?
       併せて彼が関わった代表的なロックアルバム作品名を最低5枚挙げよ。
         (1) ギーザー・バトラー
         (2) トニー・アイオミ
         (3) カーマイン・アピス


 どうでしょう。WINTER WONDERLAND の読者の皆さんならすぐにお分かりですよね?
 こんな簡単な。ロック初心者でもすぐにわかる。
 馬鹿にするのもいい加減にしろよな。
 皆さん異口同音にそう思っていらっしゃることでしょう。




 実はですね。

 質問を作った自分で答えが分からなくなってしまったのですよ(笑)。あははは。
 どうしてこうも似たようなヒゲ男がロック界にはたむろしているのだろうか。



 ん? …でもそれって、実は逆転の発想があって然るべきではないのか?

 すなわち。

 上記3人でヒゲロックトリオを結成していただく
という方向で。
 どんなビジュアルになるかというと、こんな感じ↓で。

















































 おおお、壮観!(笑)


 まさしく史上最強のヒゲロックトリオAppice-Butler-Iommi

 いやーリリースされたら即買いますよオレは。きっとしまけんも買うだろう。
 これで2枚は確実に捌けた。全米のヒゲロックファンの購買力と団結力をもってすれば、組織票で Billboard アルバムチャート初登場2578位くらいなら狙えそうだ。レビュウを書くのが楽しみ楽しみ(笑)


 しかしながらどうも画竜点睛を欠きますな。そう、ヴォーカリストがおらんのですよ。
 ここはひとつ、大物を担ぎ出す必要がありそうです。究極の胡散臭さを演出できるヒゲ男を。




 例えばどこかの国の元大統領クラスを。しかも元俳優でスター性抜群の男あたりを。
 担ぎ出すといっても牢獄の中方面から。



 例えばこの人あたりに!












 …いやもう自分でもいい加減疲れました。ヒゲロック。
 続きは掲示板で好き勝手盛り上がっていただくってことで。

 ヒゲ剃ってこなくちゃ。



 …次のネタは『ハゲロック』に半ば決定してるんですけどね。
 ヒゲとハゲを結ぶ奇跡のミッシングリンクTony Levin 大先生を大フィーチャーしつつ。



 いやもちろん大ウソですヨ!
 そんなページ作っちゃったら、マジでサイト閉鎖しちゃいますヨ!
 今度こそ本当に、追悼プレイ禁止ですヨ!

(August, 2001)


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