+++ プリアンプとプレーヤーの微妙な関係 +++
(*注意:ご自分の耳に絶対の自信が有る方、ヴィンテージギターなどにしか興味無い方はこのページは読む必要は全くありません。)

プリアンプと言われる物の中には、ラックタイプの物や、コンパクトエフェクタータイプの物など所謂アウトボードタイプや
EMGなどPU内蔵型やマグネットPUと併用する回路など色んなタイプがあります。
ここでは主に、楽器内蔵型プリアンプについて取り上げて行きたいと思います。
ギタリストの方の中には、なぜか楽器内臓型プリアンプに否定的な姿勢を持っていらっしゃる方が多くいらっしゃいます。
なぜでしょうか?色々諸説が有り、私の身の周りでもそういった意見をよく耳にします。
そこで、理由を私なりに考えてみる事にします。

※楽器内蔵型プリアンプ否定派の方の意見の代表的な意見
@:楽器の音が変わる。
A:木部加工が必要な場合が多い
B:電池交換がめんどくさい
C:アクティブ臭い音がする。
D:どれも同じような音がするようになる

まず、順番に私の考えを書いていこうと思います。
@:確かに変わります。お気に入りの音が出る楽器ならそれ以上弄る必要は無いですよね。
A:電池収納スペースが取れない場合は木部加工も必要になります。
  電池スペースが取れない又は削りたくない楽器はアクティブにすべきでは無いと思います。
B:確かに一手間増えます。弦交換と同様、日々の手入れの際にチェックすればよいと思いますが・・・
C:表現が合うとは思いませんが独特の音はあります。ナチュラルにコンプがかかったような音が好きな人もいます。
D:同じような音といってしまえばそうですが・・正直、搭載する楽器とプリアンプの設計内容によります。

関連ページにおけるプラシーボ効果についての記述を出来れば先にお読みになって下さい。
プリアンプに関しては私の実体験も含めて色んな出来事がありました。実体験の数例を挙げてみます

その@
某社ヴィンテージタイプのスタガードポールピースシングルPUをカバー無しのセットで手に入れた時のことです。
ポールピースピッチの合うカバーを所持していなかった為、たまたま余っていた梨地の穴無しPUのカバーを取り付け、
その段階で音を出した所、シングルコイル特有の非常に歯切れの良い、まさにパブリックイメージそのままの音がしました。
ヴィンテージタイプですので多少ノイズは多い傾向ですが。

しかし同時にハウリングの問題に悩まされ、(当時LIVEなどで大音量の環境下で使う事が多かった為)
スノーボード用の固形ワックスにてワックス含浸を行う事にしたのです。
さらにその時、PU本体に3Mの銅箔にてノイズ処理を施しました。
多少音が変わるのは覚悟でしたが、結果的に元の音を大きく損なわずに、完成させる事に成功しました。

とりあえず、フェンダージャパンのストラトに搭載して使い始めた訳ですが、
持っていく場所、場所で、(当時バンド関連であちこちのスタジオで使っていました)

皆「EMG載せてるんだ〜」
私「・・・・・」
知り合い、友人達「弾かせてよ〜」
私「いいっすよ」

〜紆余曲折〜

一通り弾きまくった後、
「流石EMGだねえ、いい感じ。俺も買おうかな〜?」
アクティブ臭いなあ。俺はやっぱアクティブ嫌いだ」

レコーディングにてディレクターが
「今回EMGはちょっと違いますよねえ。パッシブでお願いします〜」
私「・・・・・・・・・・・」

私が何を言いたいかもうお分かりですよね・・・途中から諦めてカバーにEMGと金色のペンで書いてましたが(略)
上記の例は、とりあえず、頂いたインプレの中で、特に目立つ意見として取り上げてみました。
EMGの音をちゃんと把握してなかったり、見た目がカバードタイプであったり、ノイズが異常に少なかったり・・・
EMGのイメージが先行していた為、数人がEMGと勘違いしてしまったわけです。

もちろん少数ですが気が付いた人も居ました。
今度はその例を上げて見ます。

某先輩「ちょっとこれ弾かせてよ〜これってEMG?」
私「(又、勘違いされちゃうのかな・・?)もちろんいいっすよ!」

某先輩「・・・これ何?なんか変わった音って言うか、なんか想像してたのと違う音がする。普通のヴィンテージタイプ?
私「(うお!気が付いた!)え〜とこれは(説明中〜〜〜)とかそう言う奴なんですよ〜」

〜紆余曲折〜

某先輩「なるほどなあ。つかイメージって怖いなあ〜(笑い)」
私「全くですね(笑い)」

気が付かなかった人の中には、「自称:耳に自信がある」と言い切ってる人が居たのですが・・・・(苦笑)

そのA
今度は逆にFETトランジスタ2石で部品等を厳選して作った楽器内蔵型プリアンプを既出のギターに載せてみました。
今度はPUも含め、見た目は全てヴィンテージタイプに仕上げています。

プリアンプの設計内容は非反転増幅回路に半固定抵抗で、ハイとローを個別に調整できる様にして有り、
大きさは20*10*7(単位ミリ)程度の大きさの物で、回路個体として音質については評価が非常に高かった物です。
電池はスプリングキャビティーに収め、キャビティーカバーを装着して、一見電池は見えません
これを既出のカバードPUストラトと同出力程度に調整してから、通常のストラトの回路に於ける、
ヴォリューム〜ジャック間に挿入し、内臓してしまいます。
これによってローインピーダンス化を図ります。
しかし、見た目も操作感も全くのパッシブの楽器と同じと言えます。

これをまた同じ様にあちこち持って行く訳ですが・・・

私「この間のギター、PU変えて弄ったんですけど、弾いてみて貰えます?」
友人「良いよ〜」

〜紆余曲折〜

友人「ヴィンテージチックな音だね〜」
私「・・・・・・」
友人「これPUってダンカンの何?」(実際はフェンダーのヴィンテージタイプ)
私「・・・・・・・」
友人「前より格段に良いよ。やっぱパッシブが(以下自主規制
私「・・・・・・・・・・・・」

以下無限にパッシブだと思われ続ける・・・


これらの実験から導き出された結論としていくつか、私か推測する考えを挙げてみます。
「ギタリストが音を認知する感覚」とは一体何に起因しているのでしょうか?
上に記した実体験の通り、ギタリストの中には、
「無意識に視覚、触覚に聴覚を大きく左右されている場合が有る」という事に他ならないと思います。
ここで再度、プラシーボ効果についてのページの記述を思い出してみて下さい。



これら、一種のプラシーボ効果と同類の現象では無いでしょうか?



なぜアクティブと言うだけで優劣を競う論争を巻き起こしてしまうのでしょうか?
私個人の考えとしてはアンプからの出音が好みであれば、たとえデバイスは何であったとしても、
音楽的には優秀であると考えています。

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