Program notes


2019 TINS クリスマス会の 曲目解説 WEB版です
 お配りした冊子にさらに加筆されている部分があります。

クラシックの演奏会では演奏する曲目について解説をする伝統があるので、
そちらにのっとって星野が選定その他に関わった数曲について曲目解説その他を以下に記します。


全体として: 今回の全体コンセプトは 「本来のクリスマス」 です。流れその他を考えてくださいと
言われた時に初年度という事もあり、まずこちらを軸にする事にしました。日本はキリスト教文化が
多少薄い事もあるため、本来のクリスマスより少しパーティー的な催しが多いようになっていると思います。
が、本来は敬虔にキリストの誕生を感謝し祝う西洋文化にとって大切な日であります。

また、クリスチャン等々に関係ないところでも、現在の音楽の根幹となっている西洋音楽というものは
聖歌を発祥としており(そもそもの音をあらわすドレミ。。も実は聖歌の頭文字をとったものです)音楽とは
深いかかわりがあるので、音楽を学ぶにはどうしても歴史や風習を理解をしておきたい事でもあります
(実際、音楽大学などではこれらの「西洋音楽史」というものが必須授業となっています)ただ、楽しむクリスマス。。
ではなく、西洋文化の根幹として、または音楽のはじまりとして。。文化の体験学習ともしてもらえれば幸いです。



くるみ割り人形より「Marche」

 チャイコフスキー(Peter Ilyich Tchaikovsky 1840-1893) の3大バレエの一つと言われるバレエ作品よりです。
何か踊る曲を。。と言われた時にいわゆる一般的な上記のようなパーティー的な騒がしくない曲で。。
と思った時に思い付いた曲目でした。

くるみ割り人形はざっくりと物語を解説しますと、「とある小さな女の子が、クリスマスプレゼントとして
くるみ割り人形をもらいます。 が、実はその人形はお菓子の国の王子様が変えられてしまった姿なのでした。
夜に悪いねずみがあらわれますが、人形が王子様の姿に戻り女の子を助けてくれ、一緒にお菓子の国でパーティーをする。。」
というような実に童話的なクリスマスにちなむ物語です。

音楽もかわいらしいものが多く、実際のバレエもとても雰囲気にあった衣装などで踊る事が多く、
低年齢児には普通の演奏しているだけの演奏会。。は退屈。。になってしまう事があるかもしれませんが、
バレエは視覚的にも楽しめ、また音楽もオーケストラの魅力を十分に楽しめるでしょう。

また、バレエ作品は1曲1曲が短い事が多く(10分以内の曲がほとんどです)場面場面がどんどんかわるので、
楽しみやすいです。と、いい事が多いのでは。。と思います。大人ももちろん楽しめる作品です。是非いつか
ご家族で一緒にご覧になっていただければと思います。

今回は、こちらのくるみ割り人形の中から Marche です。
楽曲は少し短く編集してはありますが、チャイコフスキーのそのままの作品音楽、
本物のオーケストラで演奏している音を使っています。



君をのせて

 楽曲はご存じの事も多いと思う、宮崎駿監督のスタジオジブリ作品の不朽の名作
「天空の城ラピュタ」の久石譲作曲による主題歌です。世代を超えて愛される楽曲でしょう。

 本来、こちらは今回の演奏会で演奏予定になかったものでした。一部生徒さんがすでに
11月初旬時点でほとんど直す所がないほど完成形での演奏が出来ていて余裕がある子が一定数居るな。。
と思った事と、しっかりとおうちその他でも練習を頑張ってくれている子によりよい演奏チャンスを与えてあげたい。。
平常、年齢その他で基本クラスを分けられてしまっている子たちの中で、クラスその他に縛られず
公平に頑張るチャンスをあげたいと思い、急遽TINSのためにアレンジし書き上げました(弦合奏の形式になっています)

また、毎回練習に参加してくれている子の中で6年生が何名か居た事、今年で基本的には最後の
参加になってしまう事。。などから、そちらの6年生メンバーへ向けての曲でもあります。

中間部に6年生のみになる SOLO 部分があり、またそのSOLOの後からはじまる
またtutti(全体合奏)になり、1st・2nd が同時にメロディを弾く部分。。に注目ください。


@平常赴任当初から園内にも掲示されているTINSVnのHPを見て練習に活用して頑張っていただいている
保護者様にはそちらでも告知していたのですでにご存じかもしれませんが、全員を対象にテスト用に抜粋した
楽譜を作成・告知し、練習して一定レベル以上の演奏が出来たらメンバーに。。という形で選抜をいたしました。

 また、セカンドヴァイオリンパートは、今年からヴァイオリンを初めて持った!という子でも
(さすがに3-4歳スタートでは難しいかもしれませんが)5歳以上の子で毎日しっかりと目標をもった
練習を休まずやった子はほぼ確実に届くであろう範囲での技術アレンジにしました。

今年は毎日一切サボらずにしっかりとおうちでも練習を頑張ったぞ!という生徒様はまだ楽譜その他が載っていますので、
ご自宅でも挑戦してみてください。
 カラオケ用の音源などもあるので、そちらにあわせてご自宅で1人でも合奏の形を体験する事が可能です。

但: ヴァイオリンは音程というものがあります。これらは出来るだけ正しい(美しく弾ける事)に越したことはありません。
が、難度が自分の現在持っている技術以上の楽曲や楽譜を演奏すると、どうしてもはずしてしまいます。
そして、このはずしてしまった演奏(練習)というのが、むしろ音程をはずす練習になる事があり、それら無理な曲の
演奏を続けていくとむしろ音程や音感を悪くする練習(マイナス練習とよんでいます)。。になってしまう事が多々あります。
ヴァイオリンは音色・音程にもしっかりと気をまわせる自分にあったレベルの曲を着実に真摯に頑張っていく事が、
遠回りのようで一番の近道です。

適当な音程や音色になってしまう。。ようだったらまだまだ基礎を頑張り、十分なレベルに達してから弾くようにしましょう。


 クラスごと。。だと流れが分かりにくい事もあるかもしれないので、近日学年等関係なく、
初期段階~の大まかな流れと練習方法を並べたページを作る予定です。
しばしお待ちいただければと思います。

 と、少し曲目解説からは外れますが、ヴァイオリンの習得速度についてのお話です。


Vnは才能の楽器。。のようなイメージがあるかもしれませんが、実際は努力の楽器です。
どのくらい練習したか。。がそのまま演奏力に確実に反映される楽器です。逆に努力をせず才能だけで
弾けるようになる子は皆無といっていいです。とある脳科学者がVnの演奏技術における才能・遺伝と
努力に関する研究をした事があるそうで、一定以上の演奏技術がある演奏家を100人以上。。
などの規模で調べたそうですが、練習時間がトータルで例外なく全員1万時間を超えていたそうです=努力がなければ
一定レベルには一切達しないという研究結果となったとの事です。逆に努力をきちんとすれば必ず一定レベル以上の
演奏が出来る楽器でもあります。

 2019.12.24 現在ベータ版ですが Vnの習得速度について UPしました。
こちら からどうぞ



講師演奏 : アイネクライネナハトムジーク(Eine kleine Nachtmusik) ト長調 K.525 より第一楽章

W.A.モーツァルトの不朽の名曲です。何か講師演奏を。。と言われた際、その前段階で今回は
生徒様たちにも本格的な弦合奏を体験してもらいたい。。と思い、本来の弦楽合奏に必要なチェロや
ビオラを弾けるプロ講師仲間にサポートをお願いしておりました。全員プロとして活躍しているメンバーです。

せっかくこれらのメンバーがそろっているので、是非四重奏の形で演奏したいと考えました。また、講師演奏は
前回まではおそらくSOLO(1人での演奏)が多かったのでは?と思いますが、Vnは実は1人で演奏する曲より、
弦楽四重奏、交響曲など、集団で演奏する楽曲の方が倍。。下手したら10倍以上の作品があり、本来は合奏で活躍、
または合奏した時にその魅力を発揮する楽器です。

プロになった場合でも、アマチュアとして大人になってからも続ける場合でも、実際Vnは1人で演奏する事より
圧倒的に合奏をする機会の方が多くなると思います。この機会に合奏曲を知ってほしいという事もありました。

そして、合奏曲(弦楽四重奏)を。。と思った際、クリスマス演奏会の雰囲気にあうもの。。プロレベルの高い技術が要求されるもの。。
など色々考えたのですが、おそらく合奏形式でのはじめての講師演奏?になると思ったので、弦楽合奏といえば!
といわれるほどの名曲、また名曲でありながらも実は合奏をはじめた初期段階で演奏可能な楽曲でもあり、
出来れば2-3年後あたりにTINSの生徒さん達にも弾けるようになってもらいたい。。と思っており、目標にもなれる曲。。
という事でこちらを選びました。

こちらもVnパートは早ければ楽器を持って2-3年目※ で弾けるようになる子も少なくはありません
@メソード教本でいう4-5巻相当レベルの演奏技術があれば演奏可能でしょう。

※毎日きちんと目標をもった練習をした場合。。の換算です。
こちらの換算についても上記の Vnの習得速度について からお読みください

本来は弦楽合奏(前述の君をのせて。。のように10人~くらいの規模での合奏)で演奏する事の方が多い楽曲ですが、
実は特には定められておらず、弦楽五重奏や弦楽四重奏としても演奏される、形式に少し自由度のある楽曲です。
今回は弦楽四重奏(1stヴァイオリン・2ndヴァイオリン・ヴィオラ・チェロ)の形で演奏いたします。



We Wish You a Merry Christmas

16世紀のイングランド西部地方を起源とする英語のキャロルと言われています。
今回は星野が弦楽合奏にアレンジしました。上記の合奏の項目でも書きましたが、
Vnは将来的に合奏楽器として楽しむことが多くなる楽器だと思います(弦楽部や大学のオーケストラ部、
アマチュアオーケストラ(アマオケ)など)その際オケではトランペットやフルートなどが主メロになる場所も多く
その際Vnは伴奏にまわります。これがまた少し厄介で、基本的に自分でメロディしか弾いてこなかった
(多くの教本がそうです)経験しかないと、なかなか難しいものです。またヴァイオリンはセカンドバイオリンといって
基本伴奏の方をメインに弾くパートも絶対必要不可欠です。これらが楽曲をただ演奏しているだけでは学べないので、
この機会にそれらのセカンドパートというものも体験してもらいたい。。と思い、1st・2ndとパートを分け合奏の形にしました。
 サポートパートのある弦楽の響きというのはとても美しいものです。きちんとサポートパートのある楽曲がどのような響きになるか。。
を楽しんでいただければと思います。



パッヘルベルのカノン

 ヨハン・パッヘルベル(独: Johann Pachelbel 1653-1706)の作品で、クラシック音楽の中でも
最古に入る楽曲でしょう。本来の長さで演奏するとかなりの長さになってしまうため、少し短めに星野がアレンジいたしました。
 これら、古い時代の作品は上記のアイネクライネの合奏編成自由度にも通じますが、ある程度演奏の形が
演奏家に任されていた部分というのがあり、こちらは本来3パート(3本)のヴァイオリンと「通奏低音」による
楽曲として作曲されています。通奏低音というのはざっくりわかりやすくいうとベースパート(今回はチェロ)にコード(和音)の
弾ける何かしらの楽器で多少自由に伴奏してください。。という感じです(時代的にはオルガンやチェンバロ、ギターで演奏する事が
多かったでしょう)。という事で今回はギターで伴奏をお願いしてみました。

 Rose・Sunflower組にはこちらの通奏低音の一部音を演奏してもらっています。
長い歴史を通じて愛されてきたクラシックの作品をお楽しみください。



Silent Night(ドイツ語: Stille Nacht)

 日本では『きよしこの夜』として親しまれている楽曲です。
1818年12月25日にオーストリアの聖ニコラウス教会で初演されたとされています。

 同じく星野が弦楽合奏にアレンジしました。セカンドパートについてなども同じくです。
今回こちらの曲のセカンドパートには演奏が少し難しい低弦(G線)をメインに頑張ってもらいました
@ヴァイオリンは音域の低い弦の方が技術レベルが要求されます。が、この音域には楽譜の基礎である
中央ドと言われる音域が入っており、楽譜から楽器を弾くにはどうしても通らなければいけない技術になります。
それら楽譜から自分1人でも練習できるようにする足がかりになる音域を音程よく上手に弾けるようになってほしいと思い、
アレンジいたしました。

 保護者様世代ではおそらく学校などでも歌ったと思われ、知らない方は少ないのでは??と思われるのですが、
実は最近教え子などに弾く?と質問したりすると、その曲知らない。。など言われる事を多く体験しました
(最近あまり学校では歌わなくなってきているのでしょうか) クリスマスソングとして長く世界中で愛される楽曲なので、
国を超えて将来活躍するであろうTINSの次世代の皆さまにはしっかりと弾きついでいってほしいと思います。





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