オペラの舞台裏



 華やかで豪華なオペラの舞台。私たちはついその華やかな表舞台だけに
眼がいってしまいますが、その裏には本当に大勢の人たちの力が隠されているのです。
ここでは普段眼に見えない、裏方さん達をご紹介いたします。


【製作スタッフ】
 公演の企画や運営、稽古スケジュールの作成、稽古場の手配や準備、スタッフやキャストへの連絵悪や日程調整、
チケットの管理や販売などの仕事をする人たちです。

【舞台スタッフ】
 演出家、演出助手、舞台監督、舞台監督助手、ステージマネージャー(キャストの人たちに舞台の進行状況を知らせて、
いわゆる「出とちり」をさせないようにする人)、大道具、小道具、照明、衣装、メイク、床山などの人たちのことです。

【音楽スタッフ】
 指揮者やピアニストなど、「音」の関する全てのことを受け持つ人たちのことで、その仕事は多岐に渡っています。
 <副指揮者>
 指揮者が外国人だったり、とても忙しい有名人だったりして、なかなか稽古に出席できない時に
代わりに稽古時に指揮をする人です。
 <合唱指揮者>
 副指揮者の中で、合唱団の稽古や指導を主に担当する人です。
 <練習ピアニスト>
 稽古の時のピアノ伴奏を担当する人のことですが、ただ「伴奏」を弾くだけではなく、歌い手の音取りや個人稽古、言語指導、
指揮者とのコンタクトなど、稽古の進行を助ける仕事があります。従ってオペラの稽古ピアノを勤めるピアニストは
ピアノの技術のみならず、指揮法やオーケストレーション、スコア リーディング、外国語など、オペラ全般に関する
様々な知識とすぐれた「耳」を必要とします。
 <コレペティトゥーア>
 一つの公演における練習ピアニストの中の責任者の人のことですが、伴奏ピアニストの中で、
前述のようなオペラ全般の知識を持ち、歌い手の指導をする技術(オペラコレペツィオンといいます)
を持っている人のことを一般的にコレペティトゥーアと呼んでいます。
 <プロンプター>
 歌い手が歌詞を間違えないように、舞台袖やオーケストラピットの中から次の歌詞を小声で教える役目の人のことです。
プロンプター専門の人が務める場合が多いのですが、副指揮者コレペティトゥーア、練習ピアニストが務めることもあります。
  <影棒>
 業界用語で「影棒」(かげぼう)または「裏棒」(うらぼう)と言います。大劇場などのように広い舞台での公演の際、
途中で舞台上の奥やすみに立ったときに指揮が見えなくなってしまう出演者のために、舞台袖や客席の一番後ろにある調光室
などのガラス張りの部屋(業界用語で「金魚鉢」と呼んでいます)から、ペンライトで指揮をする人です。
大体の場合、副指揮者がこれを務めますが、コレペティトゥーアが務めることもあります。
 <Cue出し>
 「キューだし」または「きっかけ」と呼ばれる仕事をする人です。
オペラの舞台照明や外国語上演の際の字幕は、すべて楽譜上の音えで、そのタイミングが決められています。
本番時このタイミングを、楽譜と、指揮者が映っているモニターテレビを見ながら、機械技師の人たちに
指示する役目で、副指揮者やコレペティトゥーア、練習ピアニストがこれを務めます。
 <セッコピアノ、セッコチェンバロ>
 モーツァルトやロッシーニ等の作品で、オーケストラの伴奏で歌う部分にはさまれた、ピアノやチイェンバロの伴奏だけで
しゃべるように歌う部分がありますが、この部分のことを「レチタティーボ・セッコ」、略して「セッコ」と呼びます。
この「セッコ」の伴奏を担当する人を、「セッコピアノ」 「セッコチェンバロ」と呼んでいて、コレペティトゥーアがこれを務めます。



オペラの舞台を作り上げるためには、他にもまだまだたくさんの人々の手が必要です。
大勢の人々が一つの成功のために一生懸命に働いています。
オペラはまさしく総合芸術なのです。


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