ERALDO VOLONTE

 on JAZZCRITIC VOL.69

エラルド・ヴォロンテの最高傑作と評価されていた作品が遂にCD復刻化。
Eraldo Volonte / JAZZ (NOW) IN ITALY
(It:Rearward/Schema RW115←It:Equipe EQLP 1001)
Recorded Feb.1966,Milan
Eraldo Volonte(ss,ts)
Dino Piana(tb)
Franco D'andrea(p)
Giovanni Tommaso(b)
Franco Tonani(ds)
1/Eclypso
2/Flamingo
3/Tale
4/Ornette
5/Explorable
6/Mr.Arpo
エラルド・ヴォロンテは、数年前に"My Point Of View"がCD復刻されたこと
もあり御存知の方も多いのではないだろうか。

1922年ミラノに生まれ、戦前からプロとして活躍していたという楽歴から保
守的なイメージを抱く方もあるだろうが、さにあらず、モードもフリーも消
化した革新的なジャズをやっているのだ。

そのヴォロンテの最高傑作と評価されてきたのが本作品。
1966年 2月録音というと、アルバート・アイラーがインパルスと契約し、ジ
ョン・コルトレーンがアリスとラシッド・アリを加えたニュー・グループと
の初レコーディングに臨んだ時期と同じということになる。

この作品に溢れている熱気のようなものは、こうした時代背景抜きでは語れ
ないのではないだろうか。
前年の1965年には、オーネット・コールマンの復活にはじまり、 ESPレーベ
ルの設立、コルトレーンの「アセンション」録音、シカゴにおけるAACMの設
立とジャズの地殻変動が起こっている。

ヴォロンテは、バド・パウエルやデクスター・ゴードンよりも年齢を重ねて
いるにも拘わらず、率直にコルトレーンに対して敬意を払い、時代の波を全
身で受けとめている。

<1>におけるモード解釈、<2>におけるソプラノの音色などコルトレーンから
の影響は誰が聴いても明らかだし、 <3>など当時のニューヨークにおけるフ
リー・ムーヴメントと確実に連動したものだ。

この作品を名作にした<4>は是非聴いて頂きたい。 解放されながらも何処か
で緻密にコントロールされたアンサンブル、フンランコ・ダンドレアの素晴
らしいソロと聴き処が多いのだ。

<6> のようなストレートなバップがラストを飾るというアンバランスさはあ
るものの、3月に英国で録音された "Don Rendell=Ian Carr 5tet/Dusk Fi-
re(Columbia/EMI)" とともに、ヨーロッパのジャズが同時代性を持って世界
と共鳴しあっていたという事実を改めて認識するることが出来る作品である
ことには間違いない。
<9/Apr./2001>



Eraldo Volonte / FREE AND LOOSE
(It:Rearward/Schema RW114←It:Windsor WRLPS 1001)

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