Geoff & Maria / Sweet Potatoes <1969> |
おすすめ度 ★★★★☆ |
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Woodstockに移り住んできたGeoff & Maria Muldaurが夫婦デュオとして発表した2ndアルバム。 60年代からクエスキン・ジャグ・バンドの一員としてルーツ的なアプローチをしていた二人が、Rock界に蔓延したサイケロックともブルースロックとも全く無関係の楽園Woodstockにじっくりと腰を据える形で作り上げた素晴らしき世界。 「Produced by Nobody」のクレジットが示す通り自分達の好きな音楽を心行くまで楽しみながら録音している様子が伝わる、僕の密かなフェイバリットアルバムだ。 参加ミュージシャンは同じくWoodstockをホームタウンにしていたBen KeithやAmos GarrettといったHangry Chuck組を始め、後にGeoffと活動を共にするPaul Butterfield等々。 特にAmons Garrettの活躍は目覚しく、随所で聴かせる輝くような音色を放つギターは彼の数多くのセッション活動の中でも出色の出来。 3におけるダンディーなヴォーカルと共に、第3の主役の座をがっちりと獲得している。 Geoffは得意の鼻がかりヴォーカルを駆使しながら様々なタイプの曲に新たな生命を吹き込み、Mariaは後に花開くオールドタイミーな魅力を放ち続ける。 しかし本作発表後2人は離婚。Paul Butterfieldが結成するBetter Daysに参加するGeoff、ソロアーティストとしての道を切り開くMariaと、それぞれに素晴らしいキャリアを再スタートさせることとなる。
〜特にお気に入りな曲達〜 イントロから気の抜けた様なペダルスティールと共にこれまたハズれ気味のコーラスが入ってくるところから始まるBlue Railroad Trainは、本作の世界への案内板。 この二つの妙な要素が楽曲に不思議に溶け込み始めた時、僕らはSweet Potetoesの世界に浸っている事を認識する。 失恋の青い列車が涙に揺られながら去っていく様を見事に表現した、心もとないスティールギターの響きが絶妙だ。 Chuck Berry作のHavana Moonはフワフワ雰囲気が最高のナンバーだ。Paul Butterfieldのハープも聞こえる本作の歌詞は、とても50's Rock'n Rollerが書いたものとは思えない。 Berryの偉大さに改めて敬礼しながらその浮遊感に身を任せます。オリジナルも聴いてみたい。 名曲Lazybonesは我々労働者階級にとっての憧れのナンバー。イントロからのセリフも、Geoffに優しく語りかけるようなAmonsのヴォーカル、そして清純な美しさを持ったギターソロまで全てが最高。 この曲を聴いた時の心境は奇麗な夕焼けでも見た時に似てます。とても心洗われるナンバーですね。ついでながら缶ビールまで飲みたくなるというおまけ付き。もちろんちゃんと冷えた奴。 続くCordeliaはGeoffの独壇場の様なブルースナンバーで、彼独特の何とも言えないアレンジによる展開から耳が離れない。ココでもAmosのギターは冴えをみせる。カッチョエエです。 Dardanellaは不思議な楽園のテーマソングのようだ。このどこか悲しくて虚無的な雰囲気がとても胸に染みてしまう。 彼らが前作でBlagilを取り上げている事も手伝って、この曲を聴くと「未来世紀ブラジル」って映画を思い出すのは個人的な思い込み。 こちらはMariaの独壇場と言って良いタイトル曲のSweet Potatoesは、昔のJazzナンバーの様な魅力に溢れている。何だか焼けちゃう様な程に素朴なナンバーだけど、小品的に仕上げたアレンジも最高に光る。 Billie HolidayのカバーであるLover Man (Oh Where Can You Be)は、これまた美しいアレンジにMariaのヴォーカル、Amosのギターが溶け込んだ好トラック。 こんな曲でギターを弾いても全く遜色の無いAmos Garrettって人に感服ですね。こんなギタリストが平気で住んでたWoodstockって田舎に憧れを覚えてしまいます。
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1 . Blue Railroad Train
誰もが羨む夫婦さん! |
(2000.8.6 更新)
〜関連アーティスト/アルバムの簡単な紹介〜
Hungry Chuck / Hungry Chuck
そのメンバーのほとんどがSweet Potetoesに参加しているという
彼らの唯一のアルバムで、GeorffもBetter Days参加直前に
わずかながらに参加している。
全体をセピア色に覆ったようなノスタルジックな雰囲気から
始まる前半部分から後半のニューオリンズ的サウンドまで
途中に入ってくるお経さえなければ一気に聴ける好盤。
ココでもやはりAmosのギターは冴えまくり、随所で素晴らしい音色の
ギターを聴かせたと思えば荒々しいギターも鳴らす縦横無尽の活躍。
Amosのギターを堪能するのも良し、South In New Orleansに浸るも良し
ウッドストックという土壌が産んだ密かな記念碑ですね。
ちなみにメンバーの中で最も意外な経歴を持つドラマーのN.D.
Smart Uは
Moutainのオリジナルドラマーで、本作参加後にはGram Parsonsの
ツアーメンバーとしても名を連ねている。
順路その1 : 旦那コース
Better Days / Better Days
順路その2:嫁さんコース(工事中)
Maria Muldaur / Maria Muldaur
〜関連アーティスト/アルバムへのリンク〜
Neil Young / Harvest(工事中)
Ben Keithが参加したNeilの傑作アルバム
Gram Parosns / GP
N.D.Smart U君の東海岸〜西海岸への旅を追う