Bob Dylan / Highway 61 Revisited <1965>

おすすめ度★★★★★☆


プロテスタントシンガーとしてその地位を揺るがないものにしていたDylanがロックとの融合を試みた記念すべきアルバムでありながら、ロック史上最も重要な作品のひとつとして数えられる永遠の名盤。

前作「Bringing it All Back Home」で既にロックサウンドの導入を示唆していたDylanは、本作でPaul Betterfield's Bluse BandのMike Bloomfield(g)、Al Kooper(key)という強烈なバックアップを受け、前衛的とも言えるブルースロックを展開。

フォークシンガー時代から根底に垣間見えていたブルースへのアプローチが、ココに来て一気に開花した様な圧倒的なテンションが作品全体を覆っている。

またそれまでシカゴブルースに代表される黒人音楽の物真似の領域から脱することのできなかったホワイトブルースにおいても本作は少なからずその可能性を広げた結果となったハズであり、その余波は後に様々な分野への模索を繰り広げる白人ブルースアーティストへの指針となった事も見逃す事はできない。

ちなみに自身もフォークシンガーだったと言うAl Kooperは憧れのDylanのレコーディングに参加したいため、半ば強引にマトモに取り組んだ事も無いオルガンの前に座ったらしい。

とても真実とは思えないこの行動により彼の名はRock界に広く周知される結果となり、以後様々なセッションをこなし70年代にはソロアーティストとしてのキャリアをスタートさせる事となるのである。

CDをトレーに乗せると、この時代の、そしてこのメンバーでしか奏でられなかったであろう音像の数々が次々と飛び出してくる。

歴史的名盤!......得てして乱発されがちなこの単語は、このアルバムの為に用意されていうるのかも知れません。

 

〜特にお気に入りな曲達〜
(っていっぱいあってすんません^^;)

まずは Like A Rolling Stone。今聴いても充分新鮮さと臨場感をあたえてくれるRock界生っ粋の名曲である。

ここではいきなり全体を包むかの様に響くAl Kooperのキーボードが印象的だが、やはりそれに囲まれながらも微動だにしないDylanの圧倒的な存在感が最大の魅力。

フォークを通り越してブルース調に響くハーモニカも最高の味わいだ。

It Take A Lot To Laugh It Take A Train To Cryは正統派カントリーブルースナンバー。コロコロと転がるホンキートンクピアノに乗って朗々と歌い上げるDylanのヴォーカルに尽きるが、ここらの味わいは同年代のRolling Stonesも非常に影響を受けている所だろう。

Hawksを思わすようなFrom A Buick 6は、アバンギャルドなブルースナンバー。ドッシリとしたブルーススタイルに囲まれながら暴れまわるAl KooperのキーボードとDylanのヴォーカル&ハーモニカがカッチョ良い。

そしてアルバム中最も妙な感じに、恐しいくらいのテンションで演奏されているのがBallad Of A Thin Manである。

ここで感じられる妙にダークなこのサウンドが、既にサイケデリックな兆候も見え隠れしていたこの浮かれた時代に、どんな衝撃を与えたのだろうか.....カッコ良い!の一言では片づけられない何かが存在している。

本来ならきっとココからB面なんだろうけど、CDでは一転爽やかなQueen Jane Approximatelyはニューフォークそのものと言った曲。シンプルなバックにDylanの個性が浮き出てくるアレンジが好印象だ。

タイトル曲のHighway 61 Revisitedは、シャッフルビートで駆け抜けるアップテンポなブルースナンバー。地味ながら終始響き渡るピアノとスライドギターがとても印象的。

続くJust Like Tom Thumb's Bluesはまたまたニューフォーク系のカッチョ良いナンバーだ。バックの、顕実ながらも逸脱したかのような演奏ぶりもそれを引き出す。ここらの雰囲気は66年前後のDylanの専売勅許と言ったところだ。

そして、唯一の全編アコギによるナンバーのDesolation Rowは、なぜかRockを強く感じるナンバーだ。合間合間に顔を出すアコースティックな星屑リードギターがどこまでも、どこまでも美しい。

そしてなぜか感じる68年あたりのStonesっぽさ...(って言うか正確には逆)とにかく浸りまくってしまいます。


Highway1.gif (15092 バイト)

1 . Like A Rolling Stone
2 . Tombstone Blues
3 . It Take A Lot To Laugh
It Take A Train To Cry
4 . From A Buick 6
5 . Ballad Of A Thin Man
6 . Queen Jane Approximately
7 . Highway 61 Revisited
8 . Just Like Tom Thumb's Blues
9 . Desolation Row

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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フォークフェスでRockしてしまう!

当時僕がこの場にいたとしても
こんな彼を応援する勇気は
なかったでしょう...

(2002.29 再更新)

 

 

 

 

 

 

〜関連アーティストの簡単な紹介〜
Al Kooper / Mike Bloomfield

Mike BloomfieldはPaul Butterfield Blues Bandの
一員として世に出るが、60年代の後半には脱退。
ホワイトブルースの可能性を更に掘り下げるためEretoric Flagを旗揚げする。

またそのブルースフィーリングにはかなりの評判が
集まり、様々なセッションにも参加している。70年代に入ると
ソロアーティストとして地道な活動を続けていたようだ。

Al Kooperはこのアルバムへの参加が評判を呼び、各方面から
セッション参加の要請が殺到する。

さらに67年には有名な「初のロックフェステバル」モンタレーポップフェスの
主催者の一人としても活躍。Dylanとの活動も平行に
70年代には自身のキャリアも着々に伸ばしていく。

ちなみにこの二人が共演した作品にAl Kooper名義で
Super Session、The Live Adventures Of ..がある。どちらも
混沌とした60年代後半の雰囲気を捕らえた傑作である。

Albl.gif (2408 バイト)

 

 

 

 

The Rolling Stones

元々はR&BやBluesをルーツに持ったグループだったが、時代の音を次第に吸収しだす。
66年あたりになるとDylanのニューフォーク的ニュアンス、そして68年あたりからは
アメリカンロックにドップリといった状態になる、憎めない奴等。史上最高のRockバンドだ!

The Rolling Stones / Between The Buttons
時代の音、吸収モードに入った彼らの傑作

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順路はこちら
Bob Dylan / The ”Royal Albert Hall” Concert へ!

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