The Rolling Stones
/ Goats Head Soup <1973>

おすすめ度★★★★


前作の集大成的2枚組によって60年代末から続いたスワンプロックへの傾倒に区切りを付けたか、ジャマイカをレコーディング場所に選んで製作されたStonesの新たな第一歩。

後に怒涛のレゲェマイブームが起きてしまうKiethもまだまだこの頃は気になっていた程度。直接的なアルバムへの貢献は皆無に等しい。

しかしこの時の空気と地元のミュージシャンが多いに気に入ったKeithにとって、本作のレコーディングは後の活動に大きな影響を及ぼす事となる。

表面的には610といった従来のStones的なナンバーも収録しているものの、何と言っても本作で一番目を引くのはBilly Prestonの活躍だろう。彼独特のクラビネットから発散されるニューソウル的な味わいとの融合は、Stonesに新たなる方向性を示している。

また5といった「らしくない」バラードを発表した事もひとつの事件。さらに後半部分の少しトラッドがかった妙に美しいソウルブルースの様な楽曲の魅力も忘れられない。

サポートは前述のBilly他、Nicky HopkinsBobby Keysといった当時の最強のツアーメンバーが勢揃い。メンバーこそ変わってはいないものの、世界最強のRockバンドまで登り詰めた彼らのさらなる向上心を感じる事のできるアルバムだ。

ちなみに10は「Starfucker」というタイトルにするつもりだったらしいが、配給会社側からタイトル変更を通達されている。うーん、例え自分のレーベルを作っても結局好き勝手にはできないのね、世の中って。

 

〜特にお気に入りな曲達〜
(って、長くなったらどうしよう ^^;)

アルバムは前半(A面)の奇妙な雰囲気を象徴するかの様に重いリズムで迫るDancing With Mr. Dで幕を開ける。Keithが繰り返す重いリフとその間を縫うTaylorのギター、そして絡み付く様なMickのシャウトヴォーカルが全体を覆う。

コーラスやエフェクトも多用して音の隙間を感じさせない、一種宗教的な世界を作り上げている。ちょっと奇妙な感じがするナンバーだ。

Billy Prestonのクラビネットに乗ってスタートする100 Years Agoは、新たな風向きを示し始めたブラックミュージックへのアプローチ。

しかし何と言ってもこの曲の魅力は後半部分のTaylorのヘビーなギターソロだろう。そして彼のギターソロに誘導されているかの如く展開されるファンク的なリズムはいつ聴いても最高の境地だ。

続くComing Down AgainはKeithの切ないリードヴォーカルによるサザンソウルバラード。Nicky HopkinsのピアノとKeith自身によるエフェクトをカマしたリズムギターが美しく展開され、Boby Keysのサックスが花を添える。個人的にはアルバム中、一番のお気に入りナンバーだな。切ないぜ、Keith...

Doo Doo Doo Doo Dooは、またしてもニューソウル的ナンバー。Billyのクラビネットにホーン隊、さらにTaylorのクールなスライドソロと全てが一体となって展開される様が独自の世界を形成する。裏ジャケに象徴される黒魔術の様な世界が印象的。気味ワル〜

さてお次は問題のAngie。何とかというドラマの主題歌に採用されてしまった為に、コアなStonesファンから更に嫌われる羽目となったバラードだ。個人的にはNickyのピアノがとても印象的で、嫌いではない。Live何かで生で聴くと、やっぱイイ曲でした。いいんじゃない?たまには。

Mick自身がピアノを奏でるHide Your Loveはミディアムテンポのブルースナンバー。ココぞとばかりに弾きまくるTaylorの縦横無尽なギターがやはり最高の聴き所。

どちらかと言えば以前の彼らを思わすナンバーだ。Mickのヴォーカルもノリノリでカッチョ良いっス。

Winterは、前々作のMoonlight Mileにも通じる大地の歌。寂しい冬の夜にはウィスキーでも飲みながら聴き入りたいナンバーだ。

Nicky Hopkinsピアノも美しくてNicky Harrisonによるストリングも壮大だけど、やっぱこういう曲にも対応してしてしまうTayorのギターにシットリ....である。

続くCan You Hear The Musicで今度はトラッドで攻めてくる。東洋的な雰囲気と共に数年前はサイケナンバーに使われていた様な楽器達がRock界でも本来の音色を奏でられる時代となっている。エンディングのフルートがとても良い感じ。

デビューからずぅ〜っとLiveの定番だったChuck Berryナンバーをも、ついにStonesはオリジナル化してしまった。Star StarはChuck Berryナンバーにエッチな歌詞を乗せた素晴らしきナンバー。神秘的な前曲の後にいきなりウスラ馬鹿になる彼らが大好きさ。


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1 . Dancing With Mr. D
2 . 100 Years Ago
3 . Coming Down Again
4 . Doo Doo Doo Doo Doo
(Heartbreaker)
5 . Angie
6 . Silver Train
7 . Hide Your Love
8 . Winter
9 . Can You Hear The Music
10 . Star Star

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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この時代のLiveは
Stones史上最高。

この二人のギターが
絡みまくる音の世界は
Rockの美しさそのもの!

(2000.2.4 再更新)

 

 

 

 

 

〜関連アルバムの簡単な紹介〜
Wingless Angels / Wingless Angels

本作のレコーディングがきっかけで、ジャマイカでの休暇を取るようなになったKeithが
後にプロデュースして発表したジャマイカの民族音楽集。

はっきし言ってココにはRock的な要素は皆無に等しいほどの
ワールドミュージックな世界が存在している。

何つっても内容はメンバーの声と打楽器だけで、要所に
Keithによるベースやギターがチラっと入る程度である。

しかし、何故か惹かれる。何故か引き込まれる。
Keithのギターも一瞬だけだが、キラびやかな輝きを放つ。

Keithが感じたであろうジャマイカ音楽の魔術的な魅力を味わいたいなら
間違いなく「買い」である。素晴らしき民族音楽の世界に乾杯。

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〜ちょっと禁断のブート話〜
The Rolling Stones / Nasty Music

73年、彼らの最高潮のLive音源が最高の音質で堪能できる
Stonesファン必修モンのブート。

やはりココでも最大の聴き所はMick Taylorによる縦横無尽なギターサウンド。
更にパワーアップしたKeithの荒っぽいリズムとMickのヴォーカルの間を
軽快に縫うかの様な彼のサウンドは華麗と言う他ない。

もちろんココでは上記紹介作品からの曲も数曲が演奏されており
特にDancing With Mr. DやDoo Doo Doo Doo Doo等で聴かれる
ダークでファンキーなRockサウンドでは、この時期の彼らにしか
再現できなかった世界が広がる。

怒涛の如く流れ込むメドレー式ラストシーンもまさに昇天の心地で
この時期の彼らのパワーをビシビシと感じる事が出来る。

しかしこれが日本上陸予定だったとは信じられない。
この時期のStonesの入国を拒否した我が国の行動は、
国内のRockシーン最大の悲劇だったかもしれない。

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