The Band / Stage Fright   <1970>

おすすめ度★★★★☆


Woodstockのプレハウスを借り切ってレコーディングが行われたいう、彼らの通算3枚目のオリジナルアルバム。

共同プロデューサーにはJohn Simonを再び起用。エンジニアには彼らやBob Dylanのマネージャーとしても有名なAlbert Grossmanが設立した永遠のレーベルBearsville Recordsで働いていたTod Rundgrenが呼ばれている。

合宿形式でじっくりと煮込まれたいう彼らの楽曲はそのものがキラキラと輝き、そしてその上に素晴らしいアレンジが被さる.....

本作では特にRobbie RobertsonのギタープレイとGarthのキーボードが冴えまくり、全編に渡って彼らの絶妙のコンビネーションが堪能できる。

また個性豊かな3人のヴォーカリストの味わいの違いも楽曲毎によく吟味されており、曲によってはお互いの楽器を持ちかえるなど遊び心も一杯だ。

歴史的な名盤として名高い前2作と比べるとやや緊張感に欠ける感はあるものの、一味違う手作りっぽい音作りとリラックスした雰囲気が楽しい彼らの傑作である。

 

〜特にお気に入りな曲達〜
(って、ほとんど全部だったりして... ^^;)

まずはSleepingでやはりRichardの声に浸ってしまう。何だかいつも安らぎを求めているかの様な彼の声には、いつもながら惚れ通してしまう。

ココでは少しDylanっぽくマーチ風になる曲調に乗って、途中から入ってくるRobbieのギターもカッチョ良い。

前曲の勢いに乗っているかのようなギターで始まるTime To Killは、楽し気に響くナンバー。Robbieのギターの好調さがとにかく目立ち、ソロやエンディングもシンプルながらやたらにカッチョ良い。Garthのピアノも終始転がり、楽しさを際立たせる。

Levonの祈るようなヴォーカルが素晴らしいAll La Gloryも彼らならではの名曲。エフェクトを掛けたRobbieのギターやアコーディオンが辺りを優しく包む。夜に聴いてると思わず夜空に向って手を広げたくなる...奇麗な曲。

Richardのリードヴォーカルで軽やかに展開するThe Shape I'm Inは、彼らの演奏力を堪能できるRockナンバー。Garthの重厚なキーボードを中心に全ての楽器が一体となって迫る開放感は圧巻の一言だ。

The W.S. Walcott Medicine Showはホーン隊がフューチャーされている為か、ちょっと2ed辺りを思わすナンバー。イントロのRobbieのギターから世界に引き込まれる。相変わらず悲し気なホーンもイイ。

オルガンからエフェクト付きのアコギ、そして絶妙のハモリを配した歌い出しと、こちらもイントロでキマってしまいそうなDaniel And The Sacred Harpはアルバム中、最も土臭いナンバーだ。Levonのヴォーカルもハマリまくり、間奏でのフィンドルとエレキの絡みも最高っス。

タイトルナンバーのStage Frightは、肩に力の入ったRickのヴォーカルとまるでギターの様に縦横無尽に奏でるGarthのキーボードがいい感じ。個人的にはRickと言えば、いつもこの曲を熱唱する姿がイメージされる。僕の中では彼の代名詞のような曲ですかね。

The Rumorは、個性豊かな3人のヴォーカリストが交互にヴォーカルを取るという贅沢な構成。コーラスの入り方もどこか適当に、どこか計算されているかの如く響き、その間を縫うかのように入るRobbieのギターも最高の境地。この3人しか歌えない名曲ですね。

やっぱThe Bandはこの3人が揃ってこそだなぁ〜っと思う今日このごろ。

今では叶わぬ願いとなりました....まさか、Rick、あんたまで.....今ごろRichardと一緒に歌っている事でしょう。ご冥福を。


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1 . Strawberry Wine
2 . Sleeping
3 . Time To Kill
4 . Just Another Whistle Stop
5 . All La Glory
6 . The Shape I'm In
7 . The W.S. Walcott Medicine Show
8 . Daniel And The Sacred Harp
9 . Stage Fright
10 . The Rumor

 

 

 

 

 

 

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Woodstockに帰ってきた彼ら。
ココからはまだまだ
普遍的な音楽が産まれていく...

(2001.6.3 再更新)

 

 

 

 

 

 

〜関連アルバムの簡単な紹介〜
The Band / Stage Fright

今回のリィシュー盤で最もその音の変化が顕著だったのが本作。
それもそのハズ、実は今までのCDの音源はボツになった
Glyn Jonesのミックスが収録されていたというから驚きだ。

んで、今回晴れてTod Rundgrenによるミックスが全編に
収録された「あるべき姿」に戻されているのだ。

特にその音像がハッキリと違うのがタイトルナンバーの
Stage FrightやThe Shape I'm Inあたりだ。

今まで聴こえなかった音が次々と生々しくリマスタリングされた
素晴らしい音色で飛び出す興奮は「すっげぇ!」の一言。
レコードで聴いたことの無い我々CD世代には当然の驚嘆音源であった。

僕はStage Frightのイントロで聴こえる美しい
キーボードの音だけでぶっ飛びでした。

注目のボーナストラックは差し替えられたGlyn Jonesバージョンの
ものが中心でそれほど新たな発見はなかったというのが
正直なところだが、このアルバムに関してはあまり関係ない。

オリジナルの音像の違いだけで充分に買い直しの価値は「あり」である。

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順路その1 : The Band コース
The Band / Live At Watkins Glen へ!

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順路その2 : Bearsvilleコース
Paul Butterfield's Better Days へ!

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