< ペルー>

<楽器の写真/ペルースタイル>

<ガイド>

 ペルーはベネズエラと並び、マンドリンが土着化し、民族楽器として演奏されている国です。

 ペルーはその歴史・地理的条件によって、音楽的にもそれぞれ全く違った発展を遂げており、大平洋に面した首都リマを中心とする海岸地方(コスタ)とアンデス山岳地方(シエラ)は、まったく違った音楽的な特徴を持っています。

 「コスタ」は白人系混血人種が多く、音楽もヨーロッパの面影を残し「クリオージャ音楽」とも呼ばれています。特にバルス(Vals=スペイン語でワルツのこと)はその中心をなし、1900年代初頭から現在にいたるまで、盛んに演奏され、新しい曲も作られ続けています。

 一方、「シエラ」=アンデス山岳地方は、クリージャとはまったく雰囲気の違う音楽が盛んに演奏されています。

<お勧めCD>

(タイトル)    Mandolinas Criollas

(演奏者)     Abel Guzman/Victor Ramirez

(出版元)    IEMPSA

(CD入手先)   DISCO ANDINO

 歴史的に、スペイン人がやってくるまで、南米大陸に弦楽器というものは存在しませんでした。アンデス地方には当時の、ケーナ(葦でつくった笛)や太鼓などで奏でられる音楽が、今でも祭礼音楽として残っています。

 「シエラ」の音楽は、そのインカの音楽にキリスト教布教とともにやってきたヨーロッパの弦楽器音楽がミックスして成立したものです。

 「シエラ」のフォルクローレは主に、高音を響かせて唄うハリのある女性のコーラスと共に、ケーナ、ギター、マンドリン、アコーディオン、(時にはバイオリンやアルパ=小型のハープも)といった構成で演奏されます。マンドリンは主にメロディーを担当し、トレモロもよく聴かれます。

 ペルースタイルのマンドリンは、1、2弦が3本づつ、3、4弦が2本づつの4コース計10弦。フラットボディーで玉葱のような形をしています。調弦は他のマンンドリンと同じですが、第2弦の3本のうち真ん中を1オクターブさげた音程に合わせます。このオクターブのズレが、いかにもペルーだなあ、という味を醸し出しています。

<お勧めCD>

(タイトル)  PUNO

(演奏者)   CUERDAS DEL LAGO

(出版元)   AZUL PROJECCIONES S.A

(CD入手先)   DISCO ANDINO

<CDレビュー>

 ペルーのバルスは、現代ではギター(1台か2台)と歌、カホン(パーカッションの一種)で演奏されることが多いのですが、1930年代くらいまではマンドリンもよく使われていたそうです。

 この『Mandolinas Criollas』は1900年代初頭に作られた古いバルスをマンドリンの二重奏で演奏したもの。哀愁のあるメロディーをゆったり唄い廻す演奏がしぶくてかっこいい。バルスには美しくて良い曲が沢山あるので、マンドリンを弾く人にはぜひおススメしたい一枚。

 チチカカ湖畔の街、プーノのあたりではスペインの「トゥナ」の影響を受けたエストゥディアンティーナもよく演奏されます。

 ペルーのエストゥディアンティーナはアンサンブルの複雑さと美しさ、インカの面影を残した旋律などに独特の魅力があります。
 この『PUNO』は、ファンの間では名盤と評判 が高く、長く愛聴されている一枚です。