カラダの相談室(つづき) 


久々の更新です(^o^;)
カラダの相談室のネタもだいぶ増えてきましたが、
1ページが重くなりすぎると読み込むのがつらそうなので、
つづきのページに分けちゃてみました。


もくじ
(7) 楽器を楽に支える方法、ありませんか?


(7) 楽器を楽に支える方法、ありませんか?

Oboeは木管楽器の中では、かなり軽くて支えるのは楽な楽器…なはずだけど、やっぱり長時間吹くのは楽じゃないと思うのは私だけでしょうか? とくに、小学校や中学校で楽器を始めたばかりの女の子には負担がかなり大きいと思います。身体がしんどいと練習もしっかりできないし、練習しないと身体も慣れていかないし、練習しすぎたらまた身体に負担が掛かるし…なんとかラクに練習ができるような方法をみつけたい、と悩む方もいらっしゃるかもしれません。

あまり日本では普及していないようですが、Oboe演奏をサポートしてくれる補助装置はちゃあんと作られています。ここでは、そのうちの2種類を紹介してみますね。

これがふたつの装置です♪

まずは写真左の棒状もの。名前はFHRED (Finger and Hand Retraining Ergonomic Device)といいます。じつはこの装置、Oboe吹きの娘のためにお父さんが作ってあげたのが最初なのです。デンバー大学でOboeを専攻して練習を長時間続けていたその娘さんは、腕を使いすぎて痛むようになってしまって、それでも練習を続けるためにますます手首や指に負担が掛かるような楽器の持ち方をせざるを得なくなる、という悪循環に陥ってしまったそうです。それを心配した彼女のお父さん(お仕事は機械工!)が、楽器も重さを取り除くための装置を開発した…スバラシイ誕生秘話をもつこの装置、娘さんだけじゃなく私たちも恩恵にあずかることができます♪

使い方はカンタン。FHREDの上端にあるフックを楽器のサムレストのリングに引っかけて、イスの上にチェロのエンドピンみたいに楽器を立てて支えます。2本の金属の筒がスライドするような構造になっているので、譜面台のように(^o^;)長さを自分の演奏しやすいように調節して、ネジで固定すればO.K.。

フックはバネつきで取りつけカンタン。 好みの長さに伸ばして使います。 こんなふうにイスの上に立てて…。

FHRED本体だけだとイスがふにゃふにゃしてたら困ってしまうかも(^-^;) そういうときや立った姿勢で演奏するときのために、FHREDの先をベルトに固定するためのアイテムも開発されています(これは“SAMI”と命名されてます)。
FHREDは日本のDoubleReed専門店でも置いてあるのをみたことがありますが、FHREDの公式HP(英語のみ)から直接オンライン注文することもできます。私はこのHP経由で買ったのですけど、対応も早くて親切でした。公式ビHPにはビデオクリップを使ったもっと詳しい解説もありますので、たった3枚の写真じゃよくわかんない!という方はぜひ覗きに行ってみてくださいね。
今回紹介したのはスタンダードタイプですが、もっとがっしりした作りのプロ用やフックの構造を簡素にしたスチューデント用もあります。Oboeだけじゃなくてアングレ、Clarinet、Saxの演奏にも使えるみたいです。FHREDは細いし軽いし、使わないときは長さも縮められるので持ち運びもカンタン! 楽器ケースとケースカバーのあいだに突っ込んで(^-^;)練習場所にも気軽に連れて行けるサイズです。いつも持ち歩いておいて、自分の腱鞘炎がひどくなって吹くのがつらくなったときだけ使ったり、楽器が重たくてしんどそうな初心者さんに出会ったらサッと貸してあげたり(^0^;)…、みたいな利用法もできるかもしれませんね。
さて、このFHREDを作っている方はFagottをスタンドのようなもので床から支える装置も(FHREDよりはだいぶ大がかりになりますが…)開発されているみたいです。FHREDみたいにカンタンにどこでも連れて行くわけには行かなさそうですが、なかなか貴重な装置かもしれません。
それにしてもありがたいものを作ってくれるひとがいるものですねぇ。FHREDのHPは「身体は心配だけど、それでもなんとか楽器を思いっきり吹きたいっっっ!!」というDoubleReed Playerさん必見です♪



さて、最初の写真に戻って…FHREDの右側に移っているのは、言わずと知れたストラップ。BG France社製です(メーカーによる紹介はこちら)。私はこのストラップを10年近く使っています。
BG France社のOboe用ストラップはじつは2種類あるのですが、私が気に入っているのはヒモの部分がゴムになっているもの。首の後ろにあたる部分は伸び縮みしないしないのですが、このクッション部から楽器に引っかけるフックまでのヒモのところがほどよく伸縮してくれるのです。このストラップに出会うまではヒモが伸びないタイプのものを使っていたのですけど、Oboeを吹く上での自由な体の動きがかなり制限されて吹きづらく感じていました。しかもそのストラップ(BG France社のものではなかった…)、クッション部がなぜか緑色のフェルトでできていて、汗をかくと首の皮膚やらシャツやらがやたらと緑に染まる、という演奏の姿勢以前の問題も抱えていたりしましたが(^o^;)…。

ストラップもFHRED同様、サムレストのリングに引っかけて使うだけのとても簡単な装置。フックはかなり細くて深いU字型に曲がっているので、演奏中に外れる心配はまずありません。2重ループの部分の長さを調節することでだいたい好みの長さにしておいて、あとは身体の動きに合わせてゴムが適当に伸びて楽器がついてきてくれる感じです。

とにかく引っかけるだけ。 こんなふうに引っ張るとゴムが伸びます。 吹いているときはこんな感じ。

オケの曲はたまに長〜い休みに突入することがあるので、そのときはフックを外して楽器を膝の上に置いていて、吹くところが近づいてきたらほかのひとよりもフック操作のぶんだけちょっと早めにスタンバイするようにしています。管のTuttiになだれ込むときなどほかのひとと同時に出るくせにみんなよりも早く準備を始めるので、「えっ、もう吹くんだっけ?!」なんて近くの管楽器のひとを焦らせないように、フックをつけてスタンバイしてもReedを決して顔に近づけないで楽器を膝の上に立てて待機するようにしています(^o^;)

個人的にはこのストラップの使用感にはかなり満足していて、ゴムが傷んでも同じものに買い換えるリピーターとなっていますが、欲を言えば首を緊張させないようにヨーク式(楽器の重さが首ではなく肩に掛かるようなタイプ)とか背中や腰に固定するタイプがあったら試してみたいなぁ、という感じです。楽器屋さんに行くたび物色してみるのですけど、いまのところ開発されていないように思います。まぁ、楽器自体の重さがFagottやSaxと比べたら全然軽いから、そこまで気合いを入れて(?)支えることを考えなくてもいいのかもしれませんが…。

ほかにもラクに演奏するための補助装置でオススメのものがありましたら、ぜひ教えてくださいませ♪


(つづく)