狂鬼人間(放送禁止)

 深夜の停車場に1組のアベック、突如として、刃物をもったきちがい女
(ネグリジェ姿)登場。男は刺されて即死。血まみれの手を見て笑うきちがい女。
事件の幕開けである。
 所は東京精神病院(画面に出てくる)。前出の元きちがいが何食わぬ顔で退院。
小林昭二は負におちない。逮捕された時は精神鑑定の結果、確かに精神病と断定。
刑法第39条「心神喪失者ノ行為ハ之ヲ罰セズ」により無罪。重度のきちがいが何故
2週間で正常になって退院できるのか。SRI岸田森もそこは引っかかるご様子。
  
 時を移さず、きちがいによる同様の事件発生。小銭を数える街金に大村千吉登場。
イギー・ポップばりのビルドアップされた肉体と日本刃をもった狂人の役である。
(この人は原住民と日本人の混血とか、はした金の為にラドンの餌食になるおっちゃん
とか、重度のアル中の労務者とか、金鉱堀りの山師等、放送禁止及び放送コードに
引っかかりやすい役が多い。我々の様なダメな大人の心の琴線に触れるいい人だ。)
そんな我等のアイドル大村さんは汚い金貸しのオヤジを問答無用で斬り殺す。
 同様な事件が次々に起こり7人もの死者がでる。
「人を殺すような重度の精神異常者は大体一生直らないもんでしょう」
 その後事件発生。犯人は初出の元きちがい女。だが今度は精神鑑定の結果は正常。
この事件の影には恐るべき陰謀が隠されていた。
それいゆ洋装店(似たような名前のレコード屋があるが気にしないように)の
姫ゆり子が脳波変調機を使い、狂わせ屋を営んでいたのだ。
 岸田森、原保美はワナを仕掛けた。卒塔婆に止まって鳴くカラスのカット。
実にいやなカットからシーンは始まった。ゆり子は精神異常者に家に放火され、
夫と子供をぶち殺された過去をもっていた。当然きちがいは無罪。
「精神異常者が野放しになっているこの社会に復讐するため」に狂わせ屋を開業。
今に至る、と岸田に説明。脳波変調機で岸田を狂わせること決定。
「まんまとのせられてしまった。」 
 発狂する岸田森 
 
 ワナに気づいたゆり子は予定を変更。岸田は機械により発狂。
南部十四年式拳銃を握りしめ、街中で拳銃乱射。後日、“斬り抜ける”で森伝八郎を
やった時や、“蘇る金狼”で興信所の石井さんをやった時のようなブルタル演技
(あっ、忘れてた。東宝の“血を吸うシリーズ”も。)で松山省二を追い回すが
警官に捕まり御用。
 もはやこれまでと観念したゆり子は脳波変調機をかぶり、機械の目盛りを最大に上げ
大発狂。
「正に完全犯罪製造器」と変に感心する小林昭二。
「日本の様に精神異常者が野放しになっている国はないのだから、
国も考えてくれないと困る」と締めくくる原保美。 
かーらーすー何故なくの〜  もう二度と直らないところまで狂ったゆり子は一生隔離病棟で童謡を唄うのであった。
 
 という作品です。たぶん引用した部分が悪かったのだろうと推測される。
本当に非道い。LD-BOXは即日回収の憂き目にあったのであった。
それに比べれば、ウルトラセブンの幻の12話等かわいい物だ。
同じテーマならどっちかと言えば死神の子守唄の方が後味悪くて最高だ。
こちらは又、機会があれば書くつもりです。
 人体実験中の草野大吾さん
大体、キングアラジンも水上博士も木村さんも「狂っている」の一言で済ませるとは
当時は世の中の認識もきちがいに本当に甘かったのだろうか。
まあ、この年の1年前(67年)では日本でもLSDが合法で認められており、
ホリプロ主催のLSDパーティがあったくらいだからしょうがないか。 

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