’70〜’71フォークリポートより抜粋記事
「地獄耳」抜粋

休みの国の高橋照幸は、もとジャックスの谷野ひとしらと、ヨーロッパは行ってしまった。
谷野氏は、解散後以来、土方して、35万円をためこみ、出かける前日、もう日本には帰ってこないとすてゼリフを吐いたが、むこうでの様子はみんなバラバラらしく淋しさをこらえてる感じ。

高田渡のURCから発売されたレコード「汽車が田舎を通る時」はすでに廃盤になっていたが、現在キングで三浦ディレクターの手により録音が着々と進められ、2月16日を最後に仕上がる。
発売は6月1日になりそうで、曲目は「ごあいさつ」「失業手当」「年輪歯車」「鯨に鰯」「結婚」「銭がなけりゃ」「自転車にのって」「ブルース」「おなじみの短い手紙」「値上げ」「コーヒーブルース」「夕焼け」「日曜日」「しらみの旅」「生活の柄」以上16曲の予定。
サイドメンには、バンドネオンのおじさんやら、ちゃっぴいえんどやらで、高田氏はほくほく。
結婚の日どりも決まったし。

五つの赤い風船解散か!なぞといううわさも流れたが、本当は前前から独立したがっていた西岡たかしの意向がとおり、音楽舎とアート音楽出版から一応フリーとなった。
歌を作ったりディスクジョッキーをしたりなど個人で働く場も多いが、今後も五つの赤い風船での演奏活動は最優先でスケジュールをとり一応従来どおり。

加川良もいよいよLPの番がまわって来たらしく、四畳半アパートで録音した12曲のオーディションテープをURCへ。
もっとも岡林信康のライブレコード「岡林信康コンサート」に「教訓T」が参加しもののみごとに食っている。
最近、彼は虫歯の治療にはげみ、完治したがその費用が5万6千円とか。
もちろん借金ではらおうとしているので、君も金借りにこられるよ。

★ホントは包茎で悩んでいる中川五郎は、バギナ・ファックという勇ましい名のバンドを、中川イサトらと作った。
アンプも高いの買っちゃったし、制服もそろえちゃったし、いまさら、人間関係がわずらわしいといって、メンバーの首切ることもできないし、本格的にやるらしい。
マネージャーはあいかわらず山田修で、3月中旬にはビワ湖畔で男のみの合宿をし、音と鼻血のたらしっこ。
持ち歌はけっこうマジメで、スタイルはなつかしのGS風。テクニックもなつかしのGS風。

★前号の地獄耳で、遠藤賢司の使用しているギターは、岡林からかっぱらったように書かれてあったので、ていせいします
実は、10万円で遠藤賢司が買うことになりました。

★東宝映画「銭ゲバ」(原作ジョージ秋山」に出演の緑魔子は最高。
一度ねたいです。(編集部一同)

★日本一のバンジョー弾き岩井宏は、有り金全部はたいて、アメリカ製ヴェガの5弦ロングネック・バンジョー、モデルX−ce1をカワセ楽器店にて購入。
本人談話によると、お札をはらまきの下にいれていて、「カワセよ!燃えてまえ」と発狂寸前の状態で、店員に渡したとか。
その後、バンジョーを一人でも多くの人に見せたいとステージをさがしている。

加川良、岩井宏は十月七日から毎日放送チャ・チャ・ヤングのディスク・ジョッキーにばってきされた。
加川良は後家殺しの低音、岩井宏はばばあ殺しの高温と、両音の魅力でせまっている。

★耳パン、ラーメンで売りだし中の高田渡は、どういうわけかURCではなく、キングからLPを出す予定。
1曲1万円の吹き込み料がもらえるので、「ごあいさつ」のような30秒たらずのうたばかり集めて、両面で五十曲吹きこむとかいってたとか。
やっと肉が食べられますね。これからはロックをやって下さい。

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