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その15・一期一会 【TEXT TOP】
〜GoodMorning,Vietnam!

ニャチャンとの別れの朝が来た。

すなわちそれは仲良くなったベトナム人たちとの別れを意味する。
いつものように浜辺に行くと、いつものように彼らはいた。

俺たちは電車がくるギリギリの時間まで浜辺にいた。
サモハンキンポーに心酔しているハヤブサ氏もこの時ばかりはウェットになっているようで
「マイ・ガールフレンド・イズ・バージン」
の名言でお馴染みの子供とTシャツの取替えっこをしていた。
まさに友情が国境をこえた瞬間である。

この光景に痛く感銘を受けた俺も別の子供にTシャツをプレゼントした。
しかし、子供の方からは何ももらえなかった。
衝撃のノーリターン。
友情が国境をこえられなかった瞬間でもある。

それでも、別れの時間が刻一刻と迫り来る中、俺たちはまるで同じ町の友人であるかのように笑いあった。
もはや、言語の壁などは木っ端微塵に吹き飛んでいたといっても過言ではない。
しかしそれでも時間は冷たく流れていき、とうとう別れの時間が来た。

別れ際に俺たちは
「maybe next year we’ll back」
とワムのラストクリスマスで使い古されたフレーズと共にまた来年ここに来ることを約束した。
そしてまた一緒にサッカーをすることを約束した。
しかし、その約束は結局果たされることはなかった。
むしろ、この時既にそれが果たすことの出来ぬ約束であることは恐らく誰もがわかっていた。
あれからもう5年になる。
あの時の子供はもしかすると俺の身長を抜かすほど大きくなっているかもしれない。
しかし俺たちの心の中では、あのころのチビのままだ。
同じように彼らの中でも俺たちはあの頃の俺たちのままなのであろう。

一期一会。

かなうことなら、それがいつまでも風化されず心の中にあり続けることを願いたい。

やがて電車が来た。
再び妖怪列車に乗り込み俺たちはホーチミンへの帰路を取った。

明日はいよいよ日本に帰る日だ。
最後の夜は、ホーチミンでイタリア料理を食べて寝た。


さらばニャチャン

続く

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